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イオンモール/2月期当期損失18億円、海外回復も日本の感染再拡大響く

2021年04月08日 15:00 / 決算

イオンモールが4月8日に発表した2021年2月期決算によると、営業収益2806億8800万円(前年同期比13.4%減)、営業利益343億9400万円(43.4%減)、経常利益284億3700万円(49.3%減)、親会社に帰属する当期損失18億6400万円(前期は342億3900万円の利益)となった。

なお、2021年2月期中の一時休業期間中の固定費などは、新型コロナウイルス感染症による損失として165億7200万円を特別損失に計上している。

第1四半期連結会計期間に新型コロナウイルス感染症が世界規模で拡大し、同社が出店している中国、アセアン、日本において、行政による要請、感染拡大防止への配慮からモールの営業時間短縮・臨時休業を実施した。

重要な事業パートナーである専門店企業に対しては、モール営業上の制約が出ていることを踏まえ、賃料の減免などの支援を実施する一方で、休業期間におけるモールの管理・運営コストの見直しを図り、コスト圧縮に努めた。

<夜の客数が減少していると岩村康次社長>
決裁のスピードを速くすると岩村康次社長

同日オンラインで開催された決算説明会で岩村康次社長は、「コロナ禍でこの1年の成長が遅れ、中計では2025年度の営業利益1000億円目標を900億円に、海外モール体制を70店舗から50店舗に引き下げた。日本では感染予防対策のしっかりした施設として、昼間はお客様が戻ってきているが、緊急事態宣言の影響などで夜の飲酒を伴う食事需要が減少している。海外では目標を下げたが、重点地域の一つであるベトナムでは2021年度中に20モールの物件の仕込みは終わっている。中国では成長の続く内陸部を中心に展開する。海外事業を成長ドライバーとして今後も伸ばしていく」と説明した。

日本事業の営業収益は2370億9300万円、営業利益は305億9700万円

日本事業の営業収益は2370億9300万円(前期比13.8%減)、営業利益は305億9700万円(41.7%減)。

国内では、2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されたことを受け、2020年4月8日からグループが管理・運営するモールの専門店・都市型ショッピングセンターを段階的に臨時休業し、2020年4月18日からは全国164施設全てを臨時休業した。その後、緊急事態宣言の段階的解除を受け、5月13日より順次営業を再開し、5月28日には全施設の営業を再開した。

営業再開にあたって、出入口へのAIによる検温器設置、売場・後方における飛沫感染防止対策としてのアクリル板の設置、来店客管理システムのデータに基づく入館制限基準の策定、外気取り込み量増加によるモール館内の換気機能強化といった感染拡大防止と安全・安心のための対策を実施した。

新しい生活様式に合致したエンターテインメントとして、全国のイオンモール屋外駐車場にてドライブインシアターやドライブインパブリックビューイングなどを開催した。

ユーザビリティを向上し、よりストレスフリーなショッピング環境の提供を目的として、6月にイオンモールアプリを全面リニューアル。同アプリを活用し、来店時間のピーク分散やアイドルタイムでの飲食店利用など、顧客の行動変容にあわせたクーポン発行、ポイント還元などのサービス提供を行っている。

新規モールとして、12月にイオンモール上尾(埼玉県)をオープン。同モールは、コロナ禍における新規オープン1号店として、館内全ての吹き抜けへのサーキュレーター設置や吹き抜け上部のハイサイドライト窓の開放等、換気機能の強化を図っている。既存モールでは、8モールのリニューアルに加え、イオンモール高崎(群馬県)、イオンモール高知(高知県)の増床リニューアルを実施した。

国内既存83モールの専門店売上は、前期比24.0%減。第3四半期連結会計期間(3カ月)では、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」のメガヒットによるシネマの集客効果などもあり、前年同期比7.2%減まで回復したが、11月下旬より新型コロナウイルス感染者が再び拡大し、11都府県を対象に緊急事態宣言が再発令された影響もあり、第4四半期連結会計期間(3カ月)では14.1%減となっている。

海外事業の営業収益は435億9400万円、営業利益は37億7100万円

海外事業の営業収益は435億9400万円(前期比11.3%減)、営業利益は37億7100万円(54.6%減)。四半期毎に収益改善が進んでおり、第4四半期連結会計期間(3カ月)の営業収益は132億5700万円(前年同期比1.2%増)で増収となり、営業利益は17億6800万円(18.9%減)となった。

中国・アセアン各国における消費は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時的に落ち込んだが、営業再開後は、出店国、出店エリアごとで回復状況に濃淡はあるものの海外全体で見れば改善が進んでおり、引き続き高い成長の実現を目指す。

2025年に海外70モール体制を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、新規物件地の交渉や街づくりに遅れが生じたことから出店計画を変更し、2025年に50モール体制の実現に向けた出店準備を進める。

中国事業は、営業収益は313億5300万円(前期比12.5%減)、営業利益は22億9600万円(59.1%減)。

第4四半期連結会計期間(3カ月)の営業収益は97億3200万円(前年同期比4.0%増)、営業利益は15億8100万円(4.4%増)と第3四半期連結会計期間に引き続き増収増益だった。

新型コロナウイルス感染症拡大による武漢市封鎖に伴い2020年1月24日より同市3モールにて専門店を臨時休業、以降2020年2月中旬にかけて、中国全土への感染拡大に伴い、中国で展開する全21モール中、最大11モールを臨時休業した。2020年2月22日から3月にかけて段階的に営業を再開し、2020年4月1日には全21モールの専門店営業を再開しました。政府指示により休業を継続していたシネマについても、7月20日より順次営業を再開し、8月初旬には全モールで営業を再開している。

アセアン事業は、営業収益は122億4100万円(前期比7.9%減)、営業利益は14億7400万円(45.1%減)。

ベトナムでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う政府の規制により、2020年3月28日から4モールの専門店営業を臨時休業したが、2020年4月24日に営業を再開し、全5モールでの営業体制となった。7月下旬に新型コロナウイルス感染者が拡大したことから一時的に各モールの来店客数、売上は落ち込んだが、同国の厳格なウイルス封じ込め対策により客足の戻りが早く、第4四半期連結会計期間(3カ月の)ベトナム既存4モールの専門店売上は前年同期比1.4%増と前年を上回るトレンドに回復した。

カンボジアでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、既存2モールの営業時間を短縮していたが、6月に通常の営業時間に戻し、8月には休業していたシネマも営業再開した。

新型コロナウイルス感染症の影響は軽微だったが、同国内に居住する外国人等が帰国した影響があり、既存2モールの専門店売上は前期比24.9%減となっている。

インドネシアでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う政府による大規模社会制限の実施により、2020年3月31日から既存2モールの専門店営業を臨時休業したが、6月15日に営業を再開した。

インドネシア国内では、新型コロナウイルス感染者の増加が止まらず、既存2モールの来店客数は前年比で半減という厳しい状況が続いている。地元企業と連携したフードデリバリー割引キャンペーンを実施するなど売上確保に努めた。

次期は、営業収益3440億円(22.6%増)、営業利益590億円(71.5%増)、経常利益505億円(77.6%増)、親会社に帰属する当期利益310億円を見込んでいる。

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