三越伊勢丹HD 決算/4~9月増収増益、アプリ会員増加・高感度上質戦略が奏功

2024年11月13日 18:05 / 決算

三越伊勢丹ホールディングスが11月13日に発表した2025年3月期第2四半期(中間期)決算によると、売上高2640億9300万円(前年同期比6.3%増)、営業利益348億8400万円(72.8%増)、経常利益387億1100万円(69.0%増)、親会社に帰属する当期利益253億9400万円(70.8%増)となった。

国内百貨店では、三越伊勢丹アプリ会員の新規獲得を中心に、同社が識別できる顧客(以下、識別顧客)数が引き続き増えている。加えて個のマーケティングの高度化により、外商顧客を中心に識別顧客の客単価が向上。首都圏店舗を中心に識別顧客売上高が順調に拡大しているという。

収支構造改革も着実に推進したことで、地域百貨店も増収増益となった。

<牧野常務>

同日行われた決算会見で牧野欣功(よしのり)常務CSDO兼CFOは「さまざまな戦略が奏功した。上期の増益の多くが百貨店セグメントだが、金融セグメントも大きく増益を果たした。足元の景気は8~9月に比べて少し上がっている感触がある。11月に入り、気温低下とともに冬物も含めて良くなっている。

この先は国内消費がゆるやかに回復していく。インフレもあるので全体・個人の二極化が進むと思っている。SMの伸びが若干低下しているが、消費の二極化の中で高感度上質ニーズをしっかり獲得すれば十分に計画を達成できる。高感度上質な消費をしたい時に選ばれる会社でありたい」と述べた。

百貨店事業の売上高は2198億2100万円(5.4%増)、営業利益は295億5100万円(76.0%増)。

首都圏店舗・地域百貨店計ともに入店客数が拡大。品ぞろえやサービス強化に取り組み、ラグジュアリーブランドなどの高額品や化粧品だけでなく、婦人・紳士の衣料品など幅広い商品が好調に推移した。結果、総額売上高は大幅に伸長した前年実績をさらに上回り、2桁以上の増収となっている。

首都圏店舗では、「高感度上質戦略」におけるMDバランスの最適化に向け、ニーズに沿った商品展開を実現するためのリモデルを実施。個のマーケティングを高度化させる取り組みにより、収益拡大につなげた。

注力している「高感度上質戦略」「個客とつながるCRM戦略」の象徴といえる「ご招待会」(伊勢丹新宿本店「丹青会」、三越日本橋本店「逸品会」)では、過去最高の売上を更新している。

地域百貨店では、高感度上質消費を志向する全国の顧客に応える「拠点ネットワーク」の取り組みで、伊勢丹新宿本店や三越日本橋本店の商品のお取り寄せ販売実績が大幅に拡大。加えて、「百貨店の科学」による収支構造改革の取組で販売管理費の削減をさらに推進し、利益が増加した。

免税売上高は、ラグジュアリーブランドのハンドバッグや宝飾品などの高付加価値商品に加えて、化粧品やベビー子供用品も好調に推移している。首都圏の都心店舗だけでなく地域百貨店でも、急伸した前年実績からさらに拡大。中間連結会計期間における国内百貨店合計の免税売上高が過去最高額を更新している。

オンライン事業に関しても、カテゴリー別のサイトを中心に取組を強化しており、化粧品のmeecoやMOO:D MARK(ムードマーク)などのサイトの売上が2桁以上上回るなど堅調に推移した。

加えて、販管費コントロールの取組を引き続き強化したことで、中間連結会計期間で大幅に利益が改善した。

海外事業(1月1日~6月30日)では、米国で昨年度リモデルオープンしたレストランが好調に推移したことで、売上と営業利益がともに大幅に計画を上回った。なお、9月に、三越伊勢丹の子会社であるイセタン(シンガポール) Ltd.の、完全子会社化の手続きが完了し、シンガポール証券取引所で上場廃止となっている。

クレジット・金融・友の会事業の売上高は163億9500万円(4.6%増)、営業利益は31億8600万円(125.8%増)。

エムアイカードは、グループ百貨店と連携した割賦手数料とアクワイアリングの収入拡大で増収となった。収支構造改革の取り組みにより販売管理費を大きく削減でき、大幅に収益拡大している。

成長戦略の一環として、百貨店事業を通じてつながったすべての識別顧客の暮らし全般に関わる要望に応えるべく、新たな金融サービスの開発・展開を推進。昨年度スタートした伊勢丹新宿本店の時計売場における商品保証サービスでは、時計購入者のサービス加入率が目標を達成した。

不動産事業の売上高は132億700万円(20.0%増)、営業利益は14億4100万円(16.6%増)。

グループの保有物件におけるテナントの入れ替えなどで増収。高品質な内装や家具製作を強みとする三越伊勢丹プロパティ・デザインでは、外部の大型開発案件のホテルやオフィス、ブランドショップ改装の施工を中心に売上が拡大し、原材料費の高騰の影響を受けても増収だった。

その他事業の売上高は447億8900万円(5.4%増)、営業利益は5億7200万円(13.8%減)。

スーパーマーケット事業や食品のOEM製造事業を展開するエムアイフードスタイルでは、経費コントロールを徹底するとともに「グループ連邦戦略」の取組を強化。三越伊勢丹のグループ力を活かしたプライベートブランドの販路拡大やOEM受注拡大、グループの識別顧客であるエムアイカード会員に向けたキャンペーンなどに注力した。

11月にはJR埼京線十条駅の再開発地に「クイーンズ伊勢丹十条店」を新規出店する。

旅行業の三越伊勢丹ニッコウトラベルでは、特にコロナ期以前の水準まで復活した海外旅行需要の回復に対し同社独自の欧州リバークルーズの増発、加えて「グループ連邦戦略」による法人旅行取り扱いや、急増するインバウンド旅行取り扱いが寄与し、収入が拡大。収支構造改革の取組で、固定費の上昇を徹底して抑えた結果、大幅な増収増益となった。

メディア事業のスタジオアルタでは、グループ統合ハウスエージェンシーとして、百貨店の広告メディア販売事業(屋外広告・デジタルサイネージなど)の伸長やグループの広告・装飾の製作の統合、蓄積したノウハウと資産の活用による外販の増加により、大幅な増収増益となっている。

通期は、売上高5560億円(3.6%増)、営業利益720億円(32.4%増)、経常利益770億円(28.6%増)、親会社に帰属する当期利益580億円(4.4%増)を見込んでいる。

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