主要スーパー売上高ランキング/8社すべて増収、既存店改装・DXが増益のカギ

2025年11月18日 11:51 / 経営

主に関東に店舗を持つGMS・スーパーマーケット8社の2025年2月・3月期の中間期決算が出そろった。8社すべてが増収を計上。増益を確保した各社は人件費・物流費などの高騰に苦戦しつつも、既存店改装・DX改革・人員の最適配置を進めている。

イオングループはAI活用した従業員用端末を導入

<スーパー業績ランキング>

スーパー業績ランキング

イオングループのGMS事業(イオンリテール、イオン九州、イオン北海道、キャンドゥなど)は、営業収益1兆8186億7200万円(3.6%増)、営業損失2億2500万円(前年同期より80億3500万円の改善)。

店舗DXなどが奏功し、営業損失を大幅に改善。イオンリテール、イオン九州、キャンドゥの業績が好調だった。

特にイオンリテールは、営業赤字が36億円だったが、前年同期と比べると45億円の増益改善になっている。

2023年度以降、改装に投資した店舗の収益性が回復。食品・非食品売場へのセルフレジ導入、「AIカカク」、「AIオーダー」、「商品位置検索システム」などを内包した従業員用端末「オールインワンデバイス」といったDX改革による
人時生産性向上が増益に貢献している。なお、イオンリテールの既存店売上高は前年同期2.1%増、8月末で396店舗展開している。

イオンリテール/AIで現場改革、従業員向け多機能端末とアプリ導入

イオングループで2位のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(以下:U.S.M.H)の営業収益4779億7500万円(前年同期比33.4%増)、営業利益1億6800万円(前年同期は6億5000万円の損失)。

売り上げ面は既存店の客数回復に加え、イオングループのプライベートブランド「トップバリュ」販売拡大、統合したいなげやの業績が大きく寄与した。

仕入れ統合効果で、売上総利益率は前年並みを確保。バックオフィス機能を集約し、人員配置の適正化を図っている。さらに、電子棚札、セルフレジ、スライド棚といった省力化設備への投資も進めている。

既存店売上高は1.9%増、8月末で665店舗。

なお、イオンは、グループのスーパーマーケット事業を再編している。首都圏では、U.S.M.H子会社のマックスバリュ関東と、ダイエーの関東事業、イオンマーケットとの経営統合の最終契約を12月に締結予定。U.S.M.Hは、総売上高1兆円超のスーパーマーケット企業集団を目指す。

イオン/ダイエーと光洋を経営統合、首都圏スーパー事業も再編

ライフはネットスーパー・PBが好調

ライフコーポレーションは、営業収益4401億1400万円(前年同期比4.3%増)、営業利益133億300万円(8.8%増)。

売り上げ面は、新規出店、ネットスーパーの拡大、「BIO-RAL」などプライベートブランド商品の強化、鮮度・おいしさを追求した商品施策を実施し、半期で過去最高の営業収益を計上した。

新規出店に伴う賃借料、非現金決済に関する手数料、システム関連費用といった各種物件費、人件費が増加した。

しかし、継続的に取り組んできたプロセスセンター従業員の直雇用化、施設管理の自社化、チラシのエリア・部数の見直しといったカイゼン活動が功を奏し、費用増をカバーし増益を確保したという(岩崎高治社長)。

10月末で店舗数は316店舗。

ライフ/ネットスーパー事業を強化、センター出荷型も開始

イトーヨーカドーの業績が回復基調に

ヨークホールディングスグループで4位のイトーヨーカ堂は、営業収益3976億2100万円(7.2%減)、営業利益106億3000万円(前年同期は19億8800万円の営業損失)。

昨年までの店舗閉鎖により営業収益は減少したが、既存店売上高は3.4%増と前年を上回った。

また、昨年までの抜本的変革により、販管費は大幅に減少。営業利益が黒字化している。

同じく、ヨークHDグループで6位のヨークベニマルの営業収益は2588億3900万円、営業利益79億4800万円(14.5%減)。

既存店の活性化、デリカテッセンの開発・販売強化の取り組みを進めた。

これらの取り組みに加え販促施策が奏功したことにより、既存店売上高は1.9%増と前年を上回った。一方、販促費や人件費などの販管費が増加し、減益を計上している。

ヨークHD/イトーヨーカドーはフード&ドラッグに集中、既存店改装を強化

ヤオコーは電子棚札で青果の生産性アップ

ブルーゾーンホールディングスの営業収益3949億円(前年同期比9.8%増)、営業利益230億5700万円(8.2%増)。

ヤオコー単体の業績は営業収益3159億7100万円(9.2%増)、営業利益191億5400万円(4.8%増)、既存店売上高5.0%増だった。

焼き肉コーナーの強化といった生鮮の磨き込み、パエリア開発などデリカ、バラエティー豊かなベーカリーが顧客の支持を集めている。

埼玉エリア、東京・神奈川エリアで品ぞろえ、販促を変更する南北政策が奏功。エリアの顧客特性に合わせた手作り提案を実施している。

フルセルフレジは、84店舗(25年上期21店舗で採用)で採用した。5%から、月によっては10%の生産性の向上につながっている。さらに、デジタルプライサーは45店舗(同27店舗)で導入済み(2025年9月末)。特に、売価変動の頻度が高い青果部門での生産性向上に貢献している。

導入済みの店舗では、5%~7%の生産性が向上する成果をあげているという(川野澄人社長)。

9月末で店舗数は、グループ計241店舗(うちヤオコー198店舗)。

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そのほか、ベルクの営業収益は2110億1100万円(前年同期比11.3%増)、営業利益88億8400万円(1.7%減)。

価格政策で、他社と比較した際の相対的安さを実現している。顧客を飽きさせない販売促進活動を継続し、増収を確保。既存店売上高は6.6%増、店舗数は8月末で148店舗だった。

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サミットの売上高は中間期で過去最高に

サミットの営業収益1848億8800万円(前年同期比3.0%増)、営業利益38億800万円(47.5%増)。

売上高1770億1100万円(3.0%増)と中間期では過去最高となった。利益面は、売上総利益の増加が人件費などの営業費用の増加を上回り増益となった。

既存店売上高は3.0%増、店舗数は9月末137店舗となっている。

顧客から好評のインストアベーカリー「ダン・ブラウン」を既存店改装の機会に導入したことなどにより、特にベーカリー売上高が10.1%増と大きく伸びた。

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取材・執筆 鹿野島智子

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