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物流最前線/トップインタビュー、日本GLP 帖佐義之社長

2018年01月23日 12:01 / 流通最前線トップインタビュー

物流の大変革期が到来
物流施設の使い方の多様化はじまる

―― 2018年が始まりましたが、現在の経済状況をどう見ていますか。

帖佐 世界的にも、国内的にも景気は良い傾向です。国内では、2020年のオリンピック需要も多少はあるでしょうが、現在の景気をけん引しているとは思いません。金融緩和政策も継続されるようですので、この状態はしばらく続くものと考えています。ただ、庶民レベルでは好景気の実感がないことも確かですが、これが所得に反映してくれば、個人消費の伸びと共に、さらなる浮揚が続くものと思います。

―― 業績好調の要因は。

帖佐 不動産の投資サイドからすると、金融緩和が大きく、需要サイドからすると、引き続きECの影響が大きいものと感じます。これは、ECの進展により、これまで店舗に配送していたものを、個人宅に配送する流れができ、物流の在り方も大きく変わってきました。また、物流不動産サイドからすれば、先進的物流施設が認知されてきたこともあります。

―― 認知されてきたとは。

帖佐 先進的物流施設の認知が物流事業者だけでなく、荷主サイドにも広がって来ました。そこで、我々が力を入れているのが物流施設の使い方の多様化戦略です。今まで行なわれていたラストワンマイルという物流の川下に位置付けられていたものから、より川上に対して取り込める要素が広がって来たことです。

―― 物流施設の役割が広がるということですか。

帖佐 そうです。すでに始まっていますが、物流施設の中で行なわれる業務が確実に多様化しています。多様化しているということは、これまで以上に多様な顧客を取り込めることになります。地方の工場で作っていたものが、都心により近い物流施設で作ることが可能になれば、スペースニーズも広がって来ます。このような用途の多様化が需要を掘り起こす要因となっています。例えば3Dプリンターがあれば、物流施設の中で、モノを作ることが可能です。そのまま配送すれば、工場の概念、物流施設の概念も変わってきますし、膨大なスペースを必要としてきます。今まで、手つかずだったニーズにアクセスできることで新たな需要を生むことに繋がってきます。

―― 物流自体の概念が変わりますね。

帖佐 物流に対する人びとの考え方が急激に変化してきました。今まで、保管や配送といったものには、多くの人々は関心を持たなかったと思います。ところが、ECの進展や宅配便の問題などで、個人レベルでも関心が高まっており、物流が普通の人により身近になり、物流がBtoBからBtoCに完全に入りこんできたのです。

―― 確かに、ECの進展で宅配便の話題が増えました。

帖佐 ECで購入した商品に対して届く日時の指定、箱の大きさ、あるいは配送会社の指定など、注文の要望が非常に増えています。業務はどんどん複雑になっています。ここが差別化戦略とするならば、それができる機能を持った物流施設が必要になります。

―― 物流施設の高機能化が求められると。

帖佐 そうです。工場がその進化過程を示しています。大量の人々が働いていた工場もどんどんオートメーション化し、アーム型のロボットが作業しています。物流施設も同様です。

―― ロボットやAI化、ICT化がより重要になると。

帖佐 ロボットやAI化、ICT化は確実に進展しますので、その取組は率先して進めています。人が働く場所から機械が働く場所へ、物流施設内スペース活用も変わって行くと思われ、そうすると、床の強度や平滑性、高さやレイアウトも変化してきます。これらは、すぐに進むわけではなく、人が働いている限りは、最良な職場環境のためのアメニティ充実も必要ですが、近未来には人が直接的に関わらない、無人注文からはじまり、無人の物流施設から無人搬送車で商品が配送される時代も訪れるかも知れません。まさに、物流の大変革期が訪れているものと思っています。

<GLP吹田>
GLP吹田

<災害時協定締結時、左から、 アスクル岩田社長、 GLP帖佐社長、 吹田市後藤市長>

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