レジレス店舗を実現する「セルフスキャンショッピング」
スーパーマーケットをはじめとした店舗でとくに課題となっているのがレジ業務の効率化だ。さらに、昨今の新型コロナ禍においては、極力店員と利用客が接触しないための取り組みも求められている。
DCMSTOREシリーズは「セルフスキャンショッピング」でそうした課題を解決する。来店した利用客自身にスマートフォンを利用して商品バーコードをスキャンしてもらい、その場で決裁まで可能とするソリューションだ。
利用客のスマートフォンに専用のアプリをインストールしてもらう形式のため、専用の端末などは必要ない。店舗側も、クラウドサービスとして導入できるため、専用端末購入費や保守費用などに多額のコストをかけずに導入が可能だ。決済手段についても、支払い専用機を設置すれば現金決済も可能で、その他クレジットカードや電子マネー、QRコードにも柔軟に対応できる。
「レジレスの取り組みは多くのITベンダーが始めていますが、まだ実証実験レベルのところも多いと思います。当社のセルフスキャンショッピングはすでにサービスパッケージとしてできています。まだお客様については申し上げられませんが、引き合いも非常に多くなっておりまして、早ければ秋にも本格導入がスタートします」と山本氏。すでに実証実験レベルは終わっていると話す。
さらに、レジレスへの取り組みとして注目されているのが、NECが本社ビル内に2月にオープンさせた「NEC SMART STORE」だ。NECグループの社員限定の店舗となっており、店に入って購入したい商品を手にとって、レジを通さずそのまま退店できる。退店と同時に決済が完了し、端末ですぐに購入履歴を確認することもできる。
<NEC SMART STORE>
「顔認証技術により、入店する一人一人を識別しますので、お客様は立ち止まることなくスムーズに入店できます。さらに店内に設置したカメラと画像認識技術によりどの商品を取ったかも認識しますので、レジを通す必要はありません。セルフスキャンショッピング、SMART STOREをはじめとして多様なソリューションで、NECは店舗の省人化を推進するお客様を強力に支援していきます」と山本氏は言う。
なお、NECの生体認証技術は、約70の国と地域に1000システム以上の採用実績を誇っており、その技術力も定評がある。2020年7月にはNEC本社ビルにてマスクをしたまま本人確認ができる顔認証システムの実証を開始したと発表。認証と同時にマスクの有無も判別できるため、新型コロナ禍においてはさまざまなシーンで利用されていくだろう。
最適なマーケティング活用を支援する「NEC Marketing Segmentation」
人手不足を解消して業務を効率化しても、売上が下がっては意味がない。ニーズの多様化、ライフスタイルの急激な変化に対応するためには、これまで以上に最適なマーケティング活動が求められる。
DCMSTOREシリーズの「NEC Marketing Segmentation」は、AI技術を活用して、従来困難であった「顧客のライフスタイル」の理解と、効果的で効率的なターゲットアプローチを支援する。
会員カードを発行しているスーパーマーケットは多くあるが、それだけでは利用客の細かい属性はもちろん、嗜好や買い物傾向までは分からない。また、店頭の商品についても、肉や魚、冷凍食品など、ある程度のジャンルで棚が分けられてはいるが、それ以上の「高級」「手軽」「健康志向」などといった内容や嗜好を示すセグメント分けをするまでには至っていない。
「そうした利用客様と商品のセグメント分けを、AIを使って支援するのがMarketing Segmentationです。セグメント分けをした上で、こうした属性の利用客様グループには、このような属性の商品グループをプロモーションするのが効果的です、といったように、セグメント分けからプロモーションまで、トータルでご支援します」と山本氏。
Marketing Segmentationはすでに導入実績もあり、ある百貨店ではAIで抽出したセグメントにダイレクトメールを送付したところ、セグメントせずに送付したときと比較して10%以上の効果があったという。「この10%以上というのが最善の効果かどうかはまだ検証が必要ですが、さらに効果が出せるようにしていきます。食品スーパーマーケット様に対しても、積極的に提案に取り組んでいます」と山本氏は言う。
従来システムと戦略システムを両立して小売業の未来を支援
DCMSTOREシリーズの中から、「需要予測型自動発注システム」「セルフスキャンショッピング」「NEC Marketing Segmentation」といった、とくに注目を集めているソリューションを紹介した。いずれもAI技術や顔認証など、最新の技術を活用して、従来ではできなかったことを、あるいは従来以上の効果を実現しようというソリューションである。
繰り返しにはなるが、どのソリューションも導入して終わりではなく、運用により効果を出していくことが必要な領域であり、そのための手厚い支援こそがNECの、DCMSTOREシリーズの特長となっている。
「スーパーマーケット・量販店向けソリューションとして、そのラインナップの豊富さは他社さんに負けません。導入前の検証から導入後のサポート、業務やオペレーションについての提案、BPO(Business Process Outsourcing)など、あらゆる方面からお客様目線での支援をいたします」と山本氏は強調する。
NECでは現在、「Smart Retail CX」のビジョンを掲げ、全社を挙げてリテール領域における新しい顧客体験の実現を推進している。「人材不足に備えてICTの力で業務量50%減」「その時その人にぴったりな提案でお買い物の魅力2倍」「相互に信頼し合え不正が起きず手ぶらでも決済ができる不正現金ゼロ」といった目標を掲げ、生活者から“選ばれる”小売業の実現を多様なソリューションで支援する。
山本氏の属する産業ソリューション事業部も、食品スーパーマーケットがこれまで以上に生活者から選ばれるよう、今後も積極的な支援を提案していく。
「基幹系などのコア業務は、当然この先も変らず必要です。もちろんこうした従来システムについてもお客様の声と私たちのノウハウを組み込み、ソリューションをますます進化させていきます。さらに新しい技術を積極的に取り込んだ戦略システムもスピーディに展開して、お客様の従来システムと戦略システムの両面を進化させる支援を続けていきたいと思います」と山本氏は力強く語った。
■山本 浩貴氏略歴
2004年4月:日本電気入社
2004年5月:DCMソリューション事業部(初任配属)
2012年 4月:産業ソリューション事業部 マネージャー
2019年10月:産業ソリューション事業部 シニアマネージャ―(現在)
入社以来一貫して、食品スーパーマーケット業種に対する拡販に従事。
現在は同業種対する事業責任者として営業拡販活動に加え、ソリューションやサービスの企画・開発等も含めた事業全般を対応。
■関連リンク
NEC「DCMSTORE」シリーズ
https://jpn.nec.com/dcmstore/index.html
コンセプトムービー「「Smart Retail CX」が目指す世界」
https://jpn.nec.com/nvci/retail/index.html
セルフスキャンショッピング動画
https://jpn.nec.com/nvci/event/rtj/#anc-contents04
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