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流通最前線/ファミリーマート国立冬樹デジタル事業部長インタビュー

2023年08月30日 10:00 / 流通最前線トレンド&マーケティング

ファミリーマートは7月7日、本社で開催したデジタル戦略説明会で、細見研介社長が、「デジタルメディア事業で、5年後、税引後利益で100億円を目指す」計画を発表した。その事業計画の中核を担うのが、カスタマーリンクプラットフォーム構想だ。常に顧客とつながり続ける仕組みを持つことで、より顧客に寄り添った商品やサービスの提供を目指す独自の戦略となる。今回、デジタル事業部長を務める国立冬樹氏に、店舗・FamilyMartVision・「ファミペイ」アプリを連携させ店舗をカスタマーリンクプラットフォームに変える、デジタル事業の最前線を聞いた。

自社経済圏の戦いに備え「ファミペイ」アプリ始動

――「ファミペイ」アプリを開発した経緯を教えてください。

国立 「ファミペイ」を開発した最大の理由は、自社で顧客IDデータを取得しないと今後、小売業として競争上不利になる環境があるからです。ファミリーマートでは、これまでポイントカード「Tカード」を顧客IDとして提示してもらっていました。一方で、他社のIDに依存していると、お客様に対して、「何か販促をしたい、広告を打ちたい、新しいサービスを提供したい、デジタルのサービスを提供したい」ということが自社でできません。

「何々経済圏」というように、顧客IDを軸として、さまざまなサービスを提供したり、ECサイトで買い物をしてもらう動きが加速しています。自社のデジタル基盤の上に、エコシステムのように、いろんなサービスを組み立てて、自社内にファミマ経済圏を作るのが、元々の大構想です。自社で顧客IDを持たないと、お客様とつながる双方向のコミュニケーションチャネルが持てないのです。

――「ファミペイ」が決済機能を持つメリットは何ですか?

国立 「ファミペイ」に決済機能があることで、大きく2つのメリットがあります。コード決済「FamiPay」にお金をチャージしてもらうと、例えば、お客様から見ると「いま5000円チャージしているから、ファミマで買い物しよう」というロイヤルティーにつながります。つまり、これは未来の買い物を促進する効果があります。チャージしてもらうことで、ファミリーマートに対するロイヤルティーが確実に向上します。もう一つは、現在、クレジットカードや電子マネーといったキャッシュレス決済が拡大しており、他社の仕組みで決済すると決済手数料がかかります。一方で、自社決済機能があれば、自社決済分の手数料コストを低減させることができます。

――「ファミペイ」の特徴を教えてください。

国立 「ファミペイ一発」というコンセプトが、分かりやすい特徴です。いまポイントカードやアプリは乱立しています。レジでポイントカードを出し、別で決済アプリを立ち上げると手間がかかります。一方で、ファミペイは、クーポンも、ポイントカードも、決済も、ワンバーコードを提示するだけで、全て完結します。コンビニでは、決済のとき、焦ったり、急いでいるお客様もいます。「決済は、早く終わって欲しい」というニーズは、確実にあります。クーポンも決済も自社で行っているから、ワンバーコードで完結する仕組みが構築できたのです。

<「ファミペイ」アプリ>

――顧客IDを持つことで、どんな経済圏を確立したいのですか?

国立 アマゾンなどのEC事業者の存在感が大きくなっている中、我々小売業も単にモノを売るだけのビジネスモデルでは太刀打ちできない世の中になりつつあります。アメリカでは、ウォルマートがデジタルを活用し、新規事業や自社経済圏を作ってAmazonなどに対抗しています。リアル店舗だけで、デジタルを基点とした自社経済圏がないと、単なる販売チャネルの一つになってしまいます。将来的には、ファミリーマートとしてもEC事業を拡大したいと考えています。

一方で、消費者との接点が一番強いのはリアル店舗です。デジタル勢力はネットから攻めてくるのに対して、我々は、リアル店舗のデータと接点を活用すれば、同じような経済圏を築けると思います。我々は、共通決済事業者、共通ポイント事業者を目指していません。自社内での買い物は、しっかりと自社の経済圏を作って行かないと、他社の経済圏に飲み込まれます。リアル店舗だけでなく、自社アプリの顧客IDがあることで、店舗の外でもお客様とつながり、良い体験やサービスを提供できるのです。

――ECの取り組みについて教えてください。

国立 まさに、試行錯誤をしている最中です。現在は、恵方巻、うな重、クリスマスケーキなどの季節商品やキャラクターグッズなどの予約販売をファミペイWEB予約というサービスで展開しています。ネットで注文して、店舗で受け取る仕組みはできています。デリバリーは、まだ実験段階です。現状では、店舗起点の仕組みを重視しているので、店頭で商品を受け取ってもらうのがECの基本スタイルです。

予約販売は、店舗から見ると、余分な在庫を持たなくて良いメリットがあり、お客様から見ると、確実に欲しい商品が手に入るメリットもあります。加盟店さんから見ると、売れるかどうか分からないのに先に仕入れるのは、リスクが大きいです。加盟店の販売力を最大限に活用できるフランチャイズの仕組みをうまく踏襲しながら、リアル店舗の顧客接点をもつ小売業ならではのECを作るのが、われわれの目標です。

中期経営計画では、自社ペイメントなどを活用した「金融」、「ファミペイ」と、デジタルサイネージ設置による「広告・メディア」、店舗を中心とした「デジタルコマース」の3つを次の成長エンジンに位置付けています。「ファミペイ」WEB予約は、現在、イベント的な中食、キャラクターグッズなどが中心ですが、もっと広い商品ラインアップに広げて行きたいと思います。

<FamilyMartVision>

デジタルサイネージ実証実験で「3面ディスプレイ」開発

――大型デジタルサイネージ「FamilyMartVision」の開発経緯を教えてください。

国立 デジタルサイネージは、いきなり出てきたものでなくて、ファミリーマートももう10年以上前からずっと実験を繰り返しています。アメリカでは、5年以上前から小売事業者が店舗のメディア化への取組を強化し、リテールメディア市場が立ち上がり、広告予算が、少しずつリテールメディアへシフトする動きが加速し始めていました。

全国のファミリーマート店舗には、1日当たり約1500万人ものお客様が来店されます。実は、1500万人という数字は、在京キー局と同じくらいのリーチ数です。いままで店舗は、単にモノを売る場でしたが、考え方によっては、毎日多くの視聴者が来て、視聴率があるとも言えます。これをメディア化すると、次のマネタイズにもなります。また、お客様により良い情報をよりリッチな形で伝えられることで、店舗に来ることが楽しくなり、買い物体験を良くすることにつながります。

――いまは、お客さんもインターネットなどさまざまなメディアに接していますね。

国立 メディアの変化を見ると、テレビを含めたマスメディアの力の変化があります。デジタルメディアが強くなり、デジタルメディアの消費時間が、どんどん増えています。これまでは、YouTubeなどのデジタルメディアの広告市場はあまり大きくなく、4大マスメディアが広告の受け皿でした。いまはデジタル広告の市場が大きく拡大し、特に若年層へのリーチでは欠かせない媒体となるなど、メディアも時代と共に変化してきています。

そのデジタルメディアもクッキー規制などの市場の変化もあり、従来のマスメディアに加えて、新たな価値をもったメディアが求められています。もし、コンビニという全国にある店舗がメディア化し、そこが消費者へのリーチ拠点になれば、テレビやYouTubeなどの既存メディアと組み合わせて、利用されるメディアになるのではないかという仮説で実験を始めました。

――これまで、どんな実証実験をしたのですか?

国立 実験当初は、店舗入口やレジ上のほか、リーチインショーケースの上など、さまざまな場所で、様々な大きさのディスプレイを設置し、検証しました。イートインスペースに、小さなタブレット端末を置いたこともあります。約1年をかけて、100店舗にデジタルサイネージを設置し、様々な視認率調査をしたところ、一番視認率が良いのが、レジ待ちをしている時に見るレジ上だと分かりました。

さらに、デジタルサイネージのディスプレイも1画面、2画面、3画面と何パターンか実験しました。やはり、圧倒的に視認率とインパクトが大きいのが3画面です。まず、視界にディスプレイが入ったときに、ウルトラワイドで3画面といった異形のディスプレイで視界を埋めて、視覚上違和感を与えないと注目されないことも分かりました。この結果、デジタルサイネージは3画面を連結させることにしました。メディアとしての認知がされていない中で、「これは何だろう」、「こんなメディアがあるんだ」と視線を向けてもらうためには、違和感を作って、驚いて見てもらわなきゃいけない。

――デジタルサイネージに流すコンテンツには、どんな苦労があったのですか?

国立 まず、動画にするのか、静止画にするのかという点や、30秒なのか、1分なのかといった問題がありました。例えば、2分の動画を作ると、全部を見てくれればいいですが、途中から見ると、一体、何の情報・CMなのかが分からない。コンビニの平均滞在時間は、大体5分くらいです。店舗での5分くらいの滞在時間のうち、5秒~10秒しか見なくてもいま何の商品のCMをやっているのか、伝える必要がありました。

そこで、商品のイメージ動画を放映する時に、例えば、1つのディスプレイには、静止画でこれは、こういった商品ですと写真や文字で伝えます。残りの2つのディスプレイで、実際に清涼飲料などを飲んでいるシズル感のあるイメージ動画を流して、商品情報とイメージの2つのメッセージを伝えています。実験を繰り返して、2つのメッセージを同時に視聴してもらうことで、広告の認知率が圧倒的に高くなることが分かりました。1画面じゃなくて、3画面の表現力があると、認知率が1画面のディスプレイとは、倍くらい違ったのです。

店舗・FamilyMartVision・「ファミペイ」アプリ連動で併売率7倍に

――FamilyMartVisionの広告効果を教えてください。

国立 過去に、デジタルサイネージ単体だけの広告効果を半年くらい計測した時は、広告を投入した商品の70~80%の商品で、売上リフトアップ効果がありました。そのうち5%以上売上がリフトアップした商品が2割ぐらいでした。今年は、4月~5月にかけて、日本コカ・コーラさんと「ファミチキにはコーク」キャンペーンをやりました。この時は、売場とFamilyMartVisionに加えて、「ファミペイ」内のバナー広告も連携させて実施しました。

デジタルサイネージ単体でなく、アプリも、店頭(商品陳列)も、POPも含めた形で、店舗丸ごと「ファミリーマートジャック」みたいな形で販促することで、キャンペーンの実施期間中の「コカ・コーラ」と「ファミチキ」の併買率は、実施前と比較すると全店ベースで約6~7倍となりました。売上高で見ると、FamilyMartVision設置店舗と未設置店舗の比較では、設置店舗は未設置店舗より18%売上が高い結果となりました。

<ファミリーマートジャック>

――「ファミリーマートジャック」のような手法はかなり有効ですね。

国立 これまでの検証では、15%~30%くらいまで売上リフトアップ効果がありました。ここは、メーカーさんが一番、効果を感じて頂けるモデルができたと思います。サイネージ単体での広告効果も立証されていますが、ファミリーマートの店舗・デジタル接点全体をメディア化することがリテールメディアの取り組みで重要な要素の一つです。「ファミリーマートジャック」のような面展開で、テレビ、YouTubeにひけを取らない認知率や認知スピードを獲得することが可能です。1、2週間で、実際にお客様の行動変容を促す効果があると思います。「ファミリーマートジャック」のような手法は、既に成功事例がありますし、今後も実施計画がずっと埋まっています。

――店舗全体をジャックするのは、大変ですが、そのほかの手法はありますか。

国立 今後、店舗ジャックまでしないメニューも作っていきたいです。7月末くらいから新たな実証実験を始めています。例えば、商品陳列棚は変えないけれども、デジタルサイネージとアプリ、それにYouTubeなどのターゲティングが効くデジタル広告を連動させる企画があります。No.1商品ではない、中堅商品みたいなところで、どのくらい売上リフトアップ効果があるのか検証します。一番効果が高い施策は分かったので、デジタルサイネージ単体と店舗ジャックの間を埋める広告メニューを開発している最中です。

――「ファミペイ」アプリとの連動で大きな効果があるようですが、アプリは浸透していますか。

国立 「ファミペイ」アプリは、現在、1500万ダウンロード以上となっています。新商品情報、クーポンといった商品販促機能とスタンプが貯まるようなロイヤルティプログラムが大きな柱です。実際、ファミリーマートで展開をする販促キャンペーンをどこで知るのかを調査したところ、40%~50%のお客様が、「ファミペイ」アプリからキャンペーンを知るという調査結果も出ています。すでに、来店客にとっては外部メディアに匹敵するようなメディアに育っています。

また、ロイヤリティープログラムは、「もっとファミリーマートで買い物をしたい」と思ってもらえるようなファンの育成を目指しています。アプリは、ファンコミュニティを形成するプラットフォームともなっています。現在、一般の人と比べて、「ファミペイ」アプリの会員の方は、2~3倍ファミリーマートで買い物をしていただいているというデータもあります。

新コンセプト「カスタマーリンクプラットフォーム」誕生

――「カスタマーリンクプラットフォーム」構想が生まれた背景は何ですか?

国立 これまで、店舗でもECでも買い物ができるオムニチャネルということが注目をあつめていました。でも、北米の小売業の動向を見ると、ウォルマートなどは、エンドレスアイルという発想をしています。エンドレスアイルとは、デジタル上も含めて、無限に商品棚が続いており、リアルでもデジタルでもいつでも必要なタイミング・自分にあった手段で商品を購入できるような世界観を意味します。

リアルとデジタルを組み合わせるという発想ではなく、生活動線上で最適な選択肢として、デジタルとリアルを組み合わせて提供する。買い物行動が常にエンドレスでつながっている中で、体験として何を提供するかを考えなきゃいけないというコンセプトです。

このコンセプトを実現するためには、店舗に来た時だけ、お客様と接していればいいわけではありません。アプリもSNSも使いますし、YouTubeみたいな他のメディアや媒体も使いながら、常にお客様と情報や体験でつながっていくという世界を作らなきゃいけない。ここから、カスタマーリンクプラットフォームの発想が生れています。

<カスタマーリンクプラットフォームの概要>

――「カスタマーリンクプラットフォーム」の具体的なイメージを教えてください。

国立 より具体的に説明すると、常にお客様とつながることを軸において、お客様とつながれば、お客様が「何を欲しているか」ということがよく理解できて、それに対して「何を提供するか」を考えられる。常にマーケット、お客様の目線から全てを考えることをベースにお客様の信頼を得る。そのために、カスタマーリンクプラットフォームを作ることが、我々の使命になったのです。店舗やアプリといった自社の基盤を起点にして、お客様と常につながる世界を目指しています。

まず、ファミリーマートの事業基盤として、全国の店舗とFamilyMartVisionがあります。ベーシックにあるのは、店舗と店舗にいるスタッフがお客様とつながることです。それを補完するものとして、リアルな取り組みでは、省人化店舗や受取ロッカーなど、お客様がストレスなく、いろんなものを買い物できるような選択肢を広げる。一方で、デジタルの取り組みとして、「ファミペイ」アプリ、FamilyMartVision、SNSを活用した情報発信を行う。店舗を起点にして、いろんな接点をもっとどんどん増やすことが、店舗をカスタマーリンクプラットフォームに変換する意味です。

――今後、店舗はどう変化していくのですか?

国立 コンビニでは、いまトレンドの新商品が並びます。プライベートブランド(PB)も、毎週、新しい物が出ている。だから、選ぶ楽しさがあります。単に、「何か飲み物を飲みたい」というニーズだけではなく、日々の生活の中で、「今日は、どんな商品が並んでいるのだろう?」と、商品そのものが来店動機を生み出しています。コンビニの店舗は、買い物の「ワクワク感」を作っています。

一方で、FamilyMartVisionでは、トレンド情報や癒しのある動物の動画とか、情報そのものを発信しています。FamilyMartVisionがあることで、買い物に加えて興味関心の高い情報が取れる。日々の生活をちょっと楽しくできる場に店舗が変化することで、「とりあえず目的がないけど、ちょっと寄ってみようかな」と来ていただける場にする。そこで、新しい情報や商品との出会いを創出することが、一番、リアル店舗がやらなくてはいけないことです。

ECは、最適化とターゲティングが進んでいます。一方で、購買履歴が重視されるため、自分が買ったものと類推したものしか推奨されないケースも増えてきています。だんだん興味が最適化されてしまう、デジタルのアルゴリズムがあります。やはり偶発的な出会いを生む場というのはリアルにしかないと思っていて、それを商品情報もしくはプラスアルファのものでそういう場を作って行きたい。新しい体験をしてもらう、きっかけの場を作ることを、目指しています。

<さまざまな施策を解説する国立部長>

単品管理に変わる新たなマーケティング手法で未来の需要創造

――目標に掲げた「単品管理に変わる新たなマーケティング手法」を教えてください。

国立 単品管理は過去の販売データから単品レベルで売れ行きを把握・分析して、在庫リスクをヘッジしたり、品揃えを最適化する施策として有効です。単品管理は、いま、顕在化しているニーズをベースに、マーチャンダイジングをすることだと思っています。

我々が、いまやろうとしているのは、「未来の需要を創る」施策です。単品管理では、新商品の売れ行きは分かりません。先程、店舗は偶発的な出会いを生む場を目指すと言いましたが、売れるかどうか分からない新商品など、未来の需要を創るのが、リテールメディアだと思います。これまでは、新商品は、単に新商品というラベルをつけて、並んでいました。また、〇円割引など販促もしていました。

でも、「この商品はどんな味がするのだろう」「どれぐらいおいしいのだろう」「ほかの人は、おいしいと言っているのか」とか分からない。また、「どんな原材料で、どういう思いで作られた商品なのか」も、分からないのですよ。デジタルサイネージを使うと、「これはこういう思いで作りました、こんな材料を使ってこだわって作っています」みたいなことも伝えられる。また、炭酸飲料では、炭酸飲料をグラスに注ぎ、炭酸がはじける音がしている、おいしそうな商品イメージを流すことで、「あっ!いまそれを飲みたい」という、情緒的な面に訴えることができます。

情緒的な面を動かすには、デジタルの力が必要なのです。商品説明と情緒的なイメージを組み合わせることによって、「あっ!こんな商品があるんだ、今回はこれを買ってみたい」という行動につながる。「新しい出会いと新しい需要を作り出す」のが、リテールメディアの大事な役割の一つです。新しいマーケティング手法をしっかり取り入れながら、お客様により本当に自分に合った商品を買ってもらうという体験を作りたいというのが、大きな目標です。

――そうすると、今後、コンテンツとして提案型の商品が増えていくのですか?

国立 ひとつの選択肢ですが、毎週、ファミリーマートでは新商品を出しています。一方で、新商品の魅力をお客様に伝えきれていない課題もあります。店舗に商品を置くだけではダメなのです。置くだけでは、商品を見ないお客様もいる。商品の魅力をお客に伝えることをやり切れば、お客様が買うものは絶対、変わってきます。ここは、単品管理の過去のデータでは分からない。本当に売れる商品は、商品力の伝え方によって変わると思います。

――FamilyMartVisionに自社商品をPRする自社広告も展開しているのですか?

国立 現在、FamilyMartVisionのコンテンツは、クイズやインフルエンサーの紹介などの番組が50%、広告が50%の比率となっています。コンテンツ全体のうち10%程度が、ファミマルなどのファミリーマートのオリジナル商品の紹介となっています。

――最後に、現在の抱負を教えてください。

国立 いままでの小売業がリアル店舗だけではできなかった、新しい買い物体験を作ることを全社的に推進しています。その時には、店頭の売場作りや店舗スタッフによる接客はもちろん、デジタルもリテールメディアも活用しますし、金融サービスといった買い物体験をもっと便利にする施策もやります。最終的には、ファミリーマートのファンづくりにつながっていきます。

お客様とつながり続けるためには、お客様がファミリーマートを好きになってもらわないとつながり続けられません。我々がつながりたいと言っても、お客様が嫌と言ったらつながれない。だから、ファンというか、愛を生み出していくくらい、良い顧客体験を作ることを目指していきます。

<国立冬樹デジタル事業部長>

■国立冬樹(こくりゅう ふゆき)氏の略歴
1973年生まれ
1998年伊藤忠商事入社、情報・金融カンパニーにてIT・サービス関連の新規事業開発や事業投資等に従事、2019年同社第8カンパニーPM(リテール関連の新規事業開発)を経て、2022年より現職

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