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食品ロス削減/消費期限ごとに価格を設定、1日複数回の値段変更も実験

2023年02月02日 16:30 / IT・システム

今村商事、まいづる百貨店は2月2日、サプライチェーンの効率化と食品ロス削減の実証実験に関する記者発表会を開催した。

同実証は、経産省が日本総合研究所に委託した「令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)」によるもの。今村商事、まいづる百貨店、サトー、西日本イシダ、日本総合研究所と共同で、国際標準の2次元バーコード(GS1 DataMatrix)を活用した期限別の在庫管理と、店頭でのダイナミックプライシングによるサプライチェーンの効率化と食品ロス削減の効果を検証する。

<ダイナミックプライシングによる価格変更>

店舗に並ぶ商品に、賞味・消費期限ごと、1日複数回も価格を変更することで、鮮度を確認しやすくし、消費者による買い物の仕方を広げるのがポイント。「もったいない」以外の価値観を通じ、食品ロス削減に取り組む消費者の裾野拡大を図る。「鮮度の高いものを購入したい」「その日のうちに消費するため、賞味期限が短くてもよい」といった顧客ニーズに合わせて、購買の幅を広げていく。

地⽅⼩売業におけるデジタル改⾰の事例創出を目指している、まいづる百貨店の実証実験参画を、データ分析研修を手がける今村商事が全面的にサポートする。

<実証実験の全体像>

今回の実証実験では、パンの入荷時に2次元バーコード「GS1 DataMatrix」が印字されたラベルを貼り付け、ラベルの発行データをダイナミックプライシングの専用ツール「サトーダイナミックプライシングソリューション(SDPS)」に取り込む。店舗商品在庫を期限別に可視化して、消費者へより効率的にお得な商品を提供し、店舗での⾷品ロス削減と、売上・利益の向上を⽬指す。

<「タギング」とは>

サトーホールディングスの海外リテール市場戦略部 DPS担当 ⼩⼝健太郎氏は、「SDPSの実現には、商品に情報を与えてデータを読み取り、システムにつないだ情報を分析・活用する『タギング』の進化が不可欠だ」とする。従来、商品に情報を与えるために使用していた1次元コード「JANコード」では、商品識別のみ行えたが、2次元コード「GS1 DataMatrix」の導入によって、商品識別コードに加えて日付情報やロット番号も表示可能になった。

<日付やロットも表示可能に>

こうした「タギング」の進化により、店頭商品の期限を目視だけでなく、システムでも確認できるようになる。さらに、これまで手作業でラベルを貼り付けていた値下げ処理を「電子棚札」で自動化でき、発注業務についても、期限別の商品在庫・売上データからAIによる自動発注が可能となった。

<電子棚札の利用イメージ>

商品の製造段階でラベル貼ることでAやBなどのグルーピングを行い、「電子棚札」にはグループごとに設定された価格を表示する。1⽇複数回、賞味・消費期限の迫った商品グループから順番に、「電⼦棚札」に表示された価格を⾃動更新する。

この⽅法で、これまで必要だった棚札(値札) の差し換えや値引きラベルの貼り付け作業など、業務の負担がどれだけ軽減されるかを検証していく。データが集まることで、より細かな価格設定が可能になる。

1月24日に実証実験を開始して約1週間、現時点での成果と課題について、今村商事の代表取締役・今村修一郎社長は、「システムが順調に連携を取れていて、1時間ごとに商品マスタの更新を継続している。システム変更の手順について、どうやったらいいかという所までは成果を出せた。メーカーと協力してのチーム作りが課題だが、組織の壁を越えて結束が出ており、こちらも上手くいっている。今後、検討を重ねて、より消費者にとって分かりやすい価格の見え方を、このチームと技術をもってして伝えていけたら」と手ごたえを明かした。

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