経産省/消費期限ごとの価格設定で供給効率化・食品ロス削減効果を検証
2023年01月24日 18:04 / 行政
経済産業省は1月24日、賞味・消費期限別在庫管理とダイナミックプライシングによるサプライチェーンの効率化/食品ロス削減効果を検証する実証実験の開始を発表した。
<事業の対象範囲と実証実験の位置づけ>
同実証は、経産省が日本総合研究所に委託した「令和4年度流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT技術を活用したサプライチェーンの効率化及び食品ロス削減の事例創出)」によるもの。
流通・物流業では現状、深刻な人手不足や、それに伴う人件費の高騰のため、運営コストが高くなっている。また、古い商習慣をベースとしたルールが残っていること、サプライチェーン上の在庫情報などの可視化・効率化ができていないことを背景として、返品や食品ロスの発生といった問題も生じている。
こうした状況を踏まえ、同事業では、IoT技術やデータの活用によるサプライチェーン全体の効率化や、社会課題となっている食品ロス削減に資する事例創出のため、令和4年度中に複数の実証実験を行う予定だ。
実証実験では、賞味・消費期限別在庫管理と、それに合わせたダイナミックプライシング(動的価格設定)によるサプライチェーンの効率化と、食品ロス削減への効果を検証する。昨年度の実験結果を踏まえ、あらかじめ設定された価格ルールに基づき、人手を介さずに1日複数回、在庫状況を踏まえた自動での価格設定によるダイナミックプライシングを行う。
期間は1月24日~2月26日まで。佐賀県唐津市のまいづるキャロット浜玉店で実施する。
<実験内容>
対象商品はパンで、商品の入荷時に二次元バーコード「GS1 DataMatrix」が印字されたラベルを貼り付け、ラベルの発行データをダイナミックプライシングの専用ツール「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(以下、SDPS)」に取り込んで、賞味・消費期限別の在庫状況を可視化する。
SDPSは、あらかじめ設定された価格改定ルールに基づき、1日複数回、在庫状況を踏まえて自動で価格設定を行う。
設定された価格は電子棚札とPOSシステムに自動連携され、消費者は電子棚札に表示された賞味・消費期限別の金額を確認・選択した上で商品を購入できる。
これらの実験結果を踏まえ、サプライチェーンの効率化と、食品ロス削減への効果を検証する。
なお、「GS1 DataMatrix」のPOSレジでの読み取り導入事例は、同実証が国内で初めて。
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