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ドムドムフード/銀座に新業態「ドムドムハンバーガーPLUS」独自性強化

2022年07月15日 17:00 / 店舗レポート

ドムドムフードサービスは7月16日、東京都中央区銀座にドムドムハンバーガーの新業態「ドムドムハンバーガーPLUS(プラス)」をオープンする。新業態オープンに先駆け7月13日、藤崎忍社長に、新業態開発の狙いとドムドムフードサービスの再生について伺った。

■愛されているブランド、それがドムドムハンバーガー

<藤崎社長>
藤崎社長

藤崎氏は、2017年に顧問としてドムドムフードサービスに参加し、2018年に代表取締役社長に就任した。ドムドムハンバーガーの当初の印象について、藤崎社長は、「オペレーションにばらつきがあり、店舗によってハンバーガーの組み立てが違うなど、商品クオリティーに課題があった」という。

そこで、社長就任時には、週に4~5回は店舗に行き、現状の店舗の課題の洗い出しを行った。同時に、スタッフと店舗を訪れる顧客の声のほか、ツイッター、フェースブック、インスタグラムなどを通して発信されるドムドムハンバーガーへの声も集めた。

藤崎社長は、「お客様やスタッフの声から分かったことは、ドムドムハンバーガーは、人々から愛され守られているブランドだということ。ドムドムハンバーガーは、数百店の店舗が事業譲渡時には36店舗まで激減していた。普通なら、淘汰されてもおかしくなかった。でも、生き残っているのは、人々の想い出の中に、ドムドムハンバーガーが有り共存してきたから。だからこのブランドを大切にしようと考えた。ブランドの歴史を礎にしつつ、スタッフやお客様の人生に寄り添い共感・共存する事で、バージョンアップしたブランドを構築したいと思った」と語る。実際、店舗が閉店すると、ツイッターなどには、「店舗がなくなったけど、最近、SNSで話題になって嬉しい」「近くに空き店舗があるから、出店して欲しい」などといった声があった。

<ドムドムハンバーガーのロゴ>
ドムドムハンバーガーのロゴ

■「おいしい」は、顧客との最低限の約束

そこで、着手したのが、おいしい商品を提供する基盤づくりだった。藤崎社長は、「ハンバーガー業界は、マクドナルド、ロッテリアなどの低価格チェーンとシェイクシャック、ウマミバーガーなどの高価格チェーンに2極化している。ドムドムハンバーガーは、低価格チェーンだが、低価格市場は、マック、モス、ケンタッキーの大手3社が市場の8割以上を占めている。そこで、原価率、人件費率、QSCといった当たり前のことをやることと、独自性の模索を同時に進めた。そのため、何店舗出店するという出店目標は持たず、ドムドムは何かということ、独自性を模索すること、店舗の営業力を均一化することに注力した」という。

独自性を模索するため、商品面では、ほぼ毎月1つ新商品を販売している。藤崎社長は、「今、世の中には、おいしいものがあふれている。おいしいというのは、お客様との最低限の約束だと思う。おいしいというのは、当たり前であり、その一歩上を行くものを新商品として開発している」と語る。

そのため、商品開発は、常においしさを起点に行っている。おいしさが最低限の約束のため、オペレーション、価格といったハンバーガーを開発する上での常識にとらわれない商品を生み出している。

<丸ごと!!カニバーガー>
丸ごと!!カニバーガー

この方針が、2018年7月に発売し、2021年12月に期間限定で再販した「丸ごと!!カマンベールバーガー」(単品税込990円)や2019年に発売し、2020年9月に復活発売し、2021年1月から期間限定で再販している「丸ごと!!カニバーガー」(単品990円)、2021年9月に期間限定で発売した「丸ごと!!カレイバーガー」(単品680円)など、SNSでも話題となる新商品の開発につながっている。

「丸ごと!!カニバーガー」は、店舗で冷凍のカニを解凍するところから調理する、「丸ごと!!カマンベールバーガー」も店舗で、カマンベールチーズを半分に切っている。通常のファーストフードのオペレーションからすると、手間のかかる商品となっている。藤崎社長は、「普通なら商品化できない商品だが、商品部が、これを売ったらドムドムが復活できるという熱い思いを持っている。また、その思いが店舗にも伝わっている。はっきりいって無茶ぶりだが、それをやってくれている。店舗には、ベテランから高校生のアルバイトまでいるが、高校生でもちゃんと調理できるように、しっかりとコミュニケーションをしているのが、ドムドムの強みとなっている」と語る。

■イベントも活用して、顧客接点を拡大

顧客から愛されているブランド「ドムドムハンバーガー」を強化するため、藤崎社長は、イベントの開催や参加も重視している。声優とのコラボレーションイベントでは、キッチンカーで出店し、ドムドムハンバーガーにあまりなじみのない、10代、20代といった若い顧客層の掘り起こしを行った。そのほか、アパレルブランドとのコラボレーション商品の販売、コロナ禍に対応したマスク販売も行い、ブランド認知度の向上を図った。

また、2019年9月、10月に期間限定イベントとして、「DOMDOM in 六本木」を開催した。「Born in JAPAN」ブランドとして日本の食材にこだわった、この日だけの限定プレミアム新作バーガーを数量限定で販売した。そこで、新業態につながる黒毛和牛100%パティを使用した和牛バーガーシリーズが生まれた。

<和牛バーガーの一例>
和牛バーガーの一例

DOMDOM in 六本木で生まれた和牛バーガーシリーズが好評だったため、2021年8月には、東京・新橋に新業態「TREE&TREE’s(ツリーアンドツリーズ)」を出店した。和牛バーガーを提供し、夜はお酒を提供する業態として運営していた。

「TREE&TREE’s」のショップコンセプトは「3Things・3Times」で、「おいしいフード・楽しいメニュー・優しいおもてなし」の3つの事柄、「朝の時間帯・昼の時間帯・夜の時間帯」の3つの時間帯に対応する店舗を目指した。また、完全キャッシュレス店舗として、新たなオペレーションにも挑戦していた。今回、「TREE&TREE’s」がビルの改修に伴い、閉店することに伴い、銀座に店舗を移転し、新業態「ドムドムハンバーガーPLUS」に一新した。

■都心で新商品を味わえる場所を提供

<ドムドムハンバーガーPLUS>
ドムドムハンバーガーPLUS

「ドムドムハンバーガーPLUS」では、移転元となった「TREE&TREE’s新橋」で人気を博していた黒毛和牛100%パティを使ったプレミアムバーガーをメインメニューとして提供する。また、ドムドムハンバーガーの人気商品である甘辛チキンバーガーを、米粉バンズにしチキンを大幅に増量させクオリティアップした商品などを販売する。さらには、既存店舗で販売している独創的な期間限定メニューも合わせて販売する。

<甘辛チキンバーガー>
甘辛チキンバーガー

新業態出店の狙いについて、藤崎社長は、「ドムドムハンバーガーは、話題となる新商品を生み出してきたが、一方で、店舗閉鎖をしているため、食べる場所がないという声もいただいている。そこで、新商品を都心で味わえる店舗として、ドムドムハンバーガーPLUSを出店した。おいしいドムドムハンバーガーの新商品を味わえる機会を増やしたい」と述べている。

ドムドムハンバーガーPLUSは、朝の営業がなく、ランチ営業から開始すること、銀座の立地特性に合わせ現金決済にも対応していることから、新業態と位置付けている。TREE&TREE’sは閉店したが、ブランドは存続させ、今後の出店も検討する方針だ。

<ドムドムハンバーガーPLUSの客席>
ドムドムハンバーガーPLUSの客席

ドムドムハンバーガーPLUSは、藤崎社長と縁があった昭和22年創業の老舗洋食屋でありカツカレー発祥の店「銀座スイス」の旧店舗に出店した。今回、銀座スイスが移転することに伴い、ドムドムハンバーガーの出店につながった。そのため、「銀座スイス」とのコラボメニューとして、本家の銀座スイスのカレーソースを使った「カツカレーバーガー」(単品1490円)も販売する。

<ワインも提供>
ワインも提供

店舗では、ワインも提供しているが、あくまで、主力商品のハンバーガーに合うお酒を用意している。お酒を売るためにメニュー開発をしたのではなく、ハンバーガーを中心にドリンクメニューを組み立てている。

<客席のディスプレイ>
客席のディスプレイ

店内は、老舗洋食屋の落ち着いた雰囲気で、ゆっくりと食事を楽しめる空間となっている。今後の店舗展開について、藤崎社長は、「ドムドムハンバーガーのおいしいハンバーガーを楽しんでもらうことが大切なことだ。ドムドムハンバーガーPLUSもその点に変わりはない。そのため、次の出店計画も未定だ」と語る。

藤崎社長は、商品のおいしさ、おいしさを担保するための従業員とのコミュニケーションを最も重視している。さまざまな改革もあり、ドムドムフードサービスは、2021年3月期、2022年3月期と2期連続で、店舗段階での黒字転換を果たしている。今後も、1店1店、丁寧な出店で、おいしいハンバーガーの提供に努める方針だ。

<藤崎社長>
藤崎社長

■ドムドムハンバーガーPLUS(プラス)
住所:東京都中央区銀座3-5-16
アクセス:日比谷線「銀座駅」徒歩2分
営業時間:平日ランチ11時~15時(L.O)14時30分、ディナー17時~21時(L.O)20時30分
土日祝10時30分~21時(L.O)20時30分
店舗面積:52.08m2
客席数:18席
想定平均客単価:昼1300円、夜1900円

■藤崎忍(ふじさき しのぶ)氏の略歴
1966年7月:東京都墨田区向島生まれ
1973年4月:青山学院初等部入学
1987年3月:青山学院女子短期大学卒業
1988年4月:結婚
1990年4月:出産
2005年8月:ブティックヤマトヤ入社 渋谷109ヤングカジュアルブティック「MANA」店長
2006年6月:同専務取締役
2010年9月:同退社
2010年10月:ニュー新橋ビル地下1階 居酒屋アルバイト
2011年5月:ニュー新橋ビル地下1階 家庭料理の店「そらき」開業
2011年11月:小玉産業代表取締役就任(経営不振実家事業承継)
2012年12月:ニュー新橋ビル地下1階 2号店「Soraki-T」開業
2015年12月:夫と死別
2017年7月:レンブラント・インベストメント顧問契約
2017年10月:小玉産業代表取締役辞任
2017年11月:レンブラント・インベストメント入社 ドムドムフードサービス出向
2018年8月:ドムドムフードサービス代表取締役社長就任

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