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ローソン/ウォークスルー決済導入店舗「Lawson Go」実装段階に

2022年10月11日 15:00 / 店舗レポート

ローソンは10月11日、東京都文京区の東京メトロ南北線「後楽園」駅直結の複合施設「文京ガーデンゲートタワー」11階の三菱食品本社内に、ウォークスルー決済導入店舗「Lawson Go(ローソン・ゴー) MS GARDEN店」をオープンした。

<Lawson Go MS GARDEN店>
Lawson Go MS GARDEN店

ローソン・ゴーは、登録した専用アプリでQRコードをかざして入店し、商品を手に持って店外に出ると、事前に設定した決済手段で、レジを通さずに自動的に決済できる技術を活用したウォークスルー決済導入店舗。お客は、専用アプリをダウンロードし、自分の「ローソンID」を用いて利用者登録し、決済に使用するクレジットカードを登録する。入店時は、アプリのQRコードで入店し、購入した商品をピックアップし、出口から退店するだけで、自動的に事前登録したクレジットカードから決済される仕組み。

<QRコードで入店>
QRコードで入店

店内設置のカメラでお客の動きを確認し、商品が置かれた棚の重量センサーと合わせることで、お客がどの商品をいくつ手にとったのかをAIが判別し、店舗を出ると自動的に決済できる。そのため、お客は商品を手に取るだけで、買い物を済ませる事が可能となる。現在、米飯、デザート、飲料を中心に約170アイテムを展開している。

<天井にカメラを設置>
天井にカメラを設置

ローソンは、リアルの店舗網を活かした「新しい便利」、人と人とのつながりから生まれる「温かい未来」の実現を目指している。立地などにより、接客など温かなコミュニケーションが求められる店舗もあれば、できるだけ早く買い物を済ませたいという利便性を追求した方がよい店舗もある。今回、オフィス内やホテル内の店舗など最短時間で買い物を済ませたいというニーズに対応するために、ウォークスルー決済という「新しい便利」を提供する「Lawson Go」を開発した。

<お客は商品を手に取るだけで決済できる>
お客は商品を手に取るだけで決済できる

執行役員の酒井勝昭インキュベーションカンパニープレジデント兼オープン・イノベーションセンター長は、「デジタルを活用して新しい未来を作る中で、無機質ではなく、新しい肌感覚のある店舗を目指した。コロナ禍により、働き方の変化、飲食店の減少、デリバリーサービスの普及といった変化が生じている。一方で、ウィズコロナの中でオフィスに人流が戻りつつあり、ローソン・ゴーで新しい便利を提供する」と出店の経緯を解説した。

<酒井オープン・イノベーションセンター長>
酒井オープン・イノベーションセンター長

ローソン・ゴーは、2020年2月に「ローソン富士通新川崎TSレジレス店」で実証実験を開始したが、コロナ禍でリモートワークが進みオフィス内の人流が減ったため、新たな展開を見合わせていた。今回、昨今の人流回復を受け、ローソン・ゴーを三菱食品本社に導入した。出社率が高まる中、飲食店、売店が減少したオフィス街で買い物やランチに不便を感じている人々への利便性向上につなげる狙いだ。

<ローソン・ゴーの店内>
ローソン・ゴーの店内

今回、MS GARDEN店は、実証実験ではなく実装段階の店舗として展開している。富士通新川崎TSレジレス店は、2020年2月26日から2022年3月31日まで、限定公開店舗での技術検証を行う実証実験店舗と位置付けていた。同店では、機器・システム動作検証、オペレーション検証、アンケートによる買い物体験検証を行った。さまざまな検証を経て、MS GARDEN店は、実装店舗と位置付けた。すでに、技術面の課題はほとんどクリアしたため、同店では、客数・収益などの数値検証、さらなる改善点の発見、アンケートによる買い物体験検証を行う計画だ。

MS GARDEN店では、既存店と同様に、店舗従業員は商品の品出し作業等は行うが、レジ業務は行わない。一方で、ローソン・ゴーの今後の拡大展開を見据えて、新たにアプリ以外の決済手段としてセルフレジを併設し、店舗運営の検証を行う。

<セルフレジを導入>
セルフレジを導入

酒井オープン・イノベーションセンター長は、「アプリやクレジットカードの登録に抵抗がある人もいるため、今回はそのハードルを下げるためにセルフレジを導入した。まずは、ローソン・ゴーを気軽に使って知ってもらたい。そしてアプリ登録につなげたい」とセルフレジ導入の経緯を解説した。

<セルフレジレーンを用意>
セルフレジレーンを用意

また、これまでは重量センサーの問題で70g以下のポケット菓子やエチケット菓子が展開できなかったが、今回は、技術革新によりフック陳列にも重量センサーを採用し、70g以下の商品も導入できるようになった。さらに、これまでは本部主導で、1週間に一度棚割りデータを見直していたが、今回から、店舗でリアルタイムに棚割りを見直すこともできるようになった。

現在の決済精度は97%~98%程度で、十分実務に対応できる水準にある。酒井オープン・イノベーションセンター長によると、「例えば、2人で入店して、店内で『これをおいしいよね』とか言いながら商品を手に取り、隣の人に渡してしまったようなイレギュラーな場面でのミスがあるが、最大30名程度までは、同時入店しても対応できるシステムになっている。コロナ禍では、三密回避の観点から15名程度の入店人数にしていたが、実用性に問題はなかった。重量センサーとカメラを組み合わせたシステムが特徴であり、決済精度は実用段階にある」と語る。

<決済についての告知>
決済についての告知

一方で、自動決済の仕組みのため、利用者には、購入商品とレシートが一致しているか、アプリに表示されるレシートと照合することを求めている。もし間違いがあった場合は、買い物から14日以内に申告すると対応する。

<値引きやポイントには制限>
値引きやポイントには制限

そのほか現在は、酒、たばこ、フライドフーズ、冷凍食品、アイス、雑誌・書籍およびATM、各種収納代行、Loppi、ゆうパック等のサービスは取扱いがない。酒井オープン・イノベーションセンター長は、「酒、たばこといった法規制がある商品は、我々の努力だけでは解決できない。無人決済店舗といいつつ、店舗に人を配置して、酒、たばこに対応する企業もあるが、それはローソンの目指す姿ではない。一方で、フライドフーズは重量センサー対応の問題だけで、例えば、からあげクンを購入した人は、この札を持ってくださいといった対応方法もあると思う。有人でなければできないサービスを導入することは難しいが、取り扱い商品の拡大は今後も検討する」と述べている。

さらに、ポイントについては現在、ポンタポイントのみに対応しているが、今後はリアル店舗と同様に、さまざまなポイントサービスにも対応する予定だ。

<店舗のそばには休憩所>
店舗のそばには休憩所

Lawson Go MS GARDEN店の店舗運営は、文京ガーデンゲートタワー1階にある「ローソン MS GARDEN店」が担当する。商品の発注・陳列・売場管理は、ローソン MS GARDEN店の従業員が行う。母店・子店方式の運営で、ローソン MS GARDEN店がLawson Go MS GARDEN店の商品分も合わせて発注する。今回、母店と子店の商品売上を分けて表示できるシステムを確立したため、それぞれ商品の売れ行きが異なっても、柔軟な発注ができる体制を整えたという。

今後の展開について、酒井オープン・イノベーションセンター長は、「施設の内装については、加盟店さんで投資してもらう必要がある。什器・システムは本部が負担し、本部と加盟店がそれぞれ投資することで店舗を拡大する。ローソンは、病院内に日本で一番店舗を展開しているほか、タワーマンションの高層階への出店要請など、さまざまな案件がある。やみくもに店舗数を追うのではなく、母店を運営するオーナーを踏まえて、地域のニーズにあった出店をしたい」と述べている。

■Lawson Go MS GARDEN店
所在地:東京都文京区小石川1丁目1番1号
三菱食品本社11階
営業時間:8時~17時(土日・祝日休業)
店舗面積:17.3m2
売場面積:11.3m2
取扱商品:米飯、デザート、飲料を中心に約170アイテム

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