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イオン／いなげやを子会社化、関東で1兆円のスーパー連合へ

2023年04月25日 17:44 ／経営

イオンは4月25日、いなげやを子会社化すると発表した。

＜イオンがいなげやを子会社化＞

※左からイオン吉田昭夫社長、いなげや本杉吉員社長、U.S.M.H藤田元宏社長

イオンは2023年11月をめどにいなげやの議決権51％相当の株式を取得し、いなげやをイオンの連結子会社とする予定だ（現在イオンはいなげやの株式を17.01％保有）。

さらに、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスといなげやを2024年11月をめどに経営統合し、「関東における売上高1兆円SM（スーパーマーケット）構想」、1000店舗体制を目指す。経営統合後、いなげやは上場廃止となる見込み。

同日行われた記者会見で、イオンの吉田昭夫社長は「いなげやとは長年の協力関係があり、顧客本位、商品重視、地域密着など企業としての志を共有している。規模のメリットがあって、高品質で、利益率の高いPBを作り込めると考えている。コロナ禍後のスーパーマーケットを取り巻く環境変化、他業種も含めた競争激化に対応し、首都圏で売上1兆円、1000店舗体制の強い連合を作りたい。また、グループで新たなネットスーパーのグリーンビーンズを開始、顧客の購買チャネルの多様化を図っている。いなげやのグループ化も、首都圏シェア拡大のため必要なチャネルの拡充となる」と説明した。

いなげやの本杉吉員社長は「首都圏のスーパーマーケット市場は成長が見込まれるが、1社の企業努力では電気代高騰、デジタル化、マーケティングなど時代の変化への対応が厳しくなってきている。よりスピード感を持って、成長し、お客様に貢献するには、大きな変革が必要だった。長年イオングループとは協力関係にあったが、グループ入りは当社の変革と挑戦にとってかかせないことだった。PBなど商品力を磨き、U.S.M.Hのデジタル施策との融合、物流2024年問題に対する物流基盤の共通化などに取り組む」と意気込みを語った。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス（以下：U.S.M.H）が4月11日に発表した2023年2月期決算は、営業収益7086億9000万円、営業利益63億8400万円（47.5％減）、経常利益65億3600万円（47.6％減）、親会社に帰属する当期利益13億3600万円（75.1％減）。2月末でグループの店舗数は、529店舗。

いなげやは2023年3月期通期は、営業収益2520億円（0.2％増）、営業利益36億円（2.1％増）、経常利益39億円（0.5％増）、親会社に帰属する当期利益17億円（29.2％減）を見込んでいる。2月末でスーパーマーケット事業の店舗数は133店舗となっている。

単純計算で両社を合わせて売上規模は約9606億円、店舗数は662店舗体制となる。

U.S.M.Hの藤田元宏社長は「いなげやは多摩地区を中心に展開、当社店舗を合わせ、首都圏に700店舗近い顧客とのタッチポイントを持てることが魅力だった。また首都圏といっても、範囲が広く、埼玉・東京のマルエツ、千葉のマックスバリュ関東、茨城中心のカスミとエリアが被らない。また、今後首都圏でシェアを伸ばすには、今までのように地域での知名度に頼った出店より、各社がフォーマットを磨き上げ、エリアにあった店舗を出店する形にしないと生き残れないと考えている。デジタル、物流の共通基盤を整備しつつ、各社の得意フォーマットを強化し、エリアに合った出店を推進していく」と述べた。

3社は今後、業務提携の深化を図る。イオンPB商品であるトップバリュの導入を拡大。商品の共同調達（ナショナルブランド商品、地域商品、輸入商品）、相互の食品スーパーマーケット、ドラッグストアの活性化に向けた取り組み、地域の客層に合わせた店舗展開などに取り組む。

また、物流センター、プロセスセンターの機能整理と活用、資材、什器、備品の共同調達、バックオフィス業務統合によるコスト削減、クレジットカード、電子マネー、ポイントカードの共同利用に向けて協力する。

さらに、ネットビジネスの共同研究、共同開発などeコマース強化、イオングループの教育制度の活用、人材交流、会員情報、POS情報を組み合わせた分析サービスの提供なども行う。

＜関東で1兆円のスーパー構想＞