羽田空港を管理・運営する日本空港ビルデングは12月14日、「羽田空港ロボット実験プロジェクト2016」を開始し、第1期採択事業者17社・17台のロボットによる実証実験を開始すると発表した。
新たに「Haneda Robotics Lab(ハネダロボディクスラボ)」を設置、12月15日から2017年2月13日まで、羽田空港国内線第2旅客ターミナル出発ロビー(南側)でプロトタイプを含むロボット製品の実験導入を行う。
館内案内、移動支援、清掃の3分野で、9月から実証実験への参加企業を募集。案内で12社、移動支援で7社、清掃で4社、合計23社から応募があった。今回、案内で8社、移動支援で5社、清掃で4社が審査の上、選定された。
プロジェクトは、経済産業省「ロボット導入実証事業」を活用し、政府が進める「改革2020」プロジェクトの実現に向けた取り組みの一つで、国土交通省・経済産業省と連携して実施する。
2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、荷物搬送、警備、翻訳など適用分野を広げながら、ロボット実験プロジェクトを継続する予定だ。
実際に利用されている公共施設で、ロボットの実証実験を行うのは世界的にも珍しい取り組み。空港という不特定多数の利用者が行き交う公共空間での実運用を想定し、ロボット自体の安全性、公共空間での稼働についての安全性、導入効果の検証を行う。
接客の要素も伴う案内ロボットでは8社が参加。インディ・アソシエイツは、遠隔操作型ロボットCAIBA(カイバ)を展開する。
遠隔地でも操縦者の動きを正確にトレースし、まるで操縦者の分身のようにふるまうことができるロボットで、今回、お客を目的地まで案内するなどの業務が的確にできるかを検証する。
日立製作所は、公共スペースや商業施設でサポートを必要とするお客のもとに自ら移動し、接客・案内などのサービスを提供するヒューマノイドロボットEMIEW3を投入する。
EMIEW3の持つ機能の中で多言語対応機能を活用し、お客へ店舗・施設などの情報案内を行う。多様なお客に合わせたサービス品質の向上、案内方法の最適化に向けた実験をする。
ソフトバンクロボティクスは、センサーで感知したデータを元に自律的に動くことができるロボットPepperを投入する。
Pepperはすでに多数の小売店で接客などに導入されているが、今回は複数台のPepperによる接客を実施。日本語、英語、中国語に対応するPepperを配置し、空港施設を案内する。
1台ですべての言語に対応することも可能だが、複数の利用者がいる場合は、同時に案内できない課題があった。今回は、あえて言語別にPepperを運用することで、より利用しやすい環境を整える。
さらに、Pepperのみで対応できない問い合わせに対しては、人によるPepperの遠隔操作で応対するなどの新たなサービスの検証を行う。
シャープは、小型で携帯できるモバイル型ロボット「RoBoHoN(ロボホン)」を投入する。ロボホンが空港内の案内を行い、お客の声による質問に、身振りや映像を交えて対応する。
今回の実験では、話し声や構内のアナウンスなど騒音が多い環境の中でどれだけ音声認識ができるか、お客の質問を理解して適切な対応ができるかなどを検証する。
日本空港ビルデング社長の横田信秋氏は、「旅客需要が拡大する中で、生産年齢人口は減少しており、ロボットによる業務遂行のニーズは高まっている。実証実験によって、ロボットのある生活に親しみをもってもらいたい。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田から世界に向けて日本の技術・世界に先駆けた社会課題への取り組みを発信する」と語った。
■HANEDA ROBOTICS LAB
https://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/hanedaroboticslab/
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