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ソフトバンク/安価で高精度なAI需要予測・映像解析で流通DX支援

2022年09月09日 14:00 / 流通最前線テクノロジーズ

「リテール向けAI映像解析サービス Powered by STAION」を提供

AI映像解析プラットフォーム「STAION(スタイオン)」は、カメラで取得した映像データをAIで分析・解析する映像解析ソリューションだ。さまざまな業種に向けてAI・映像技術で課題解決に取り組んでおり、流通・小売業に向けて「リテール向けAI解析サービス Powered by STAION(以下、リテール向けSTAION)」の提供を2022年5月に開始した。

<AI解析で人数・属性を把握と佐治氏>
AI解析で人数・属性を把握と佐治氏

「労働人口の不足が顕著なリテール業界をターゲットに、ニーズの高い課題から取り組んでいきます。リテール向けSTAIONではまず、特にリテール業界でニーズの高い、(1)人数カウント/属性分析、(2)滞在時間計測、(3)サイネージの視聴時間計測からスタートします」と話すのは、ソフトバンク法人事業統括 法人プロダクト&事業戦略本部 デジタルオートメーション事業第2統括部 AI映像サービス部 部長の佐治 秀哉氏だ。今後は順次、リテール業界でニーズの高い「リピート分析」や「商品棚分析」などの機能を追加していくという。

リテール向けSTAIONは、既存のカメラにAI映像解析用機器を追加することで、手軽かつセキュアに映像データの分析・可視化が可能となる仕組みだ。

<STAIONイメージ>
STAIONイメージ

リテール向けSTAIONを導入することで、来店する顧客の傾向を把握してそれを販促に活用したり、効果の検証を行ったりすることが可能となる。また売り場の混雑状況や滞留時間を把握することで、売り場レイアウトの効果測定、状況に沿った販促の検討が可能に。さらにデジタルサイネージの視聴傾向を把握することで、広告効果の検証や効果的な設置場所の把握も可能となる。

安価にセキュアに映像解析を実現

リテール向けSTAIONは、既存のカメラにAI映像解析用機器(エッジデバイス)を追加して利用する。情報をまず現場のエッジデバイスで解析することで、クラウドでの処理に関わるコストや、データの転送量・保管料金を抑え、また解析結果だけを通信することでセキュリティーを担保する。

<STAIONのエッジデバイス>
STAIONのエッジデバイス

「エッジデバイスは自社開発で、市場価格と比較して低価格だと考えています 。エッジデバイス一つで数台のカメラに接続可能で、ONVIF(Open Network Video Interface Forum)規格に準拠したカメラに対応しています」と佐治氏。
解析結果は、Web上の可視化ツールでいつでも見ることが可能だ。

<STAIONで複数拠点の比較が可能>
STAIONで複数拠点の比較が可能

複数拠点の比較や、カメラのグルーピング、イベント発生時の映像確認などが可能な点が特徴だ。

リテール向けSTAIONの導入事例

業務スーパーを全国に900店舗以上展開する神戸物産は、AIやビッグデータを活用して 顧客満足度の向上と業務効率化を実現する次世代型スーパーの実験店舗「業務スーパー天下茶屋駅前店」を2021年8月にオープンした。ローコストオペレーションを実現するさまざまな施策の中で、レジ待機人数の可視化と欠品商品検知に利用しているのがSTAIONだ。

商品棚近辺のカメラ映像から、陳列商品の状況をリアルタイムにAIで分析・可視化。商品の欠品を検知することで補充タイミングの最適化を実現する。また店内に設置されたカメラの映像から、特定商品の前での顧客の動向や、レジ行列の待ち時間をAIで分析し、その結果を販促やレジ稼働台数の適正化に生かす施策の検討を行っている。

「STAIONを利用して、レジ人員の最適化や欠品時の商品補充をどのようなオペレーションで最適化するかを検証しています。レジで行列していますよとか、欠品が発生していますよというのを見える化するだけでなく、それをどう最適化していくかという部分まで一緒に考え、提案しています」と佐治氏は言う。

なおリテール向けSTAIONは2022年5月に発表されたばかりではあるが、すでに多くの引き合いがあるという。「食品スーパーに限らず、ホームセンターやドラッグストア、家電量販店など、多くの引き合い、お問い合わせをいただいています。特にサイネージ関係は皆さんご興味があるようでして、より効果を上げたいというお話も多くいただいています」と佐治氏。

「サキミル」「リテール向けSTAION」の今後の展開

AI需要予測サービス「サキミル」の今後の展開について藤本氏は、「最初は客数予測のみですが、今後はサービスを拡張して、商品ごとの需要予測や、長期的な予測にもチャレンジしていきたいですし、予測をどう活用するのかという部分もセットで提供していきたいと考えています。新しいサービスについては、パートナー企業とも連携しながら、順次展開していきます」と語る。

AI映像解析プラットフォーム「リテール向けSTAION」の今後については、「店外・店内の両面から店舗のDXを推進していきます。レジ分析や行動分析といった店内の分析に加え、駐車場など店外の分析も進めていければと思います」と佐治氏。リテール向けSTAIONでは、さまざまなAIアプリを搭載することが可能なため、顧客のニーズに応じて多様な分析が可能だ。

両ソリューションは別のソリューションではあるが、連携していくことも可能だと両氏は言葉をそろえる。例えば、リテール向けSTAIONで欠品を可視化した上で、次の施策としてサキミルの需要予測を提案するなど、ソフトバンクの法人向けソリューションとして連携して進めていく。

また、ソフトバンクのグループ企業にはヤフーやLINE、PayPayなど、有力なツール、メディアがある。「ソフトバンク全体として、リアルとオンラインの融合をどう実現していくか。グループ会社とも連携しながら、DXとともにO2O(Online to Offline)の実現も推進していきます」と佐治氏。
藤本氏も「ソフトバンクにはモバイル通信サービス、グループ会社のヤフーやLINE、PayPayなどで広がる顧客接点があります。さまざまなDX事業を推進し、新規事業なども構築しながら裾野を広げ、日本のDX推進に貢献していきます」と今後の展望を語った。

■サキミルサービスページ
https://www.softbank.jp/biz/services/analytics/sakimiru/

■STAION サービスページ
https://www.softbank.jp/biz/services/analytics/staion/

<藤本氏、佐治氏>
ソフトバンク 法人事業統括 藤本氏、佐治氏

ソフトバンク
法人事業統括
デジタルトランスフォーメーション本部
第一ビジネスエンジニアリング統括部
需給最適化PF事業部
部長
藤本 康史氏
2001年、日本テレコム(現ソフトバンク)に入社。法人向けソリューション営業を経て、2018年よりデジタルトランスフォーメーション本部にて新規事業開発を推進。2022年1月にリリースしたAI需要予測サービス「サキミル」ではプロジェクトマネージャーとして事業を牽引。

ソフトバンク
法人事業統括
法人プロダクト&事業戦略本部
デジタルオートメーション事業第2統括部
AI映像サービス部
部長
佐治 秀哉氏
ソフトバンクはじめ通信事業者にて約20年M2M、IoT事業に従事し、社会課題である人手不足を映像技術で解決すべくAI映像解析プラットフォーム「STAION」を立ち上げ、リテール向け解析サービス Powered by STAIONをリリース。現在、AI・映像系サービスのプロダクトを担当。

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