木村屋×NEC／恋愛感情を味で表現「恋AIパン」で若年層取り込む

2024年01月17日 16:33 ／ IT・システム

木村屋総本店と日本電気（NEC）は1月17日、AI分析をもとに恋愛感情を蒸しパンで表現した「恋AIパン」5種（税込200円）を2月1日から順次発売すると発表した。

＜「恋愛離れ」進む若者がターゲット＞

創業155年を迎える木村屋は従来、百貨店やスーパーなどの販売チャネルで商品展開していたが、若年層の新規顧客や認知度の獲得が課題となっている。今回、同様の課題を持ち、プリンやクラフトビールなどでAIを活用した食品開発実績を持つNECとコラボ。「恋愛離れ」が進む若年層をターゲットに、若手スタッフが中心となって「若者の恋愛を応援するパン」を開発した。

＜木村屋の齋藤部長＞

新商品について、木村屋の齊藤浩二取締役兼特品統括部統括部長は「時代の変化にどう対応するかという社内の課題があり、既存品の購買層が比較的高めなことから、若者向けの商品を作ろうという発案があった。学生が多く利用するエキュートなどでも販売し、今回の企画で木村屋を知ってもらえるようにしたい」と説明する。

AIを活用した今回の商品は、バレンタインデー、ホワイトデー、新生活シーズンの3期間に分けて展開する。「恋AIパン」は5月末に終了予定だが、6月以降も若者向け施策を継続する考え。老舗感を払拭する取り組みに年間を通じて挑戦していく。

＜NECの孝忠部長＞

一方、NECの孝忠大輔 AI・アナリティクス統括部長は「恋愛感情の変化と食品の味。一見、関連性がなさそうに見える2つをAIの活用によって紐づけできた。通常、我々は企業相手のビジネスが多いが、メーカーとのコラボでコンシューマーにも知ってもらえる。新商品開発や需要予測などで、人々の幸せのためにAI技術を活用したい」と述べた。

＜今回の開発プロセス＞

「恋AIパン」の開発にあたり、まず現役高校生が参加するAbema TVの恋愛番組「今日、好きになりました。」内の会話データ15時間分と、果物・スイーツが登場する恋愛ソング約3万5000曲の歌詞をNECのAI技術で分析。恋愛時の喜び・楽観・恐怖といった感情を食品と紐づけして、恋を表現する食品上位50種をリストアップした。

その後、木村屋の蒸しパン職人が相性の良い食品の組み合わせをチョイスして完成に至ったという。完成した商品は、「運命の出会い」、「初めてのデート」、「やきもち」、「涙の失恋」、「結ばれる両想い」の5種。見た目の鮮やかさや、これまでにない素材の組み合わせ、フレーバーの相性などで開発時に苦労を重ねた。

＜結ばれる両想い／涙の失恋＞

「結ばれる両想い」は、桃味の生地にドラゴンフルーツを練り込み、ハチミツをトッピング。恋愛と聞いて多くの人がイメージするピンク色に、相手に想いが通じて心地いい感覚をパンで表現した。一方、「涙の失恋」は、青いサイダー味の生地にブドウを練り込み、ドライリンゴをトッピング。つらい気持ちをイメージさせる青や紫を使用し、叶わなかった恋の儚さを表現している。

＜解説文はAIが作成＞

また、各商品パッケージには解説文が記されており、これらの解説文はNECが開発したLLM（大規模言語モデル）「cotomi」を使って作成している。

取材・執筆　古川勝平

■「恋AIパン」詳細
種類：全5種（運命の出会い味、初めてのデート味、やきもち味、涙の失恋味、結ばれる両想い味）
希望小売価格：税込200円
販売：関東近郊のスーパー、木村屋総本店オンラインショップ、木村屋総本店直営店（キムラスタンド巣鴨店、日暮里店、エキュート上野店、大宮店、羽田空港内羽田第一ターミナルキャプテンズマーケット店、羽田第二ターミナル東京食賓館）
発売開始日：第1弾2024年2月1日涙の失恋味、結ばれる両想い味／第2弾2024年3月1日やきもち味／第3弾2024年4月1日運命の出会い味、初めてのデート味