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らでぃっしゅぼーや/配送料無料枠を拡大、ネットスーパーに対抗

2017年08月25日 14:50 / 経営

らでぃっしゅぼーやは8月25日、自社便での配送料金の設定を見直し配送料無料枠を拡大すると発表した。

<新しい配送料>
新しい配送料

同社は有機・低農薬農産物を中心とした食材の宅配事業を手がけている。これまでは、1回あたりの購入金額が8000円以上の場合を送料無料としていたが、10月2日以降は5000円以上の購入で送料を無料とする。

従来は5段階で配送料を設定していたが、購入金額で3000円以下、5000円以下、5000円以上の3段階に改定し、分かりやすい配送料とする。

現在、約19万人の会員を獲得し、会員数は増加しているものの、売上高は生協の宅配、ネットスーパー、アマゾンなどとの競争激化で減少している。

<国枝社長>
国枝社長

国枝俊成社長は、「大手配送事業者が宅配料金の値上げを発表する中で、あえて世の中に一石を投じる形で、配送料無料枠の拡大を行う。より使いやすいサービスを提供することで、有機農産物の利用頻度を拡大し、有機農産物の市場を拡大したい」と語る。

宅配料金の値上げ発表が相次ぐ中で、宅配サービスが使いにくくなると思う消費者が増えるタイミングで、配送料が無料となる購入金額を引き下げることで、売上のテコ入れを図る。

らでぃっしゅぼーやは、主力となる農産物の詰め合わせセットの定期お届け品「ぱれっと」と青果・畜産・水産・加工食品・エコグッズなど年間約1万3000アイテムを販売するカタログ注文品「元気くん」の2つサービスを提供している。

これまでは、定期お届け品の送料は購入金額に関わらず無料であったが、カタログ注文品は8000円以上購入しないと、配送料が発生していた。

今回の価格改定では、定期お届け品でも購入金額によって配送料が発生し、カタログ注文品と合計した金額で送料無料とすることで、購入金額の引き上げを目指す。

<特別配送料>
特別配送料

リピーターに対する新サービスとして「特別配送料」を導入。らでぃっしゅぼーやを3年以上利用している人、直近3か月で3回以上の購入があれば、定期お届け品と合わせて、購入金額3000円以下でも送料を無料とする。

配送料体型を変更することで、配送料無料対象者は約20%増加する予定だ。

<配送料無料対象者が増加>
配送料無料対象者が増加

取締役執行役員営業本部長の野沢千晶氏は「当社の購入のボリュームゾーンは、3000円~4000円の部分だ。この層の人々の購買金額の引き上げを図る。配送料無料枠の拡大で配送コストは増加するが、売上高が増加することで、コストを吸収できると考えている」と述べた。

らでぃっしゅぼーやは、8社の配送代理店と直接契約し、自社便による配送網を構築している。そのため、大手宅配業者が値上げをしても、配送料を維持できるという。

同社は、月に1回以上の利用者をアクティブユーザーとしてカウントしており、現在、全会員のうち約半数がアクティブユーザーとなっている。

購入金額別の売上高構成比は、2000円~4000円が約50%、5000円~1万円以上が約50%となっている。

商品別の売上構成比は、定期お届け日「らくらくぱれっと」約30%、単品農産物10%で、農産物合計で約40%。そのほか、カタログ注文品である、畜産、水産、加工食品、日用品が約60%となっている。

配送料無料購入金額をこれまでのボリュームゾーンよりもやや高い5000円とすることで、従来は、野菜は「らでぃっしゅぼーや」、そのほかの食品は地元のスーパーといった購買をしていたお客に、野菜以外の商品の購入を促す。

野菜以外の畜産や水産、加工食品などの食材も購入してもらうことで、地元のスーパーに流れていた需要の取り込みを図る。

また、配送スタッフを対象とした社内資格制度「クルーマイスター制度」を導入し、単に商品を届けるだけでなく、お客に合わせた商品提案ができる配送スタッフの育成も行っている。

国枝社長は「自社配送網を生かして、単に商品を届けるだけにはとどまらない、提案力をもった配送を行う。有機野菜という商品と商品提案ができる配送スタッフで他社との差別化を図る」と述べた。

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