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ヤオコー/「チェーンとしての個店経営」を深堀、川野社長が語る成長戦略

2017年12月15日 20:25 / 流通最前線トップインタビュー

――投資計画はどうなっているのか。

川野 次の3か年の大きな投資の一つはシステムの投資で、今期を含めて着手しており、来年の夏ぐらいに稼働する予定だ。いま新本社を建設中で、来年の秋に竣工予定になっているので、新本社が大きな投資になる。

それ以外は通常の新店の投資、改装の投資になる予定だ。

大きな投資の効果ということでは、デリカセンター、物流センターで店舗の作業を大きく変えながら、新本社に移ることで、本社内の働き方を変えていく。

今回、移転するのは、人数が増えて手狭になったということもあるが、ワンフロアを広くとり、営業のスタッフについてはほとんどワンフロアで勤務できる構造にした。

そこでのコミュニケーションの効率化と改革であったり、いままで時間を決めて大人数で集まって会議をしている、あるいは紙で資料を作っていたというところも、顔が見える中で、ちょっと集まって、そこでコミュニケーションを済ませて、スピードを上げていくということにつなげていく。

いまある部門間の壁ということについても、なくしていきたいと思って新本社を作っている。具体的な数値の効果は説明しにくいが、間違いなく意思決定のスピードアップ、それから、部門間の情報共有・情報交換が進んでいくと思っている。

改装については、ここ6、7年で比較的早いペースで進めてきたので、改装のペースはこの3年よりも若干落ちると思う。

<新本社ビルのイメージ>
新本社ビルのイメージ

――4月に連結子会社化した神奈川のスーパー「エイビイ」の新規出店はあり得るのか。

川野 エイビイとしての出店も検討を進めている。次の3か年の中での新規出店を検討している。ただ、まとめ買い型の業態であり、売場面積をある程度広くとって、そして、商圏も広く取りながら商売をしていくスタイルなので、出店の立地も慎重に検討しなければいけない。

そういう意味では、エイビイとして10店、20店と出店するのではなくて、1店舗1店舗、お店を増やすことがエイビイにとっても大事だと考えている。

エイビイ仕様のプロセスセンターをヤオコーが整備することで、そのプロセスセンターを活用して、エイビイが埼玉に出店することはあり得る。

ヤオコーの物件の中で大きな物件が出てきた時には、エイビイが出る可能性もある。価格的には北関東でも十分に勝てると思う。

ただ、エイビイは人口の多いところの方が、絶対的な売上が高くて、利益がとれるというモデルなので、50億円以上売れる立地というのが、本来のエイビイの立地だ。

――エイビイとの連携の具体策はあるのか。

ヤオコーとして、プロセスセンターの機能をどう持っていくのかという課題がある。エイビイはプロセスセンターの運営が非常に優れている。まずはエイビイのプロセスセンターをしっかり学んでいく。

それができれば、ヤオコーのプロセスセンターを活用して、エイビイの業態で、埼玉、群馬など、いまのエイビイのプロセスセンターから供給できない立地での出店も可能になる。

エイビイはほぼ100%プロセスセンター対応でやっている。ヤオコーの店からすると、店内で加工するのが強みなので、100%プロセスセンターはない。ただ、100%インストア加工もない。エイビイの人もいっているが、「中途半端にやると、結局は効率は上がらない。やるなら100%」というが、それって「ヤオコーがエイビイになってしまうじゃないか」と。

それはヤオコーの良さで支持されていることを考えると現実的ではない。何をプロセスセンターでやって、何をインストア加工でやるのか。やっぱりインストアでやろうというのが一つの結論かもしれないし、ちょっとここはまだ幅を決めかねている。

成城店は、オペレーションの実験店でもあるので、精肉部門で牛肉はインストア加工にして、豚肉、鶏肉はアウトパックで対応している。その後は、成城店の成果をみてやっていく。

アウトパックは鮮度が1日違う、インストア加工は当日切ったものだが、センター加工は通常は前日切ったものが届くので半日から1日は違う。

途中の輸送の段階で温度管理から、振動の問題など、ストレスがかかった状態でお店に来ている。ここは大きく違う。

エイビイは何が違うかというえば、配送はほぼ1時間以内で、当日の朝切ったものが店舗に届くので、そこは鮮度が違う。

<エイビイのホームページ>
エイビイのホームページ

――惣菜でアウトパックにするものとインストア加工にするものは、どう考えているのか

川野 例えば、アウトパックにしていたもので一部の加工作業をインストアに戻したものがある。ポテトサラダは一度、アウトパックにしたが、野菜のシャキシャキ感がどうしてもでないので、今は、野菜とポテトをミックスする作業はインストアに戻して、最後の盛り付けは店舗でやるようにした。非常においしい商品なので、みなさん是非、食べてほしい。

成城店では、お弁当を詰める作業程度にするなど店内作業は減らしている。

――デリカのアウトパック比率は最終的には、どのくらいにしたいのか。

川野 ちょっとその辺は決めていない。キット化は進めている。それについては、自社のセンターというよりは、複数原料を集める必要があるので、外部の取引先にお願いしている。

――次期旗艦店「東松山新宿店」はどんな店になるのか。

川野 売場面積はそれほど大きくない2145m2~2310m2くらいのお店になる。新しい取り組みを盛りだくさんに取り込むというよりは、いままで我々がやってきたことを、その売場面積の中でいかに表現をしていくのか。さらに、ディスカウントストアを含めて、多くの競合店の中で勝てる形を作りたい。

従来の生鮮を強くする、そして、デリカを強くする。この2つを2145m2という中で、いかに表現できるかが東松山新宿店のテーマになっている。2月にオープンする予定なので、是非、ご覧いただきたい。

――ドラッグストアの生鮮強化をどう見ているのか。

川野 ドラッグストアの生鮮強化では、我々の一部のお店で、クスリのアオキさんで生鮮を入れたお店と競合しているところはある。

ただ、ドラッグストアの生鮮については、絶対に勝てなければいけないところなので、特に生鮮については対抗策は考えていない。

生鮮以上にその他のグロサリーの商品、お菓子や住居関連の商品は、ドラッグストアがでることで、影響を受けるケースは多くある。この点については、価格対応、品ぞろえ対応を含めて、やる必要がある。

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