流通ニュースは、流通全般の最新ニュースを発信しています。





サツドラ/1クーポンで11万人来店、LINE活用で顧客接点拡大

2022年10月31日 14:50 / IT・システム

サッポロドラッグストアーは、LINEを活用したマーケティング戦略を推進している。

同社は単なる物販に止まらず、地域に関わるあらゆるヒト、モノ、コトをつなぎ、未来を豊かにする地域コネクティッドビジネスへの変化を図っている。

ドラッグストア事業は調剤を含め201店舗(5月15日時点)、地域マーケティング事業において共通ポイントカード「EZOCA」会員205万人・323コミュニティー、加盟店188社・812店舗の基盤(2022年4月時点)を持つ。

現在、より効果的な顧客サービス、販促に向けてLINEの3つのサービス(LINE公式アカウント、LINEチラシ、LINE POP Media)を活用している。

LINE公式アカウントでは、月初に配信する定期クーポンを受け取った顧客のうち、約11万人が来店・購買(2022年7月配信実績 サツドラ調べ)と高い効果をあげている。

また、特売情報を個店ごとに集約し、商圏内のユーザーに配信可能なLINEチラシ、店頭POPのLINE版で直接、顧客のスマホに情報を届けるLINE POP Mediaも、ターゲットを絞った販促で顧客拡大に貢献しているという。

<LINEで効果的な販促実現と坂本氏>
LINEで効果的な販促実現と坂本氏

サッポロドラッグストアーCDO兼 営業企画部 マーケティング担当マネジャーの坂本武史氏は「来店客を分析すると、ポイント5倍デーとなる0が付く日などは圧倒的に70代が多く、土日は若年層など働いている世代が多い。新聞購読が減る中、シニア向けの折り込みチラシを継続しつつも、デジタルで顧客接点を増やすという必要を感じている。また、曜日や日にちによってアプローチ方法を使い分けることも重要だ。そこで、当社は自社アプリに加え、LINEのサービス活用で顧客接点を拡充している」と説明している。

<日にちで来店客のアプローチを変える必要がある>
日にちで来店客のアプローチを変える必要がある

LINEで新規顧客を獲得し自社アプリダウンロードにつなげる

同社では、LINEもオウンドメディアと位置付けている。生活者の多くがすでにダウンロードしているLINEの優位性を生かし、LINE公式アカウントの友だちを増やし、顧客のすそ野を広げる戦略をとっている。2022年7月時点でサツドラの友だち数は59万人(2022年7月末時点 サツドラ調べ)まで増加している。

月の初めには5%オフクーポン、中旬・下旬にはポイント5倍クーポンを配信。あらかじめ配信の時期を決めておくことで、生活者が、クーポンが届く時期の予測を立て、利用しやすくしている。

この効果を計るため、「EZOCA」会員情報と顧客のLINEアカウントを紐づけ、クーポンの配信による売り上げ増加効果を分析。クーポン利用者は非利用者に比べ、月間の来店頻度が1回以上高くなっていることがわかった。

また、LINE公式アカウントの友だち数増加に向けて、店頭で友だち募集を案内するためのPOPを掲示。友だち追加でクーポンを進呈することをレジでスタッフが呼びかけるなどの施策を進めている。

2021年7月に友だち追加の声掛けを強化した店舗では、前月に比べ新規友だち追加数が1.9倍になる効果をあげた。

<声掛け強化で新規友だち追加数が1.9倍に>
声掛け強化で新規友だち追加数が1.9倍に

また、友だち追加時に付与しているクーポンの利用状況を分析し、LINE公式アカウント経由の売り上げを可視化することで各店舗のモチベーションアップにつなげている。

メッセージ配信でも効果検証と改善を繰り返し、現在は最も訴求したいコンテンツを3吹き出し目に設定している。コンテンツの配信順を変えるだけでも、インプレッションが3~4倍違うケースがあるとしている。

<コンテンツの位置も重要になる>
コンテンツの位置も重要になる

配信対象の絞り込みなどクーポン配信方法を工夫

配信方法も工夫しており、コンテンツに応じて配信方法を使い分けている。友だち限定クーポンなどは一斉配信、WEBチラシ・キャンペーン情報はセグメント配信、購買対象が限定される商品の訴求には「Messaging API(※)」を活用し購入履歴に基づく単品クーポンの配信を行っている。

※「Messaging API」は、LINE公式アカウントを通じたユーザーとの双方向コミュニケーションを実現する、LINEが提供するAPI(Application Programming Interface)です。Messaging APIを活用することで、ユーザーへの一方的なメッセージ配信だけでなく、特定のユーザーに対してより最適化されたメッセージを送り分けることができるようになります。さらに、ユーザーの同意のもと、企業の持つ既存のデータベースや自社システムとLINE公式アカウントを連携させることで、顧客管理(CRM)ツールや、業務ソリューションツールとしての利用も可能になります。 (※LINEでは、LINE公式アカウントに紐付いた各企業の顧客データを保持することはありません。)

<配信の使い分けで効果的に顧客に訴求>
配信の使い分けで効果的に顧客に訴求

チラシやクーポンの配信は月に6~7回行っているが、一斉配信ではライトユーザーを中心に安定した来店・購買促進効果を見込む。

セグメント配信では、配信先を過去10回分の一斉配信でインプレッションがあったユーザーなどに絞り込んでいる。メッセージ配信の閲覧率が高いユーザーのみに配信し、コストを抑ええるとともに、効果的な販促を実現している。

<セグメント配信で開封率アップ>
セグメント配信で開封率アップ

2022年6月1日〜7月15日に配信した一斉配信とターゲティング配信の開封率、クリック率の平均を調べたところ、セグメント配信の開封率は一斉配信に比べ約13%増、クリック率は約34%増(一斉配信とターゲティング配信の開封率・クリック率の平均 サツドラ調べ)だった。

また、「Messaging API」を活用したEZOCA IDとの連携によるターゲティング配信も行っている。ベビー用品の購入履歴があるユーザー約5000人にベビー用おむつのクーポンを配信した事例では、クーポンの利用率が4~5%となった。

<アイテム限定クーポンをより効果的に配信>
アイテム限定クーポンをより効果的に配信

坂本氏は「アイテム限定クーポンは一斉配信の場合、利用率は1%以内なのが通常。Messaging APIを活用して購買データを抽出、属性を分析することで、より効果的なクーポン配信が可能になる」としている。

LINEチラシは折り込み広告の1/4コストでリーチ可能

LINEチラシは、新聞の折り込み広告などに使われるチラシを電子化し、「LINE」で配信するサービス。ユーザーのエリア情報を基に、近隣店舗の情報(チラシ)などをLINE上に表示することができる。

LINEのウォレット面からLINEチラシのホーム画面に遷移し、近隣の店舗を「マイショップ」として登録したり、目当ての商品を「買い物リスト」に追加したり、ユーザーを店舗情報ページに誘導することも可能となっている。

LINEチラシの月間PVは230万PV、折り込みチラシの約1/4のコストでリーチできるといったメリットを持つ。

サツドラはLINEチラシを2年以上前から採用しており、新規友だち追加の10%がLINEチラシ経由(2022年7月実績 サツドラ調べ)となっている。

さらに、LINE Beacon(※)を使った来店計測実験を7月15日~8月2日実施した。

※店舗等に設置されたビーコン端末からの信号情報と連動して、「LINE」から通知やメッセージなどを送ることができるサービスです。店舗側での利用にあたっては「LINE Beacon」対応のBeacon端末が必要となります。また、ユーザー側で「LINE Beacon」を受信するには、スマートフォン端末とLINEアプリの両方での設定が必要となり、「LINE Beacon」の利用同意を得ているユーザーが対象となります。( https://guide.line.me/ja/account-and-settings/settings/line-beacon.html

LINEチラシ閲覧後に来店したユーザーのうち、Bluetoothをオンにしているユーザーを30%と仮定した時の推計来店数を調査したところ、来店率は約30%(※)だった。

※2022年7月15~8月2日の実証実験の結果。拡大推計の数値を採用。
※拡大推計とは:LINEチラシ閲覧後に来店したユーザーのうち、Bluetoothをオンにしているユーザーの割合を仮定し、それをもとに推計した来店数

<LINEチラシ閲覧後来店率がアップ>
LINEチラシ閲覧後来店率がアップ

紙のチラシと違い、来店購買計測を可視化することができ、同社ではさらなるデータ活用、購買データとの連携を推進したい考えだ。

店舗をメディア化するLINE POP Mediaを活用

LINE POP Mediaは今年6月にローンチされたサービス。店内に設置したLINE Beaconを通して、小売店舗内のユーザーのLINEのトークリスト最上部に広告掲載が可能な広告メニューとなっている。

紙のPOPなどの施策をデジタルで代替し、購買直前のユーザーにアプローチすることで、商品棚への誘引や購買の後押しを図る。紙のPOPと違い、貼り替えなどの手間がなく、スタッフの業務削減効果も見込む。

メーカーにとって、販促キャンペーン・商品の認知形成ラストワンマイル購買促進、小売貢献の効果を想定。小売りにとっては、カテゴリ売上・客単価のアップ、オペレーションコスト削減、店頭のメディア化・収益化を実現する。

坂本氏は「コロナ禍で、買物を手早く済ませたい生活者の計画購買が増えているのを感じる。しかし、リアル店舗ならではの楽しさ、店舗内で瞬間的にお客様の心を掴み、商品との出会いの機会を創出したいという思いから、LINE POP Mediaを導入した。商品との出会い、店舗での気づきを提供する。計画のないものを買う楽しさ、ついで買いで、アップセル効果も期待できる」と意気込む。

同社では2020年、LINE POP Mediaの実証実験を実施した。LINEを店頭でチェックするとお得な情報が得られるという店頭販促物あり/なしの店舗群で、LINE POP Mediaの認知・訴求効果の検証を行った。

LINE POP Mediaと店頭販促物ともになかった店舗に比べ、LINE POP Mediaを採用した店舗では売り上げが前月比で約40%アップ、LINE POP Mediaと店頭販促両方を実施した店舗では約55%(※)アップした。

※キャンペーン実施前の6月16日~7月15日と実施中となる7月16日~8月14日の販売個数を比較した際の伸び率の比較/サツドラ調べ

<LINE POP Mediaも活用>
LINE POP Mediaも活用

サツドラでは今後も、LINE POP Mediaを活用した、リアルな店舗だから提供できる買い物体験の提供を推進する。トーク欄の最上位に広告を入れるLINE広告、LINE POP Media・アプリなどを活用した店頭コミュニケーション、集客~購買の分析で、引き続き店舗のメディア化によるメーカー販促の獲得につなげたい考えだ。

また、LINEチラシの来店購買計測の可視化、EZOCAなどのデータ活用・購買データとの連携、LINEミニアプリを使ったLINE上での会員証表示といった施策とともに、生活者とのデジタル接点を拡大していく。

※8月31日開催「LINE LOCAL DAY 2022」サッポロドラッグストアー講演をもとに構成

■サービス概要:LINE公式アカウントLINEチラシLINE POP Media

■各サービスの詳細についてはこちらからお問い合わせください

■ソフトバンクグループの関連記事
ソフトバンク/安価で高精度なAI需要予測・映像解析で流通DX支援

関連記事

IT・システム 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧