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キリンシティ/新業態「クラフトマルシェ」セルフオーダー導入

2019年12月09日 17:30 / 店舗レポート

キリンシティは12月11日、東京・恵比寿に新業態のクラフトビールレストラン「クラフトマルシェ 恵比寿店 by Kirin City」をオープンする。

<クラフトマルシェの店内>
クラフトマルシェの店内

クラフトマルシェは、2013年対比で2017年にほぼ市場が倍増し、2018年に認知率が88%に拡大したクラフトビール市場に向けた新業態。

20代を中心とした若年層のビール離れが指摘される中、WEBを中心にクラフトビールの記事件数が増え、20代でクラフトビールに興味を持つ若年層の取り込みを目指す。

<タップマルシェ4台導入、最大16種提供>
タップマルシェ4台導入、最大16種提供

キリンビールでは、クラフトビール市場の拡大に合わせて、3L小型ペットボトル容器と小型多品種ディスペンサーを組み合わせて、クラフトビールを提供する「Tap Marche(タップ・マルシェ)」を2018年3月から、全国で展開している。

2019年末には、全47都道府県の1万3000店が導入した。当初は、キリンビールが製造するクラフトビールのみの提供だったが、現在は、全国各地のクラフトビールとの協力関係を確立し、20種類以上のクラフトビールを提供している。

今回、クラフトマルシェでは、タップマルシェ4台を導入。常時12~16種類のクラフトビールを提供する。

キリンシティの主力業態であるビアレストラン「キリンシティ」の客単価は、昼1500円、夜のピーク3500円、通しで2500円程度。クラフトマルシェの客単価は、ディナーのみの営業で3000円程度、客数は、年間で2万3000人を目標とした。

<テイスティングサイズのグラスを用意>
テイスティングサイズのグラスを用意

今回、1杯120ml(税別400円均一)のテイスティングサイズのグラスを用意した。江田雄太社長は、「気軽に立ち寄って、気軽にさまざまなクラフトビールを楽しむ店舗を目指した。クラフトビールは、単価が高いという課題もあり、テイスティングサイズを用意することで、より多くのクラフトビールを楽しんでもらいたい」と語る。

<シュピゲラウのグラスを採用>
シュピゲラウのグラスを採用

また、クラフトビールは多用な香りが特徴のため、1杯250ml(600円均一)で提供する主力のフレーバーサイズでは、今回ドイツのグラスメーカー「シュピゲラウ」のクラフトビール専用グラスを用意した。

インディアンペールラガービアグラス(写真左端)、インディアンペールエールビアグラス(左から2番目)、チューリップ型グラス(左から3番目以降)を用意した。

気に入った銘柄のある人に向けては、1杯500mlのドリンキングサイズを1200円均一で提供する。

<フードメニューの一例>

クラフトマルシェは、市場(マルシェ)をイメージしており、フードメニューはキリンシティの約50%に絞り込んだものの、ライブ感のあるオープンキッチンでメニューを提供する。

メインの料理は、鶏肉の6種の部位を最大8時間低温調理するチキンコンフィで、チキンコンフィ種のマルシェ盛り1080円(写真中央)を提供する。7種類の野菜を3つの味わいで楽しめるベジ煮込み3種のマルシェ盛り1080円(写真左端)も看板メニューとした。

<フードメニューはライブキッチンで提供>
フードメニューはライブキッチンで提供

煮込み料理は、鍋から直接取り分ける方式を採用。鍋の保温は、IHを活用し、人が温かさを感じる60~65度の定温管理をすることで、鍋底の料理であっても煮詰まりすぎない工夫をした。

■モバイルオーダー導入、人件費を大幅に削減

新たな取り組みとして、スマートフォンを活用した新サービス「セルフオーダー&ペイ」を導入した。20代の主要な情報源であるスマートフォンに着目した施策。

セルフオーダー&ペイは、スマートフォンで予約、店内では好きなタイミングで注文でき、スマートフォン内で会計もできる仕組み。

<モバイルオーダーの利用イメージ>
モバイルオーダーの利用イメージ

LINEと連携した仕組みを採用しており、退店後は公式LINEアカウントを通じて、お得な情報発信など顧客とコミュニケーションを図り、CRM(Customer Relationship Management)を推進する。

店舗では、注文を取りに行くホールスタッフが削減できる効果があるため、セルフオーダー&ペイによる業務効率改善、オーダリングシステムの低投資の両立を目指す。

<客席から見た店内>
客席から見た店内

通常は、社員2人体制で、キッチンとホールスタッフは別々に対応するが、クラフトマルシェでは、社員は店長1人体制に変更した。キッチンとホールスタッフは兼務とすることで、全員がキッチンで調理ができビールを注げ、客席に商品をサーブできる体制を確立した。

<地下1階の店舗外観>
地下1階の店舗外観

地下1階という賃料を抑えられる立地、ランチタイムは営業しない、メニューは既存店の約半分に絞り込むなど、ローコストオペレーションにも取り組み、競争力のある収益モデルの確立も目指す。

<通常レジも用意>
通常レジも用意

一方で、スマートフォンを持たないお客や現金やクレジットカードでの決済に対応するため、タブレット端末を活用した通常レジも用意した。通常の決裁手段にも対応することで、シニアも含めた幅広い客層へ対応する。

<江田社長(中央)>
江田社長(中央)

江田社長は、「ビールは苦い、ジョッキで飲む、おやじ臭いといった悪いイメージが若年層にははある。1杯400円から気軽に、多様なクラフトビールを味わいを楽しめる業態を作ることで、まずはビールを知ってもらいたい。そして、クラフトマルシェからキリンシティへ、キリンシティからキリンビールの商品の利用へつなげていきたい」と語る。

セルフオーダー&ペイは、既存のPOSレジシステムと異なるシステムとなるため、既存店ではシステム改修をしないと導入できない。そのため、キリンシティへの導入はいまのところ未定となっている。

2号店について、江田社長は、「まずは恵比寿の1号店を成功させたい。来年中には2号店をオープンしたいと思っている」と抱負を述べた。

<地上の店舗入口>
地上の店舗入口

■クラフトマルシェ恵比寿店 by Kirin City
所在地:東京都渋谷区恵比寿1-15-4
メゾン115地下1階
TEL:03-6455-7701
営業時間:17時~23時
店舗面積:75.04m2
席数:38席(全面禁煙)
https://craftmarche.jp/

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