ビームス設楽社長/「会社の枠を越えて、明るく楽しい社会現象を起こしたい」
2024年12月02日 15:13 / 店舗レポート
2026年2月に創業50周年を迎えるビームスは、新たなビジョン「Happy Life Solution Communities(ハッピー ライフ ソリューション コミュニティーズ)」を策定した。同ビジョンを体現する店舗として、11月30日横浜モアーズに新業態のライフスタイル・エンターテインメント提案型店舗「ビームス ライフ 横浜」をオープンしている。設楽洋社長に新ビジョンと「ビームス ライフ」開発の狙いを聞いた。
――新ビジョンについて教えてください
設楽 「Happy Life Solution Communities」は、会社の枠を越えて、明るく楽しい社会現象を起こし、全ての人が幸せになれるコミュニティーづくりを目指します。
当社は、1990年代、まだ誰も見たことのないモノを日本に紹介し、2000年代にはモノを使って楽しむコトに視点を広げてきました。2010年代以降は、コトからヒトへ、ヒトを起点にしたビジネスに取り組んでいます。
――「ビームス ライフ」開発の狙いは
設楽 ビームスは、人口50万人以上の都市に(アパレルなどの)総合店を出店してきました。これからは、コンセプトショップが重要になってきます。現在のコンセプトショップとしては、日本の魅力を発信する「BEAMS JAPAN」、「BEAMS JAPAN GATE STORE」(国内の名所・景勝地など魅力ある地域で、地元事業者と共に土産物開発や店舗運営をする地域共創型の出店プロジェクト)があり、モノを売るだけでなく、その土地の魅力も発信しています。
また、ファッションにアート、カルチャー、エンターテインメントを絡めたメガショップとして、「ビームス ライフ 横浜」をオープンしました。
これだけデジタルが発達した時代になると、物を買うだけなら、ECで十分です。ECでできないことは、人と人とのつながりだったり、人の体温を感じたりすることです。
「ビームス ライフ 横浜」は、アパレル、食、本、アートが自然に入ってくるような店づくりをしています。ネットの検索では、フィルターなどから、どうしても検索したものとその周辺に情報が偏りがちです。
行かなければわからない空気感、行く途中で見たもの回り道したから見えるものがリアルでないと得られない価値です。
また、店舗の役割は、自分の買いたいもの以外も見つけられること、コミュニティーに、同好の士が集まって、交流を生むことだと思っています。
新店舗は、各セクションに精通したスタッフが担当し、AKBではありませんが、推しのスタッフに会いに行ける劇場のような店舗を目指しています。
――スタッフの個性が生かされた店舗なのですね
設楽 通常の店は、作る人と売る人がわかれています。しかし、ビームスではデザイン、バイイング、企画提案をスタッフが手掛けるので、その人間が売る強さ、作る人と売る人が一体となっているところがビームスの強さです。
当社のオンラインストアでは、ビームススタッフがセレクトした商品を販売する「個人商店」の「B印MARKET」を展開していますが、そこから初めての食物販が「ビームス ライフ 横浜」に登場しています。
さらに、サーフ&スケートの自社ブランド「SSZ」コーナーを担当しているスタッフには、コアなスケーターがお客様、ファンになっていただいています。平日はビームスのスタッフ、休日は鎌倉野菜の栽培をしている彼の生きざまにお客様がついています。
――横浜に新業態を出店した理由を教えてください
設楽 横浜岡田屋とのご縁で、今までよりカルチャーを感じる店舗を入れたいという希望がありました。当社も50周年から先のテーマを実現できる店舗を考えており、「ビームス ライフ 横浜」が誕生しました。
私や横浜岡田屋の岡田伸浩社長は、横浜や神戸が海外からの文化とクロスオーバーして、東京以上に盛り上がっていた、1960~70年代を知っていますし、横浜をまた盛り上げたい気持ちもあります。
――スターバックスともコラボしていますね
設楽 以前から、グッズのコラボはしていたのですが、コラボグッズはスターバックスで売っていました。今回は、特別にスタバ店舗と隣接した常設の飲食スペースでコラボ商品を販売します。これからもスタバとはいろいろコラボする計画です。
――「ビームス ライフ」の今後の出店は
設楽 東京、大阪など大都市の拠点となる店の出店を考えています。横浜で実験して、レディスアパレルも含めた次の店を検討します。また、「ビームス ライフ」から派生して新たなコンセプトショップが生まれると考えています。
取材・執筆 鹿野島智子
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