セブン&アイ、イズミ/業務提携で中国・九州エリアの食品売上約1兆円に
2018年04月05日 21:00 / 経営
セブン&アイ・ホールディングスは4月5日、イズミと業務提携したと発表した。現時点では、業務提携であり、資本提携は視野に入れていないという。
取締役常務執行役員の伊藤順郎氏は、「中期経営計画で掲げたエリアと業態の選択を集中を進める一環。イズミとイトーヨーカ堂は、出店エリア異なり、地理的に補完関係にある。イズミの直営売場とテナントをミックスした総合スーパーの運営手法を学ぶことで、ヨーカ堂の構造改革も進める」と提携の狙いを説明した。
業務提携により、イトーヨーカ堂とイズミで、仕入の統合、輸入品や地域産品などの共同調達、その他商品の共同調達・商品供給を検討する。
イズミの総合スーパーの直営売場面積はヨーカ堂よりも約10%少なく、テナントミックスが進んでいる。
ヨーカ堂でもテナントの売場面積を拡大しており、イズミの手法を取り入れて構造改革を進める方針だ。
兵庫県を含む中国・九州エリアの2015年の食品市場規模は8兆8841億円と推計されている。
2016年度のセブン-イレブンやイトーヨーカ堂などグループ企業を合わせたセブン&アイの食品売上高は7720億円でエリア内シェアは8.7%、同年度のイズミの商品売売上高は2065億円で、両社の合計売上高は9785億円、シェアは11.0%に拡大する。
イズミの主な出店エリアである中国・九州エリアには、セブン-イレブンも出店している。2月末現在、セブン-イレブンは中国1989店、九州2246店、合計4235店を展開、合計売上高は約1兆円となっている。
両社とも衣料品と住居用品を販売しており、合計売上高は、衣料品2480億円、住居用品1672億円となる。イトーヨーカ堂から見ると、衣料品、住居用品で約40%売上が伸びるインパクトがある。
そのため、セブンプレミアムをイズミで販売することを含めて、商品の共同調達や仕入れの統合を進め、スケールメリットを生み出す狙いだ。
イトーヨーカ堂の最西の店舗である、広島県福山市の「イトーヨーカドー福山店」については、来春をめどに営業をイズミに移管する計画だ。
福山店については、イズミが継承するが、もう一つの中核商業施設である天満屋ストアとともに、同ショッピングセンターを地域一番の商業施設として一段と魅力あるものにする予定だ。
出店政策では、お互いのグループが持つ専門店を中心に相互出店を行う。
これまで、イズミが運営するショッピングセンターに、セブン&アイグループは、赤ちゃん本舗6店、ロフト4店、セブン銀行ATM8台を出店している。
一方で、イズミが展開するセレクトショップ「エクセル」が、セブン&アイグループが愛知県で展開するショッピングセンター「プライムツリー赤池」に出店している。
総合スーパーをお互いのエリア内に出店することはないが、専門店を相互出店して、出店で協力するという。
セブン&アイグループとの提携として、電子マネーでも協力を進める。セブン&アイの電子マネーナナコと、イズミの電子マネーゆめかの相互利用をすすめ、お客の利便性を高める。
伊藤常務は、「イズミとは、従前から情報交換をしていた。世の中の変化が激しい中で、昨年の春頃に先方から申し出があり、具体的に話が進んだ。イズミとはあらゆる可能性を考えて、できることから検討する」と語った。
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