三越伊勢丹HD/27年度総額売上高1兆4000億円、営業利益850億円目指す
2024年11月13日 18:46 / 経営
三越伊勢丹ホールディングスは11月13日、「2025~2030年度 中期経営計画」を発表した。
現中期経営計画(2022~2024年度)では、「百貨店の再生」を最大の目標に掲げ、4つの重点戦略「高感度上質」「個客とつながるCRM」「連邦制」「まち化」を推進してきた。
2024年度に営業利益350億円、2030年度500億円を計画。百貨店の再生戦略が功を奏した結果、2023年度には当初計画を大きく上回る連結営業利益543億円を達成し、過去最高益を更新している。
新中計について、細谷敏幸社長は「6年間でまち化に向けた準備をしていく。まち化は、あくまでも顧客を集めるための手段という考え方だ。今年度はデパートメントストア宣言120周年を迎える大きな変革の年。館業から顧客業に向かってまい進したい。
まずは6カ年で新宿地区の1カ所に着手する。色んなコンテンツを組み合わせて街を作っていく。最初はどんなコンテンツが良いか各社と議論している最中だ。調整して決まり次第お知らせする」と意気込みを語った。
三越伊勢丹の掲げる「まち化」では、百貨店を中核に複合用途を広げ、インフラ機能まで展開することで世界中の顧客を街に呼び込み、不動産のみにとどまらない独自の収益モデルを目指している。
2025年度から始まる次期中期経営計画は、まち化の着工・完工時期を踏まえて2025~2030年までの6カ年で策定した。
前半の3カ年2025~2027年度をまち化計画期間(まち化準備フェーズ1)、後半の3カ年2028~2030年度をまち化設計~着工期間(まち化準備フェーズ2)としている。
計6カ年を百貨店業から個客業への変換を進める重要な準備期間と位置づけ、重点戦略と百貨店事業、不動産事業、金融事業、国内関連事業など各事業の強みを生かした連携を強化・推進する。その先の「結実フェーズ」に向かっていく。
前半の最終年度2027年度に、総額売上高1兆4000億円、営業利益850億円、当期純利益620億円を目標に設定した。
2030年度には、総額売上高1兆5000~5500億円、営業利益1000~1100億円、当期純利益720~790億円を目指す。
また、「個客」識別化に引き続き取り組む。海外アプリ会員を含む識別顧客売上高と、グループ年間300万円以上の購買顧客売上高をKPIとして設定する。細谷社長は「今はまだ国内の顧客をKPIに設定しているが、次の中計ではインバウンド顧客ではなく、全世界のお客様という考え方にしたい」と語る。
2027年度は、識別顧客売上高6870億円(2024年度比12%増)、グループ年間300万円以上購買顧客売上高1900億円(3%増)とした。
2030年度には識別顧客売上高7140~7310億円(2027年度比4~6%増)、グループ年間300万円以上購買顧客売上高1910~1950億円(1~3%増)を計画している。
さらに、識別顧客数の拡大と個客とのつながりの深化により、連邦利益の最大化に向けた新たな仕組みを設計。まち化準備フェーズでグループ連邦体制を確立する。2030年度には営業利益1100億円水準のうち、連邦利益160億円水準、シェア14%超を目指す。
■三越伊勢丹の関連記事
三越伊勢丹HD 決算/4~9月増収増益、アプリ会員増加・高感度上質戦略が奏功
流通ニュースでは小売・流通業界に特化した
B2B専門のニュースを平日毎朝メール配信しています。