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コンビニ/「中華まん」改良、大手3社が生地を刷新・工場ライン新設も

2018年08月23日 18:00 / 流通最前線トレンド&マーケティング

大手コンビニ3社の2018年の「中華まん」販売が始まった。7月31日に販売を開始したローソンを皮切りに、セブン-イレブンは8月14日、ファミリーマートは8月21日、中華まんの販売をスタートした。

<ファミリーマートの中華まんディスプレイ>
ファミリーマートの中華まんディスプレイ

2018年の中華まんは、各社とも生地の改良を加えているのが共通した特徴となっている。

<大手3社の主力商品と価格>
大手3社の主力商品と価格

主力商品の肉まんの価格を比べると、セブン-イレブン「本格ジューシー肉まん」(税込128円)、ファミリーマート「熟成生地の本格肉まん」(130円)、ローソン「ジューシー肉まん」(130円)でほぼ横並びとなった。あんまんは各社とも120円で販売している。

定番商品に加えて、ワンランク上の商品も投入しており、セブン-イレブンは、「もちもち特製豚まん」(180円)、ファミリーマートは「ファミマプレミアム肉まん」(198円)、ローソンは「4種具材の極上肉まん」(180円)などを投入する。

<セブン-イレブンの中華まんの製法>

出典:セブン-イレブンプレスリリース

最大手のセブン-イレブンは、「中華まん」の中でも定番商品である、肉まん・あんまん(2種類)・ピザまんの計4種類を全面刷新した。

本格ジューシー肉まんでは、生地の製造工程を大幅に見直すべく、オリジナルの製造ラインを導入した。

手包み品質に近い包餡を実現することで、生地に与えるストレスを軽減し、ふんわり感のある生地に仕上げた。

発酵の時間は、一般的には3時間程度といわれる中、今回は20時間以上かけることで、今まで以上にしっとり口どけのよい生地とした。

従来の製法では、生地と中具を筒状に押出してからシャッターでカットし丸めて成型していた。新たな製法では、生地を1つずつ丸め、具材を生地に載せて、下から包み込むように成型する製法を採用した。

セブン-イレブンの中華まんを共同開発している中村屋は、7月に埼玉県入間市に、セブン-イレブンの中華まん専用ラインを含む「武蔵工場」を竣工させた。

中村屋は、中華まん市場が拡大していると判断し、約100億円を投資して新工場を建設している。

<ファミリーマートの中華まんの包餡工程>
ファミリーマートの中華まんの包餡工程

ファミリーマートは、中華まんを共同開発している井村屋の協力を得て昨年、中華まんを大幅刷新した。

井村屋は、2017年7月に約20億円を投資し、中華まんの品質向上を図るため工場を新設している。

ファミリーマートの中華まんは、中華街・専門店の品質を目指しており、新しく5ラインを新設した。

従来の設備は、生地混合後の発酵工程がなく、包餡後に発酵させて蒸していた。

新ラインは、生地混合後に一次発酵をさせ、熟成発酵生地を生成し、シート成型ラインで包餡語、二次発酵をさせ蒸すという工程を採用した。

一次発酵を取り入れ、熟成発酵生地を作ることで、より専門店の中華まんのように、しっとりしたモチモチ感のある食感に仕上げた。

ファミリーマートはプレミアムシリーズを強化しており、9月25日から10月中旬まで、「ファミマプレミアムチャーシューまん」(235円)を販売し、季節ごとのスポット商品を追加投入する。

10月中旬から11月下旬まで、「同ピザまん」、11月下旬から1月上旬まで「同チーズ肉まん」、1月上旬から2月中旬まで「同イベリコ豚まん」を追加投入することで、中華まん販売のテコ入れを図る。

今年は、旨みのある熟成発酵生地を使用し、蒸した中華まんをさらに焼くことで、まるでパンのような見た目の新機軸商品として、「焼きパオズ」をシリーズ展開する。

第1弾として、10月2日から11月中旬には「焼きパオズ(包子)クワトロチーズ」(130円)を販売する。

パンに合う具材を選び、カマンベール、パルミジャーノレジャーノ、ゴーダ、ゴルゴンゾーラの4種を組み合わせたコク深い味わいのクワトロチーズを具材に採用した。

11月中旬から12月下旬までは「ハッシュドビーフ」、12月下旬から1月下旬まで「エビグラタン」、1月下旬から2月下旬まで「ハム&チーズ」を販売する計画だ。

<ローソンの中華まんディスプレイ>
ローソンの中華まんディスプレイ

ローソンは、オリジナルの中華まん専用粉を採用し、ふっくらとした口どけを目指した。ローソンの中華まんはフタバ食品など、複数社が製造している。

従来、中華まんは、店舗へ冷凍した状態で納品され、冷蔵庫で1時間以上解凍して、中華まん専用什器で40分蒸し上げる工程を採用していた。

中華まん専用粉を使用することにより、冷凍した状態のままで蒸し上げることが可能になり、店舗オペレーションが軽減されるほか、中具に水分が保持されているまま、蒸し上げることで、よりジューシーな味わいに仕上げた。

コンビニを利用するコアな男性客に向けては、定番メニューを改良した。位峰で、働く有職女性に向けては、付加価値メニューを開発し、他社が真似できない差別化メニューを投入する。

8月21日からは、日清食品の人気キャラクター「ひよこちゃん」とコラボレーションした「ひよこちゃんまん」(200円)を販売。9月18日から「紫芋と安納芋の2食色まん」(140円)を販売する。

ナチュラルローソン限定の中華まんも投入する。7月31日「グリーンカレーまん」(150円)、8月21日「花椒しびれる麻婆豆腐まん」(180円)、9月4日「黒ごま坦々まん」(180円)を投入する。

富士経済によると、2017年の中華まん市場は約569億円で前年比7.9%増となった見込みだ。中華まん市場は、市販用が551億円で大半を占めている。

市販用市場は量販店、コンビニ、生協などで構成するが、コンビニの中華まん売上は378億円でシェア68.5%となっている。

大手コンビニ各社が、中華まんを改良したことで、中華まん市場は今年も拡大する見込みだ。

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