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ヤオコー/全182店でAI需要予測に基づく自動発注システム導入

2023年02月21日 14:57 / IT・システム

ヤオコー、日立製作所、オプティマムアーキテクトは2月21日、スーパーマーケット事業を展開するヤオコーが、日立製作所(日立)とオプティマムアーキテクトとの協創を通じて、AIによる需要予測に基づく自動発注システムを導入し、2022年11月から全182店舗で稼働させたと発表した。

<システムの概要図>
システムの概要図

システムは、総合スーパーや大手小売店などに豊富な納入実績がある日立のLumadaソリューション「Hitachi Digital Solution for Retail/需要予測型自動発注サービス」をベースに構築しており、オプティマムアーキテクトのCategory Profit Management(CPM)をコア技術として活用している。

従来、ヤオコーが採用していた自動発注システムは、イレギュラーな需要変動や棚割システムには対応しておらず、熟練担当者が一定の時間をかけて発注業務を行っていた。一方で新システムは、AIによる需要予測に基づいて発注推奨数を提示するもので、ヤオコーでの自動化率は従来システムの約65%から約98%に向上し、発注業務の負担を低減することが可能となった。また、店舗ごとの棚割システムと連係させることにより、特売や商品入替も考慮した発注量を提示できるため、在庫および納品量の削減と適正化を実現した。これにより、店舗での品出し作業が軽減されるなど、売場における業務効率化にも貢献する。

今回、ヤオコーでは、システム導入後の効果として、発注業務に要していた時間を約3時間から約25分と約85%短縮できたこと、および在庫を約15%削減できたという高い精度を確認し、発注業務の大幅な効率化を実現したという。

<発注イメージ>
発注イメージ

消費者ニーズが多様化する一方、生産年齢人口の減少に伴う労働力不足が課題となっている近年、国内の小売業にとっては、需要変化への即応と在庫の適正化を両立し、店舗の売上・利益や運営効率を向上させることが課題となっている。従来は、熟練担当者が、商品ごとに過去の在庫・発注・販売実績や天候・イベント情報などの複雑な条件を考慮して需要を予測した上で、経験・ノウハウを基に一定の時間をかけて発注業務を行うことが多く、デジタル技術を活用した業務革新が求められている。

こうした中、ヤオコーは、リテール分野向けのデジタルソリューションを提供する日立、CPMのコア技術を持つオプティマムアーキテクトとともに、「売場利益の最大化」を主目的とした自動発注システムの高度化プロジェクトに2021年12月から取り組んできた。ヤオコーでは、実際にシステムを活用する業務部門が使いやすく、かつ、完成度の高いシステムを構築するために、プロジェクト開始直後から、業務部門は現場視点での課題と要件を提示し、IT部門は業務部門とベンダーの仲介を行い、ベンダーは現場課題の改善施策をスピード感を持って実施するなど、連携してプロジェクトに取り組んだ。

また、プロジェクトでは、実現すべき機能を定義した上で、システム設計、実店舗での実験運用、検証のアジャイル開発を3社で繰り返し行うことで、業務現場で利用できるシステムへ完成度を高め、2022年11月にヤオコーの全182店舗においてシステムの稼働を開始した。

システムは、どの商品を、どこにどのくらい陳列し、いつ販売するかなどの棚割に関する情報を入力された棚割システムと連係しながら、AIが高度な需要予測を行い、それに基づく発注量を決定する。各店舗で毎朝、システムにより推奨された発注量を確認するのみで発注作業が完了できる。

具体的には、30種類ものコーザルデータを分析する需要予測計算によって、従来は難しかった消費期限の短い日配品についても需要や適正在庫を予測でき、特売や季節行事などのイベントを加味して需要を予測する。さらに、シーズンごとに実施する商品の入替などの棚割計画情報との連携により、棚替時の垂直立ち上げを支援する。

今後、ヤオコーは、発注の自動化だけではなく、発注や納品のタイミングをコントロールすることで、店舗での品出し作業を省力化するとともに、物流センターに対し、3日先までの納品予定を提示することで店舗への配送遅延防止につなげる実証を開始するなど、物流部門における効率的な出荷計画策定にも寄与することを検討している。日立は、新サービスを流通分野向けのLumadaソリューション群「Hitachi Digital Solution for Retail」のラインアップの一つとして展開を加速するとともに、物流・配送のデジタルソリューションなどと組み合わせて提供することにより、小売業、卸売業などのサプライチェーン最適化に貢献するという。

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