エミテラス所沢/初年度売上300億円目標、家族向け中心に142店舗オープン
2024年09月18日 19:05 / 店舗レポート
西武リアルティソリューションズと住友商事は9月24日、「所沢駅西口土地区画整理事業」で開発した商業施設「エミテラス所沢」をオープンする。18日、メディア向け内覧会を開催した。
開発コンセプトは「TOKOROZAWA New Suburban Life」。所沢らしさを育み、「所沢スタイル」を創造・発信する拠点を開発した。都市と郊外の2つの魅力を享受できる暮らしを提供し、消費者心理がモノ消費からコト消費に移行する中で心地よさと興奮を体感できる集客空間を目指すという。初年度売上目標は300億円で、年間1200~1500万人の来場を想定した。
「マルチターゲット×マルチオケージョン」戦略により、西武鉄道沿線の居住者をはじめ、子育てファミリーからアクティブシニアまで幅広い世代に対応した142店舗を展開。周辺5km圏には大型商業施設が少なく、所沢市の消費は周辺へ流出傾向にあるという。そこで所沢駅前商業集積により流出を防ぎ、周辺からの流入を目論む。商業拠点性の向上にも寄与し、周辺施設との連携により街の魅力向上を図る。
施設について、西武リアルティソリューションズの川田武 都市開発事業部 沿線開発事業室 所沢西口 課長は「西武が手がけるSMでは最大級の施設で、具体的な規模でいうと、東口のグランエミオ所沢と比べても約二倍の規模を持つ大きさだ。ターゲットにしているお客様と商圏が違う2つの施設が合わさることで力を発揮する。
エミテラス所沢の商圏は周辺5キロ想定だが、5キロ圏を超えて西武池袋線・新宿線のお客様にも多くお越しいただきたい。これまで都心に向かっていた人たちが、途中で所沢に降りて楽しんで頂けるようにする」と説明した。
住友商事の朝日直樹 商業施設事業ユニット 事業推進第1チームリーダーは「グランエミオ所沢は駅直結であることや施設規模から、近隣住民や駅利用者を中心に、少人数で必要なものをクイックに購入していただく利用シーンを想定している。一方、今回のエミテラス所沢は、買物だけでなく、食事や映画鑑賞など一日中過ごしていただく長時間滞在の利用を見込む」と述べた。
1階の食品・日用品フロアの目玉として「こもれびフードホール」を導入。和洋中、地元フード、アジアンフードからデザート、新業態まで多彩な22店舗を擁し、テークアウトメニューも充実したオールデイダイニングがコンセプトのフードホールを用意した。
主な出店テナントは、「ダパイダン105」「丸亀製麺」「フレッシュネスバーガー」「サブウェイ」「ロックスハンバーグ」「ステラおばさんのクッキー」「GODIVA dessert」「果汁工房果琳」「チーズガーデン」など。
食物販も充実しており、キーテナントとしてスーパーマーケット「サミット」を導入。食料品専門店「KITANO ACE」、鮮魚専門店「魚の北辰」や食肉専門店「千駄木腰塚 Dish up!」に加え、日用品ではドラック&コスメの「トモズ」「&choa!」も出店する。
森をイメージしたデザインの大空間には、子供連れで使いやすいエリアや靴を脱いでくつろげる「こあがり席」、USBポートやコンセントを設置した利便性の高い座席、予約制の「パーティールーム」など、さまざまなシーンに使えるデザインの客席を約1000席用意。本来廃棄される建築資材をアップサイクルし、テーブルや椅子に生まれ変わらせるなど、環境にも配慮した。
正面エントランスのある2階にはファッション・アパレル店舗を充実させ、フロア内には「ユニクロ」の大型店や「H&M」「ドットエスティ」「グラニフ」「リーバイスRストア」「ニューバランス」「LACOSTE」「TRIM」「金子眼鏡店」などがオープンする。
2階中央の吹き抜け空間「TOKOROZAWA e-CUBE」は、国内商業施設では最大級となる547インチの大型LEDビジョンやムービングライト、スピーカーなどの設備を持つ。スポーツやe-スポーツ、音楽、ライオンズ戦パブリックビューイング、地域交流イベントなどを実施することで、埼玉県西部の情報発信拠点を目指す空間だ。
日常的に「スポットライトオーケストラ」、「EmiTerrace DREAM HANABI」などのインタラクティブデジタルコンテンツが楽しめるほか、仕掛けのある環境映像やショップ情報、イベント情報を放映する。
ワントゥーテンが提供する新感覚・参加型デジタル花火ショー「Emi Terrace DREAM HANABI(エミテラス・ドリーム・ハナビ)」では、参加者が花火職人となり、スマートフォンからセンターコートのスクリーンに花火を打ち上げることができる。参加者は、お得な情報やクーポン券などを獲得可能だ。
3階にはライフスタイルショップが多く出店し、大創産業が3業態オープン。「DAISO」と「Standard Products/THREEPPY」が少し離れた区画に位置する。スポーツ用品の「スポーツデポ」、家電専門店「ノジマ」、オフプライスストア「アエナ」、「ジュンク堂書店」も出店。ファミリー向けファッションも充実し、「ワークマン女子」の大型店や「アカチャンホンポ」もオープンする。
4階には、屋内外がシームレスにつながる広場「そらくもひろば」が誕生。屋外での散歩や休憩など、くつろぎのひとときを提供する。屋内の「なかひろば」には、「そらくもひろば」をイメージした未就学児用のプレイエリアを配置した。
周辺の「そらくもダイニング」には、埼玉の新鮮野菜などが楽しめるビュッフェレストラン「テラスビュッフェ TABLE」、焼肉ブランド「がってんカルビ」、本格イタリアン「SALVATORE CUOMO Cafe」、「宇和島グルメ寿司 すしえもん」などがオープン。レストランでテークアウトしたドリンクやライトフードも楽しめる。
休憩・待ち合わせ用のスペースを設けるなど、館内の空きスペースには、ゆとりを持たせてある。空きスペースの活用について、住友商事 商業施設事業ユニットの山崎飛鳥氏は「開業後の混雑が緩和した後、空きスペースでの催事を開催する予定だ。2階中央では大型物産展も開催できると思う。1階エスカレーター前など、縦導線の周辺スペースで積極的に催事イベントを招致する予定だ」と述べた。
同フロアには、全12スクリーン、1872席の映画館「T・ジョイ エミテラス所沢」も導入した。IMAX・ScreenX ・Dolby Atmosを完備。6種類のスペシャルシートや華やかなロビー空間でストレスフリーな空間を提供する。
このほか、大人から子供まで楽しめるアミューズメント施設「ナムコ」が所沢市初出店。「所沢ならではのエンターテインメントセンター」をコンセプトに、ナムコ限定景品やアミューズメント専用景品、菓子景品など、多種多様な景品が入ったクレーンゲームを中心に、ゲーム機や乗り物などを用意した。
DXにも注力する「エミテラス所沢」館内では、レンタルベビーカートの貸出状況、トイレ個室や授乳室個室の利用状況をデジタルサイネージで可視化し、利用者の利便性向上を図る。
駐車場の各車室には、センサーを設置し車室利用状況を管理することで、入庫時にフロアごとの空車台数の確認が可能にした。入口ゲートには車番認証システムを設置し、チケットレスでスムーズな入庫を促す。出庫時にはAIカメラによる「車室から出口までの予測出庫時間」を可視化、出庫タイミングの分散を促すという。
なお、今回のオープンに合わせて、所沢駅東口の駅ビル「グランエミオ所沢」と「エミテラス所沢」のウェブサイト、アプリを統一した。一度に両施設のショップ検索ができるようになり、イベントやサービス、施設情報を一度に確認可能。今後も、両館で連動したサービスやイベントを実施し、利便性向上を図っていく。
また、「エミテラス所沢」の敷地は、2000年まで西武鉄道所沢車両工場として鉄道車両の製造や修繕を行っていた場所でもある。実際に鉄道係員養成所の訓練等で使用していた2000系運転用シミュレータの一部を館内に設置するなど、車両工場の「レガシー」をシンボルとして施設の内外に設けた。
■エミテラス所沢
事業主:西武リアルティソリューションズ、住友商事
運営管理:住友商事、住商アーバン開発
事業費:約295億円
所在地:埼玉県所沢市東住吉10-1(西武鉄道所沢車両工場跡地)
敷地面積:約3万4000m2
延床面積:約12万9000m2
構造:RCST造(柱RC造、梁S造)、一部S造
階数・高さ:地上7階 最高高さ37.40m
設計:清水建設・西武建設設計共同企業体(設計者:清水建設一級建築士事務所)
施工:清水建設・西武建設共同企業体
建物基本設計:日建設計
環境基本デザイン:乃村工藝社
環境施工:バウハウス丸栄
店舗面積:約4万3000m2
店舗数:142店舗
駐車場台数:約1700台
駐輪場台数:約1700台
着工日:2022年11月1日
完工日:2024年7月31日
開業予定:2024年9月24日
取材・執筆 古川勝平
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