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ヤオコー/川野社長「来年も値上基調継続と想定、生活を豊かにするアイテム訴求」

2022年12月16日 15:00 / 経営

ヤオコーの川野澄人社長は12月15日、来年も値上基調が続く認識を示し、価格対応を進める一方で、生活を豊かに楽しくするアイテムの品ぞろえを重視する方針を明らかにした。同日、川越市の本社で開催した年末会見で語った。

<川野社長>
川野社長

記者会見で、川野社長は、「来年、来年度も値上げの基調は、引き続き変わらないと考えている。年明け、値上げを控えてるものもあり小麦なども、もう1段上がる可能性もある。来期も原料高は続く環境の中での商売になると認識している。その中で、我々の取り組は大きく変わらない。一つは、より価格に敏感なお客様が増える中で、価格対応をどう進めるか。特に、ヤングファミリー層をどう取り込むか。もう1つは、当社の強みである、ちょっといいもの、セミアップと呼んでいる商品。ベーシック商品からすると、ちょっと値段は高いけれども「おいしいね」と、生活を豊かにしてくれる、楽しくしてくれるようなアイテムの品揃え・提案がポイントになってくる。ヤオコーは、「豊かで楽しく健康的な食生活を提案する」方針があり、まさに、豊かさ、楽しさ、あるいは健康を感じられる品ぞろえ提案を強めることが、値上の中でも、しっかりとお客様に支持されるポイントになってくると考えている」と述べた。

2022年の商況については、原料高による値上が大きく進み、仕入れ価格が上昇する中で、光熱費が大きく上がり損益に大きなインパクトを与えた。また、節約志向が高まる一方で、下期は客数が前年よりも若干増加し、一品単価の上昇に対して、買上点数の下落は限定的に抑えられた。購買動向の要因として、外食の値上げがあり、直接競合する回転寿司で1皿100円の商品が消えた影響もあり、中食への回帰があり、惣菜が好調になった。また、ヤングファミリーに対する施策として、アイスクリームの価格対応などの施策が浸透してきた効果があったと分析した。

下期の好調の要因については、「当初想定していたより好調に推移しており、いまその中身をどう解釈すべきかを分析している。昨年対比で見ると、昨年はあの10月11月とコロナの感染者が減少して、一昨年と比べて業績が低迷した時期であり、ハードルが高くなかった。また、節約志向が強まる中で、外食に比べて、価値がある、値ごろである点で、選ばれている。価格面においては、子会社のエイビィはディスカウント業態でEDLPで価格を固定しているが、ヤオコーはチラシによるハイアンドローを実施している。価格が上昇する局面においては、ハイアンドローの方が、お客様に分かりやすく響いているという印象を持っている。実際データ的にも、特売比率は上がっている。また、上期からデリカ部門の、惣菜・寿司・ベーカリーの好調が続いている。これは、分析しきれていないが、ライフスタイルの変化を感じる。家庭で料理をするところから、惣菜を買うスタイルに少しずつ変わってきている。一部は、外食からの代替需要もあると思っている」と語った。

価格政策のついては、ハイアンドローとEDLPをカテゴリーごとに組み合わせて実施する方針だ。基本的には、バラエティが多い冷凍食品、アイスクリームのようないろんな種類の中からお客が選択するカテゴリーは、EDLPを実施する。いろんな商品が常時低価格である方が、選びやすく好ましいと考えている。逆に、上位商品に集中しているカテゴリーは、ハイアンドローを組み合わせながら安さを出す。ヤングファミリー層は、市場価格に敏感であるため、ヤングファミリー層に支持されるカテゴリーなのかも考慮して、EDLPを導入するかを決定している。

<質問に答える川野社長>
質問に答える川野社長

また、ヤオコーでは、49歳以下をヤングファミリー層、50歳から65歳までをミドル層、65歳以上をシニアとセグメントしている。ヤオコーの来店客の年齢層は高いが、結婚し子どもが生まれて、そのタイミングでスーパーマーケットに来店するお客が多い。単身者、夫婦二人の世帯は、外食が多く、スーパーマーケットの利用は少ないと分析している。20代後半から30代くらいから、スーパーマーケットの利用が増えるとみており、いわゆる20代を中心としたZ世代は、現時点ではターゲットにしていない。

第10次中期経営計画の進捗について、川野社長は、「率直に申し上げて、当初想定した環境と非常に異なっていて、進捗は分かりずらいが、認識としては順調に来ている。二割強い店づくりを作るために、価格コンシャスとミールソリューションの軸を強めている。価格コンシャスで10%、ミールソリューションで10%アップを概念的には考えている。価格コンシャスの軸では、ヤングファミリー層向けの価格対応を進めて効果が少しずつ出てきた。そのことが客数のベースを広げている手応えはある。また、個店経営では、ミールソリューションをどう提供できるかであり、人材育成とセットであり、急に進むものではない。週一回、販売部の地区担当部長が成功事例を集めて、全店に発信しており、成功事例が非常に増え、中身も充実してきている。また、コロナ禍で研修ができなかったが、二年半ぶりに成功事例発表会を復活させた。パートナーさんを中心にチームで取り組むことについて、改めて取り組みがスタートできた」と解説した。

本格的な導入を開始したAI自動発注については、発注時間削減効果があった。一方で、発注精度に課題があり、発注データを1カ月、2カ月とAIが蓄積することで発注精度が上がることを確認している。まだ、大きな在庫削減・ロス削減にはムラがあるが、改善の方向に向かっている。また、ネットスーパーについては、対応店舗数が増加し、着実に受注件数は伸びている。一部店舗は、店舗段階では黒字となったが、ほとんどの店舗は、ネットスーパーは赤字となっている。次の課題として、ユーザーインターフェースの改善、システムの改良をしながら、オペレーションコストを下げ、店舗段階での黒字化にするのが、次のステップになるという。

2022年3月期の見込みについて、川野社長は、「増収増益を今期もしっかり達成をしたい。これは、コスト削減では限界がある。電気代についても、打てる手は打っている。やはり、トップライン(売上)をしっかり伸ばすことが一番の対策となる。10月、11月とトップラインは好調に推移しているので、この勢いで下期を進めたい」と語った。

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