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そごう・西武/3000億円の借入金で設備投資に負荷、債務圧縮し株式譲渡目指す

2023年03月10日 15:30 / 経営

セブン&アイ・ホールディングスは3月9日、株式譲渡が当初予定の2月1日から3月中にずれ込んでいる、子会社そごう・西武の売却交渉について、現状認識を公表した。同日開催した記者会見で、井阪隆一社長が説明した。

<そごう・西武>
そごう・西武

井阪社長は、「色々なメディア報道でお騒がせしておりますが、昨年11月11日に契約締結を公表した『そごう・西武』の株式譲渡について説明したい。まず、株式譲渡の判断に至った背景ですが、百貨店業界は2000年に約10兆円あったマーケットが、2021年には5兆円を切る状況になっており、厳しい事業環境が続いています。私どもも『そごう・西武』と一体となり、Eコマースへの取り組み、プロパティマネージメント手法による改装、富裕層ビジネスの強化と、様々な取り組みに挑戦しましたが、残念ながら『そごう・西武』は、いまなお大変厳しい経営状況にあります。現在、そごう・西武には、総資産の70%を占める約3000億円の借入金負担が重くのしかかっており、百貨店事業の成長に必要な継続的な設備投資を行うための財務余力は非常に厳しい状況に置かれています。弊社としては、今まで説明してきた通り、コンビニエンス事業を核にしたグローバルリテールグループを目指し、一昨年2021年の米国スピードウェイ社の巨額買収等により、グループ全体に占める有利子負債への水準は高位で推移しており、百貨店事業に対するこれ以上の投資資金の支援は、連結経営上も非常に厳しい状況にあります。このような状況において、『そごう・西武』の将来の活路を開くべく、新たなオーナーを検討するに至りました」と述べた。

その上で、「新たなオーナーは、次の4点を満たすことが必要と考え、選定してきました。1つ目が百貨店としての事業継続と『そごう・西武』のブランドを守ること。もちろんここで言う、百貨店の事業継続は、過去の百貨店モデルのままではなく、消費者ニーズに変化対応しながら、将来にわたって成長できる新たなビジネスモデル、収益構造の実現を通じて達成されるモデルです。2つ目が雇用の継続、3つ目が館の競争力を維持、向上するための成長投資を行う資金力。4つ目が地元と連携した形で将来に向けた再開発等のノウハウや実績を持っていること。この4つの条件を満たす先として、フォートレスから力強いコミットメントと提案をいただき、各種条件交渉の結果、昨年11月の弊社取締役会にて全会一致で契約締結を決議するに至りました」と語った。

さらに、「契約締結後の足元の状況の詳細は、守秘義務の関係で申し上げることはできませんが、今回の案件によって『そごう・西武』は、債務を大幅に圧縮した状態で、将来的な成長への大きな一歩を踏み出せるようになるため、早期クロージングに向けて関係自治体、地権者と各ステークホルダーの皆様への説明を重ねているところであります。なお、一部でご懸念が報道されております雇用の問題につきましても、今回のクロージングに伴い、新オーナーとなるフォートレスや当社グループ会社における雇用の受け皿の準備も含めて、雇用の継続を図ってまいります」と現状を解説した。

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