カインズ/Google Cloudの内製化支援でEC・需要予測システムを強化
2022年09月27日 16:40 / IT・システム
Google Cloudは9月27日、東京・六本木のオフィスで「Tech Acceleration Program」(以下:TAP)記者説明会を開催した。
TAPを活用したカインズの事例について、カインズのデジタル戦略本部システム統括の長尾秀格統括部長、プロダクト開発部の菅武彦部長が解説した。
TAPは、迅速で効率的なアプリケーション開発をクライアントの社内で行えるよう支援するための数日間で完結するアジャイル型のワークショップ。ワークショップ自体は無料で行う(Google Cloudなどのシステム利用料は別途必要)。
カインズ以外でもすかいらーくグループ、くら寿司、凸版印刷、京セラなどが採用している。
Google Cloudがクライアントのシステム開発関連部署が抱える課題などを診断。開発予定のアプリケーションのプロトタイプ開発や、最適なアーキテクチャ設計をともに行うことで、将来的な開発内製化実現をサポートするもの。
新規システム開発におけるプランニングから支援する。開発の目標設定、改善したいKPIをクライアントと一緒に見直す。製品を使いこなすためのトレーニング、ソフトウエアのプロトタイプ開発、アプリ開発のサポート、最新のIT事情、サービス開発のノウハウを提供する。
長尾氏は「カインズは2018年IT小売企業を目指すことを宣言し、2020年にはデジタル戦略本部を設置するなどDXを推進している。2022年にはデジタル戦略本部は200人メンバーが純増し、80プロダクトを開発した。将来的には60~70%システム開発の内製化を検討しており、TAPの受講でさらなる成長を目指す」と説明している。
カインズでは2021年12月需要予測システムについて、2022年4月EC分野でTAPの内製化支援を受けた。
その結果、需要予測システムは、TAPで作成したプロトタイプをそのまま採用。ECについてもマイクロサービスの開発などを推進している。
菅氏は「デジタル戦略本部ではプロジェクト数の多さ、機能・データの重複、システムコストの増加といった課題があった。TAPで健康診断のように業務プロセス、システム間連携を可視化。システム設計のくせの指摘、マイクロサービス設計、全体アーキテクト・ドメインエキスパートなどのサポートを受けた。全体アーキテクトのグランドデザイン、ドメイン分割・データモデリングなどを実施し、需要予測サービスの本稼働を実現した」としている。
カインズはグループのワークマン、ベイシアとともに、Google Cloudスキルチャレンジプログラムにも参加。オンライントレーニングと個別勉強会を11回開催、155人が受講した。
参加者からは、グループ全体に対してクラウド理解の底上げを含めてGoogle Cloudの理解が広がったなど好評だったという。
さらに、Google Cloudは同日から、TAPに取り組む企業とともに集中して作業ができる専用スペースを開設。企業のシステム開発の内製化支援を強化していく。
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