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吉野家HD 決算/2月期売上高11.5%増、コラボ施策・朝活クーポンで客数増加

2024年04月11日 13:59 / 決算

吉野家ホールディングスが4月10日に発表した2024年2月期決算によると、売上高1874億7200万円(前年同期比11.5%増)、営業利益79億7300万円(132.1%増)、経常利益86億600万円(1.5%減)、親会社に帰属する当期利益56億400万円(22.5%減)となった。

店内飲食を中心に既存店売上高が回復。さまざまなコスト上昇の影響を受けたが、売上高の伸長に伴う粗利益高の増加やコスト低減の取り組みによって、本業のもうけを示す営業利益は79億7300万円と、前期を45億3800万円上回っている。

コスト上昇の主な要因は、原材料価格の高騰だという。牛丼の主要食材である牛肉のほか、調理用油、鶏肉、輸入野菜などの原材料価格が上昇した。経費コントロールの強化を継続するとともに、財務の健全性の回復に向けた借入金の返済や効率的な資金管理を実行。一方、自社努力だけではコスト上昇分の全てを吸収できず、基幹事業である吉野家やはなまるうどんで主力商品を価格改定した。

吉野家の売上高は1264億6000万円(11.2%増)。増収の主な要因は、既存店売上高が伸長したことと外販事業が堅調に推移したこととしている。「客数重視」をテーマに、新規顧客の獲得・既存顧客の来店頻度向上に取り組んだ。

商品施策では、季節の定番である「牛皿麦とろ御膳」「牛すき鍋膳」に加え、新商品として「鉄板牛カルビ定食」「焦がしねぎ焼き鳥丼」などを販売。牛丼に次ぐ第2の柱と位置付けている、から揚げについては、5月、12月の2度に渡り「から揚げ祭り」キャンペーンを実施し、12月には当面の目標だった販売構成比15%越えを達成している。

販売施策では、「ウルトラセブン」「太鼓の達人」「るろうに剣心」とのコラボキャンペーンや、テークアウトに特化したキャンペーンに加え、「朝活クーポン」「あすトククーポン」といった来店頻度の増加に貢献する新たなキャンペーンも実施。店内およびテークアウト注文タブレットの導入、テークアウト専用受取窓口の設置店舗拡大などの積極的な機能強化を図った。

また、デリバリー対応店舗は1034店舗(前期末比23店舗増)となった。

外販事業では、1993年に販売を開始した「冷凍牛丼の具」の新規顧客の獲得に向けた「30周年記念キャンペーン」を展開している。

セグメント利益は、原材料費を中心としたコスト上昇に対し、価格改定など機動的な施策の展開や、適正な経費コントロールに取り組んだことで、80億2900万円(29.2%増)となった。

店舗は、60店舗を出店し28店舗を閉鎖した結果、1229店舗となった。転換を進めている新サービスモデル(クッキング&コンフォートおよびジグソーカウンター)の店舗数は、21店舗を出店し94店舗を改装した結果、412店舗となっている。また、新たな出店戦略としてテークアウト・デリバリー専門店を31店舗出店した結果、37店舗となっている。

はなまるうどんの売上高は292億3700万円(15.4%増)。増収の主な要因は、感染症の規制緩和に伴う人流の回復と、季節に応じた商品施策と来店頻度向上を喚起する販売施策を展開したことによる既存店売上高の伸長だとしている。

「商品の磨き上げ」と「店舗運営力の強化」をテーマに来店頻度向上を喚起する販売施策に引き続き着手。商品施策として、「担々うどんフェア」「濃厚つけ麺フェア」「2種類のサラダうどんフェア」として、季節にあわせた商品を販売した。

販売施策として、「かけうどん100円引きセール」「春と秋の天ぷら定期券」を実施。加えて、おでん販売店舗数を増加させ、テークアウト、デリバリー需要の獲得に向けた取り組みも継続して行い、デリバリー対応店舗は270店舗(前期末比1店舗増)となっている。

セグメント利益は、原材料費や光熱費の上昇の影響を強く受けたが、増収および価格改定により吸収し、前年同期と比べて19億9200万円増加し17億2400万円となった。

店舗は、6店舗を出店し33店舗を閉鎖した結果、418店舗となった。

海外事業の売上高は270億9800万円(6.8%増)。増収の主な要因は、中国およびアセアン地区の既存店売上高が回復したこととしている。

中国は前期に政府の感染症拡大防止に向けた厳格な措置の影響を受けたが、ゼロコロナ政策からの転換により人流が増加したことで既存店売上高が回復した。上海では新たな出店戦略に基づき出店を進めている。アセアン地区は人流の増加によって既存店売上高が回復し、インドネシアを中心に出店を推進。アメリカは引き続き顧客ニーズを捉えた新商品の導入や効果的な販売施策を展開した。

セグメント利益は、原材料費や光熱費上昇の影響を受けたが、増収により吸収し、22億8800万円(67.9%増)となった。同期間は115店舗を出店し84店舗を閉鎖した結果、994店舗となっている。

なお、海外は暦年決算のため1~12月の実績を取り込んだ。

次期は、「成長投資の加速」と「客数獲得」を最優先事項として取り組む。特に吉野家で新サービスモデル店舗への改装転換スピードを上げ、同期中に100店舗以上を改装する。また、量的成長を図るチャンスと捉え、テークアウト・デリバリー専門店の出店も強化。新サービスモデルの出店100店舗を計画しており、3カ年の中期経営計画で掲げた投資300億円を超える計画だという。

「客数獲得」では、魅力的な商品・販売施策の展開と従業員の接客サービスの向上による店舗体験価値を高めることで、既存顧客の来店頻度向上と新規顧客の獲得を図る。一方、原材料価格や人件費などのコスト上昇影響は継続すると見込んでおり、引き続き適正な経費コントロールに取り組んでいく。

2025年2期は、売上高2030億円(8.3%増)、営業利益70億円(12.2%減)、経常利益74億円(14.0%減)、親会社に帰属する当期利益41億円(26.8%減)を見込んでいる。

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