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ライフ/守る・攻める・変える~岩崎社長に聞く2021年の挑戦

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新型コロナウイルス感染症拡大の中、客数は減りつつも、スーパーマーケット業界は一定の売上を確保している。しかし、従業員・顧客・店舗の感染防止策、ネットスーパーといったデジタル対応など課題は多い。「守る、攻める、変える」をキーワードにコロナ禍の中、挑戦を続けるライフコーポレーションの岩崎高治社長に2021年の展望を聞いた。

――2020年はどんな1年だったのでしょうか。

岩崎 2020年をふりかえりますと、新型コロナウイルス感染症でによって社会が一変した1年でした。それを踏まえて当社が何をやって、これから何をやっていくか。中間決算時に「守る、攻める、変える」の3つのキーワードを出させていただきましたけども、今期、来期も変わらず、まずは「守り」が大事だと思います。

――「守る」戦略とは。

岩崎 最優先すべきは、従業員と顧客の安全安心を確保することに尽きます。その上で、可能なかぎり営業を継続し、皆様のライフラインを支えたいと思います。そのためにも、(新型コロナウイルス陽性患者の情報など)迅速に正直に情報開示しています。当社では、約5万人の従業員がいます。PCR検査を受ける従業員が毎日のように出ており、当然のことながら、一定の確率で陽性者が出ます。家族、学校、他の勤務先などで感染するわけですが、当社では店舗での感染拡大を起こさないため、売場、バックヤードの感染防止対策をいっそうやっていきたいと思います。

――「攻め」の施策として、ネットスーパーを強化していますね。

岩崎 自社のネットスーパー、アマゾンとのコラボレーションともに拡充しています。ネットスーパーの強化には物流、システム、教育が重要になります。採用を強化し、トレーナー、企画職など本社の体制を充実させています。将来的には新しい組織の設置も考えています。

今期は50億円規模の売上になる見込みです。来期は100億円、将来的には200億円規模まで成長を目指します。自社のネットスーパー(56店舗、2020年9月現在)では2020年下期は対応店舗を10店増やすとともに、一店舗あたりの配送、スタッフのキャパシティを拡大しています。

アマゾンと協力し、ライフで取り扱っている生鮮食品や惣菜のオンライン販売・配送サービスを2019年9月12日に開始。2020年10月、Amazon.co.jp上においてライフのストアをオープンしました。配送エリアも、東京、大阪に続き、横浜、川崎でも開始しました。以前は、アプリを通じた限られた顧客が対象でしたが、現在では、アマゾンのサイトから購入できるので、顧客との接点が広がっています。

<顧客向け・店舗のDXを推進と岩崎社長>
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――EC以外のDXについても教えてください。

岩崎 DXは現代のバズワードですが、小売業では、顧客へのアプローチ、働き方改革の2つが主な対象になります。

顧客向けでは、オリジナル電子マネー「LaCuCa」において、スマートフォンのアプリで決済できるようになりました。現在は店舗での使用のみですが、近いうちに、ネットスーパーでの決済も「LaCuCa」で対応し、スマホ1台ですべて買物が解決できるようにしたいです。

今後、顧客情報のオンラインとオフラインとの融合が課題です。実店舗の売上データ活用は進んできましたが、オンラインとのリンクが不十分です。店舗、ネットスーパー、アマゾンとのコラボ、LCカード(クレジットカード)など各情報の統合がまだできておらず、ここをやることによって、より踏み込んだ魅力的な提案ができると考えています。

――従業員の負荷軽減のためのDXも進めていますね。

岩崎 「変える」の具体策でもある働き方改革にもつながるDXを推進しています。現在、全店でのAI発注導入を目指しています。神田和泉町店で、農産・食品(日配・加工食品)・生活関連の商品において電子棚札の実証実験も開始しています。また、店舗のパソコン、Wi-Fi、在宅勤務できる環境整備なども力を入れています。

――どのような働き方改革を行っているのですか。

岩崎 2021年も引き続き働く環境を改善、三密を避ける働き方改革を実施します。コロナ禍で働き方は、当社含め社会で大きく変わりました。当社では総従業員約5万人、そのうち本社が約1000人いますが、月1回集まっていた店長などの会議をいっさいやめ、動画を撮影して配信する形に変えました。

動画ですと、いつでも見られますし、何度も聞けます。店長だけでなく、関連する売場のチーフも一緒に聞ける、話の理解度があがったというメリットがありました。本社も会議の準備が減り、効率も利便性も上がったという成果につながりました。本社は会議自体を減らしています。店舗は、現場を離れるのはなかなか難しいですが、デジタル化などを進め、在宅勤務も取り入れ、店舗の効率化を進めていきます。

――今後の改装・出店計画について教えてください。

岩崎 今期は1億円を超える改装は東西20店、1億円以下の改装50店、全体の約25%に当たる店舗をリニューアルしました。来期で終了する第6次中計では、すべての既存店でなんらかの改装を行うことを目標にしており、来期も引き続き既存店のブラッシュアップを図ります。

今後の出店について、コロナ禍で駅前店が苦戦し、郊外店が好調という傾向を踏まえつつも、出店戦略は大きく変えるつもりはありません。1件1件物件をみて検討します。都市型小型店「ミニエル」を大阪で実験していますが、まだまだ成功の型ができておらず、難しいところもあるので、積極的にやっていく予定ではありません。大阪で運営している新業態「ビオラル」は2020年12月19日首都圏に「丸井吉祥寺店」を初出店しました。

――「ビオラル」はどのような業態ですか。

岩崎 BIO-RAL(ビオラル)とは、ドイツ語「BIOLOGISCH(有機の)」と英語「NATURAL(自然)」からなる造語。「素敵なナチュラルライフスタイルを通じて、心も身体も健康で美しく豊かな毎日を過ごしてもらいたい」という願いを込めたスーパーマーケットとして、2016年6月、近畿圏にビオラル靭店(大阪市西区)を出店しました。

<ビオラル丸井吉祥寺店>
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今回出店した2号店「丸井吉祥寺店」は、272m2とサイズは小さいですが、この店を成功させ、他への出店も検討しており、約100億円規模の事業に育てたいと考えています。

既存店舗にも、オーガニック、ローカル、ヘルシーな商品を集めた「ビオラルコーナー」を展開します。2020年12月にはプライベートブランドの「ライフナチュラル」を「ビオラル」ブランドに刷新しました。新商品を50アイテム開発し、商品を拡充しています。

<新PB「ビオラル」も開始>
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――商品開発について教えてください。

岩崎 当社では、「お客様が笑顔でお買物を楽しめる」という目標を掲げて、安さはもちろん提供しますが、差別化を図るため、ビオラルのような高付加価値商品、ニーズに合った商品の開発を行っています。

惣菜は、首都圏と近畿で開発のチームが違いますが、首都圏では外食の経験のあるスタッフも入れて、メニュー開発しています。安いだけでなく、付加価値のある商品開発が進んでいるので、この路線でやっていきます。近畿でも、1品1品をもっと磨き、商品数は減ってもブラッシュアップ。外食からの代替ニーズを取り込み、値ごろな商品も提供できるよう、見直しているところです。

既存店舗では、ID-POSの分析によるマーケティングのレベルが上がってきたと感じます。的確に顧客ニーズをつかんで、商品開発、品揃え、レイアウト変更にうまく生かしたいと思います。

――商品供給を支える物流・プロセスセンターの再編は完了しましたか。

岩崎 東西で各200店舗への供給に耐えられる物流・プロセスセンター体制の構築を進めており、首都圏はだいたい終了したので、4~5年は現在の体制でいけると思っています。近畿では、ここ数年再編を進めてきて、畜産と水産をやっていたライフ南港プロセスセンターの畜産部門を、畜産に特化したライフ堺プロセスセンターに移転しました。この空いた畜産部門の場所を改修して、農産の加工場にする工事を2020年2月から行い、これが完了すると近畿の物流・加工センターの再構築は終わると考えています。

――2021年の課題について教えてください。

岩崎 春先の伸びにくらべると、売り上げ増加率はスローダウンしています。手取りが減るなど景気の悪化の影響が出てきているようです。安さは大事ですが、コロナ禍が終わっても、コロナ以前の安売りに頼った販売施策に戻るというのは、よろしくないとも思っています。小売業界、特にスーパーマーケットは同質競争が続き、利益が上がらず、生産性が上がらないと経済産業省からも生産性の低さが指摘されてきました。

現在、小売業界にとっては、ピンチをチャンスに変え、小売業界全体の体質改善を行う時期ではないでしょうか。同質競争に偏らず、各社がそれぞれの付加価値を付けた戦略で競う業界、企業への変化が課題ですね。2020年は10年後振り替えって、コロナを機に小売業が変わった、生産性が向上した、魅力ある働きたい業界になったなど転換点になったといわれるような節目の年だと思えるのが理想です。微力ながら、当社でも改革を進め、いっそう魅力的な店舗、商品を顧客に提供していきたいです。

■岩崎高治(いわさき たかはる)氏プロフィール
1966年3月:東京都生まれ
1989年4月:三菱商事入社
1994年2月:Princes Ltd.(在英国、三菱商事100%子会社)
1999年5月:ライフコーポレーション取締役就任
1999年5月:営業総本部長補佐
2000年2月:営業推進本部長
2000年4月:首都圏ストア本部長
2001年10月:専務取締役首都圏事業本部長
2002年3月:首都圏生鮮・食品本部長
2004年1月:近畿圏生鮮・食品本部長
2004年3月:営業統括本部長兼近畿圏物流本部長
2006年3月:代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長就任
2006年6月:代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長兼経営システム統括本部長
2006年11月:代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長
2014年6月:代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長兼開発統括本部長
2017年1月:代表取締役社長兼COO兼営業統括本部長

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