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食品通販市場/2018年は3.3%増の3兆7138億円、生協が1位維持

2019年07月11日 16:00 / EC

矢野経済研究所は7月10日、食品通販市場に関する調査結果を発表した。調査によると、2018年度の国内食品通販市場規模は、小売金額ベースで前年度比3.3%増の3兆7138億円で着地する見込み。

<食品通販市場規模推移と予測>
食品通販市場規模推移と予測
出典:矢野経済研究所プレスリリース(以下同じ)

チャネル別に市場構成比をみると、これまで通り、生協が1位、ショッピングサイトが2位だったが、2018年度は生協が38.7%、ショッピングサイトが38.4%でほぼ横並びの見込みとなった。

食品以外も含めて、通信販売で商品を購入するという購買行動が一般化する中で、本来は店頭で実際に自分で商品を確かめて購入したいというニーズが強い食品においても、通信販売で購入するというケースが年々定着してきているとみられる。

個人の食品に対するニーズの多様化も、食品通販の市場拡大に影響しているとみられる。店頭で食品を購入する場合は、購入者の生活圏内にある店舗の品ぞろえに左右されるが、個人の嗜好やニーズが多様化し、それに応えられるツールや技術が整備されたことで、「生活圏で完結させる」という消費マインドから、「近隣に欲しいもの・必要なものがなければ通信販売で買う」という消費マインドに変化して来ていることも食品通販市場を押し上げている。

食品通販市場では、競争が激化する中で、各サービスによる顧客の奪い合い・囲い込みが続いている。従来は、特に大企業であるほど、自社でサービスの全てを完結させようとする動きが目立っていたが、近年は異なる分野を強みとする企業間が連携し、相乗効果を狙う動きが加速している。

特に、企業間連携が目立っているのは、商品力・販売力・集客力を強みとするECサイトやネットスーパーの運営事業者と、物流を強みとする企業との連携である。特に、ネットスーパーではその動きが顕著となっている。

昨今、宅配現場における人手不足が社会問題化する中、ネットスーパーに対するニーズは底堅くても、出荷枠を増やせないというジレンマに陥っており、それを自社で完結させようとしても限界があることから、物流基盤を強みとする事業者と提携し、売上高拡大を狙うネットスーパー運営事業者が増えている。

<食品通販のチャネル別市場規模構成比(2018年度見込)>
食品通販のチャネル別市場規模構成比(2018年度見込)

食品通販市場は、購買行動が一般化する中で2019年度以降、2~3%前後の伸長率で緩やかに拡大が続き、2022年度の国内食品通販市場は小売金額ベースで4兆966億円に達すると予測する。2018年度に市場構成比がほぼ横並びとなったショッピングサイトと生協は、2019年度にショッピングサイトが逆転すると予測する。

2019年10月からの消費税増税の影響について、食品は基本的に軽減税率が適用され、消費税8%が維持されるため、大きな打撃を受けないことが期待されるが、全体的に消費者の節約志向が強まる中で、食品についても価格の安い商品に対する需要が高まるとみられる。

食品業界では、外食は軽減税率の対象から外れるため、テイクアウトや自宅での調理機会の増加など、内食化が進むことは食品通販にはプラス材料になる。

酒類も軽減税率の対象から外れるため、2019年9月には増税前の駆け込み需要が急増する見通し。消費増税後の反動減は懸念されるが、外食が10%適用になるため、飲酒については「家飲み」が増加するとみられる。

調査は4月~6月、通信販売事業者、食品関連企業、生協、食品小売事業者、食品卸等を対象に、矢野経済研究所の専門研究員によるアンケート調査、電話取材、文献調査併用して実施した。

■食品通販市場に関する調査(2019年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2185

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