経産省/コンビニ・ドラッグで電子タグ実験、リアルタイムで値引き通知
2019年02月08日 17:40 / IT・システム
経済産業省は2月8日、電子タグを用いた情報共有システム運用の実証実験を2月12日~28日に行うと発表した。
同省は、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」「ドラッグストアスマート化宣言」を行い、電子タグを活用した次世代サプライチェーンの構築を進めている。
今回の実験では、両宣言に基づき、メーカー・物流・卸売・小売などが実験対象商品に貼付された電子タグを読み取り、取得したデータを共有・連携する取り組みを行う。
国内の消費・流通に関わるメーカー、卸売、小売事業者が協力し合い、在庫の可視化、店舗作業の低減、食品ロスの削減などの社会課題の解決を目指す。
2月8日行われた同省の記者会見で、商務情報政策局商務・サービスグループ消費・流通政策課の加藤彰二係長は、「電子タグの活用で、商品の移動履歴、販売機会のロス防止、過剰在庫による食品ロス削減、機動的な値引きによる消費者サービス向上を図る」。
「電子タグの普及促進で、電子タグ自体のコストを抑え、また、在庫管理だけでなくフードロス削減、最適な広告配信など付加価値を高めることで、各事業者の導入意欲を高めたい」と説明した。
実験では、「商品名」「消費・賞味期限」情報を基本に、参加企業が連携先ごとに、共有するデータを選択できる体制を構築。
協力事業者は大日本印刷が委託事業者、物流は国分グループ本社、日立物流、三菱食品がサポートする。
実験を実施する店舗は、「ウエルシア 千代田御茶ノ水店」「ココカラファイン 清澄白河店」「ツルハドラッグ 目黒中根店」「ミニストップ神田錦町3丁目店」「ローソン ゲートシティ大崎アトリウム店」の5カ所。
メーカーはアサヒグループ食品、江崎グリコ、大塚製薬、花王、カネボウ化粧品、カルビー、キリンビバレッジ、コーセー、サントリーコミュニケーションズ、日清食品、日本コカ・コーラ、山崎製パンなどが協力する。
具体的には、メーカーまたは物流センターにおいて、実験対象商品に電子タグを貼付する。
工場での出荷、店舗での入荷など流通過程で入出荷される際に電子タグの読取を行い、商品データを実験用に構築した情報共有システムに蓄積することで、在庫情報の可視化を実現する。
今回、電子タグ普及のスピードアップため、メーカー・物流・卸売・小売といった事業者側のメリットだけでなく、「ダイナミックプライシング」「広告最適化」という消費者側のメリットを付与することで、普及・促進を図る。
「ダイナミックプライシング」実験では、消費・賞味期限が迫っている商品を電子タグで特定。
値引きした段階で、リアルタイムに値引きもしくはポイント還元の通知を消費者のスマートフォンにLINEで送ることで、お得な買物ができるよう設定した。
また、消費・賞味期限の迫っている商品から購入するよう、消費者の行動の変化を促し、食品ロス削減にもつなげたい考えだ。
ココカラファイン、ローソンではLINE Payでの購入によるポイント還元、ウエルシア、ツルハドラッグ、ミニストップでは、現金値引きで買物ができる。
「広告最適化」の検証では、来店者が手に取った商品の電子タグを読み取り、商品棚に設置されたサイネージから商品の情報などを流す。
さらに、今年度の実験では、実験のモニター家庭においても電子タグの読取を実施してもらい、冷蔵庫の在庫確認、レシピの配信などとの今後の連携についても検討する。
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