自社Payの利便性を手軽に向上/インフキュリオンが提案するチャージ機能の拡張
2023年12月05日 10:00 / IT・システム
小売流通業界では、顧客利便性向上のため、キャッシュレス化や独自情報の取得・活用を可能にする自社オリジナルPay(以下:自社Pay)に注目が集まっている。現在、自社Payへのチャージ手段は店舗のレジなどにおいて現金で払う場合が多いが、主要バーコード決済では銀行口座からのオンラインチャージ(銀行口座チャージ)の利用が増えており、銀行口座チャージに対する生活者のニーズも高まっていくことが予想される。金融・決済領域で小売流通業界を支援しているインフキュリオンに、銀行口座チャージを可能にすることで、自社Payの利便性を向上させる「CharG(チャージ―)」の取り組みを聞いた。
銀行口座からのチャージに注目集まる
インフキュリオンは、金融・決済領域を主とするプラットフォームの提供、コンサルティングなどを手掛けている。小売流通業界では、ツルハグループの公式アプリ内の「HAPPAY」、コカ・コーラグループの公式アプリ内の「Coke ON Wallet」の決済DXを支援している。
また、日本電子決済推進機構(JEPPO)が提供する「Bank Pay」のオンラインによる銀行口座チャージ機能を、事業者として自社Payへ導入支援する実績数はNO.1だ(JEPPO調べ/2023年11月現在)。
現在の小売流通業界では、コロナ禍を経て、ユーザーの利便性向上のために、コード決済、クレジットカード、電子マネーなどのキャッシュレス決済が広がっている。その中でも、コード決済は決済頻度がNo.1であり、利用者を急速に伸ばしている。小売流通業界では、それに対応し、従来のプリペイドカードやポイントカードから、スマホアプリでの自社Payに切り替える動きが加速している。
自社Payは、コード決済事業者の共通Payに比べ、決済手数料の負担を軽減でき、購買情報等の取得・活用、顧客の囲い込みなどのメリットがある。
一方、チャージ手段は、レジもしくは店頭のチャージ専用機による現金チャージのみで、アナログのままとなっている企業も少なくない。加えて、クレジットカードによるチャージは、手数料が高いことが課題となっている。
銀行口座からのチャージで手数料コストを軽減
そこで、インフキュリオンは、既に運用されている自社Payに、新たなチャージ手段を低コストかつスピーディに追加構築できるサービス「CharG」を開発した。
「CharG」を導入すると、「Bank Pay」を活用したオンラインによる銀行口座チャージが可能になる。事業者にとって、顧客利便性の向上を実現することで自社Pay利用比率を高め、かつ、クレジットカードによるチャージより手数料が抑えられるメリットがある。
生活者にとっては、いつでもどこでも、自分の好きな時間に、オンラインで銀行口座からチャージでき、店頭での現金チャージのみがチャージ手段の場合に比べ、利便性が向上する。
Embedded Fintech事業部 ビジネス開発2部の白川文寿マネジャーは「自社Payを簡易に導入するために、さまざまな機能を提供する当社の『Wallet Station』をセールスする中で、既にモバイル決済サービスを運営している企業から『WalletStation』で提供している機能の一部だけを既存のサービスに組み込みたいという声をよく聞いていました。その代表格がチャージ手段の拡張であり、小売流通事業者、生活者双方のニーズがあることがわかりました。このチャージ手段の拡張をスピンオフし、『CharG』としてサービス化することで決済体験の向上を実現できると考えました」と説明している。
また、「独自のモバイル決済機能を開発しても、なかなかチャージ手段拡張のようなエンハンス(機能拡張)対応が難しい企業が多いように感じます。特に、モバイルアプリ、決済機能、プリペイド残高管理機能など、機能ごとにベンダーが分かれている場合、各社の調整が難しくなり、各方面から見積もりが上がることでコストが膨れ、機能の追加に踏み切れないケースがあります」と指摘する。
「CharG」は、モバイル決済サービスを展開している小売流通事業者に、銀行などのチャージ元となるシステムと接続するだけでなく、利用者向けのチャージ画面をセットで提供。利用者向けのチャージ画面まで提供することで、既存ベンダーへの影響をなるべく少なくするサービスで、結果的に全体の開発関連コストが抑えられる設計だ。
インフキュリオンが構築する技術面でのタイムスケジュールは、2~3カ月で導入が可能(金融機関、ベンダーなどとの調整時間はのぞく)。低コストかつ、スピーディな開発で、チャージ手段を手軽に拡張できる。
白川氏は、「Bank Payは、一般的に、手数料がクレジットカードより抑えられます。導入企業の規模や契約内容によっても違いますが、クレジットカードのチャージコストと比較して、半減した例もあると聞いています。チャージ手段を拡張するだけのシンプルなサービスですので、大企業だけではなく、中小企業でも比較的導入しやすいサービスだと自負しています」としている。
「CharG」導入企業は通常、金融機関と「Bank Pay」の契約を直接行う必要があるが、インフキュリオンと契約を行うパターンも提供している。この場合、各種手続きやシステム面での対応などをインフキュリオンが代行し、導入企業側の作業が大幅に軽減される。「CharG」の利用で、技術面だけでなく、金融面などビジネスに関する全面的なサポートが受けられる。
さらに、利用者は、スマホから初回に最大で297の対応金融機関(2023年11月15日現在)から口座を選択・登録すると、次回以降、口座と金額を指定するだけで、簡単に、自分の都合のよい時間にオンラインチャージできる。店頭での現金チャージの手間が省け、スマホだけで買い物が可能になる。
今後、「CharG」にはコンビニATMチャージ、クレジットカードチャージ、後払いチャージなどの機能拡充も検討している。
白川氏は、「『CharG』に限らず、これまでインフキュリオンはBank Payや銀行口座直結のモバイル決済サービスを多数提供してきています。サービス設計や運用設計だけでなく、金融機関との協働でプロジェクトを推進する経験値やセキュリティ・コンプライアンス対応など、金融機関から求められる要求に対する対応ノウハウやナレッジを蓄積しています。当社にお任せいただくことで技術面だけでなく、サービス開始までのあらゆる面でお手伝いできます」。
「モバイル決済サービスの進化が速い現代において、チャージ手段拡張をはじめとする機能追加をスピーディかつ低コストで実現することは、自社サービス成功の大きな鍵となると思います。ぜひ、『CharG』をご活用いただき、生活者にとって使いやすい自社決済サービスの実現をサポートしたいと思います」と話している。
■「CharG」問い合わせ先
https://infcurion.com/charg/contact/
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