セブン&アイ/金融事業再編、2800万人の「7iD」活用した新金融サービス展開

2023年04月06日 15:50 / 経営

セブン&アイ・ホールディングスは4月6日、グループにおける金融事業を再編すると発表した。

銀行業務を営むセブン銀行とノンバンク業務を営むセブン・カードサービスを一本化し、グループ共通の会員基盤である7iDを活用して、小売の強みを生かし、グループの企業価値の向上を目指す施策。

<事業再編の概要>
事業再編の概要

セブン&アイの100%子会社であるセブン・フィナンシャルサービスが保有するセブン・カードサービスの株式の全て(セブン・カードサービスの発行済株式総数に対する割合98.9%)をセブン銀行に譲渡する。契約締結日は4月6日で、譲渡価格は約320億円、7月1日付で、事業再編を実施する予定だ。2023年2月期のセブン・カードサービスの営業収益は345億1400万円、営業利益26億1400万円、経常利益34億6600万円、当期利益22億400万円だった。

現在、セブンーイレブンアプリ会員が約2000万人、イトーヨーカドーアプリ会員が約270万人あり、7iDの会員数は約2800万人となっている。7iDを軸に良質な大量の情報を、銀行・クレジットカードなどの金融関連事業とリンクすることで相乗効果を発揮する計画だ。また、アプリを活用したリテールメディア事業化し、良質な大量の情報を広告メディアにも活用することで、さらなる利益拡大を目指す。

井阪隆一社長は、「リテールメディアの収益化の鍵は、情報分析の内製化にある。良質な大量の情報を外部に委託して分析するのではなく、社内で分析することで、より適切なマーケティングが可能になる。セブンイレブンでもマーケティング人材を採用している」と述べた。

現在、7iDの会員に加えて、グループの1日あたりの国内来店客は約2220万人となっている。国内随一の顧客基盤を保有しており、経済圏としての魅力度を高め、顧客一人当たりのクロスユース率・単価を大幅に向上させる余地がある。

また、コンビニとスーパーを合わせた店舗数は約2万2000店以上で、魅力的な経済的接点もある。そのため、ポイント競争に頼らず、商品軸を絡めた独自の経済圏戦略をとることが可能となる。

グループの金融サービスの規模を分析すると、セブン&アイグループ小売事業の売上入金が約9兆4000億円、自社グループ決済が約3兆4000億円ある。また、セブン銀行の顧客の給料などの入金が約15兆円ある。出金・与信という視点で見ると約22兆円の圧倒的な規模の金流を展開している。圧倒的な決済ボリュームがあるため、nanacoなどの自社決済比率の向上により、他社に支払う決済手数料をマーケティング原資として活用することも検討している。

すでに、セブン銀行、セブンカード、電子マネーnanacoといったベースとなる金融機能を保有しているため、今後の金融サービス拡大にあたり、既存アセットを活用した即効性ある展開も可能だという。

小売と金融が連動することにより、「決済が紐づいた7iD会員の購買単価増」「自社決済比率向上による支払手数料削減」「グループ外でも7iDの魅力が上がることによる、セブン&アイ決済の外部利用増加」「セブン&アイ決済利用を入口とした金融商品の利用者増加」を見込んでいる。

7iDを軸としたサービスで会員数とセブン銀行の口座ホルダーを増加させるほかリテールメディアを活用してベース収益を向上させる。また、より充実した小売と金融データを分析・活用することで、さらなる収益上積みを目指す。

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