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イオン/本州・四国400店にIoT活用「HACCP」対応システム導入

2019年02月01日 18:00 / IT・システム

イオンリテールは2月1日、2018年6月に公布されたHACCP(ハサップ)に基づく食品衛生管理の制度化への対応強化と業務省力化による顧客サービスの向上のため、IoTを活用したクラウドシステムを導入すると発表した。

<システム概要>
システム概要

サトーと共同で、運営する各店舗における食品調理加工工程や商品管理に係る衛生情報の効率的な記録と一元管理を実現する、IoTを活用したクラウドシステムを構築するもの。

2020年6月までに、本州・四国の「イオン」「イオンスタイル」約400店への展開を目指す。

HACCP対応の要となる各データを効率的・自動的に記録しクラウド上で一元管理することで、国内に展開する店舗すべての情報を管理者が同じ条件で、タイムリーに確認することができるのが特徴。

商品の適切な管理として重要な記録となる冷凍・冷蔵機器の温度管理において各機器メーカーと連携することで、冷凍・冷蔵機器の違いに関わらず、すべてを同じ画面で自社の商品管理ルール情報も取り込みながら、きめ細やかな管理ができる。

システム導入により、イオンリテール運営各店の従来作業時間と比較し約50%の省力化が見込まれる。

現在、「イオンスタイル仙台卸町(宮城県仙台市)」「イオンスタイル水戸下市(茨城県水戸市)」「イオンスタイル津南(三重県津市)」に、システムを導入している。

先行導入店舗では、冷蔵・冷凍ケース温度管理、従業員体調チェック、店内調理品の加熱調理記録などの作業を軽減した。

導入前は210人時かかっていた各作業が導入後は88人時となり、58%の削減効果があったという。

<導入効果>
導入効果

昨年6月の改正食品衛生法の公布により小売業にもHACCP対応の準備が求められている。

イオンではこれまで、各店が同じレベルで安全・安心な食品を提供できることを基本として取り組み、運用が確実におこなわれている実証として、継続的な記録が要であると考えてきた。

一方で、店舗における必要なデータの記録・管理は手書きの帳票形式のため、記録記入時間に加え帳票管理に相当な労力が割かれていた。

農林水産省の調査では、食品製造各社の「HACCP導入未定の理由」として「導入後に係るモニタリングや記録管理コスト」が46.4%と約半数(システム導入費、整備費に次ぐ3位)となり、記録管理コストが課題となっていた。

<システムの活用例>
システムの活用例

イオンは、HACCP対応の制度化を受けて、厚生労働省に掲示された業界の手引書にならい、店舗の衛生管理の仕組みを整理した文書を策定し、運用する予定だ。

これにともない、既存の規定やマニュアルを改訂し、食品の安全・安心に関わる記録文書を整理している。

システムの導入により、この記録文書の作成と保管、衛生管理、店舗内の冷機器の温度管理や従業員の体調管理記録、商品製造時の加熱記録をタブレット等の電子端末で入力し、一元管理をおこない、より確実で正確な衛生管理を目指す。

将来的にはシステムの拡張性を生かし、例えば勤怠システムや製造実績記録などと連携し、より現場の活動状況や従業員の状態を可視化することで働き方の改善や従業員満足度の向上につなげるといった活用法も検討する。

<イオンの品質管理体制>
イオンの品質管理体制

システムはサトーとウイングアーク1STが共同開発した。

システムのプラットフォームには、ウイングアーク社のBIダッシュボード「MotionBoardCloud」を活用し、各店舗から収集したデータを一元管理し、本部・店舗管理者が本部サマリーボード、店舗サマリーボードで容易に閲覧することができる。

なお、HACCP向けクラウドシステムを、2月13日~15日に幕張メッセで開催される「第53回スーパーマーケット・トレードショー2019」におけるサトーブース(4ホール小間番号4-309)に出展する。

ブースでは、実際の店舗やバックヤードをイメージし、システムの体験ができるような内容を予定している。

■問い合わせ
サトー
営業本部第一事業部
担当:村原、古宮
TEL:03-5745-7450

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