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セブン&アイ/新業態「コンフォートマーケット」セルフレジで省人化

2019年08月02日 17:10 / 店舗レポート

セブン&アイ・ホールディングス傘下のフォーキャストは8月2日、東京都品川区の東急大井町線・都営地下鉄浅草線「中延駅」前に、実質的な新業態である新しい食品スーパーマーケット「コンフォートマーケット」をオープンした。

省力化を進めながら、新しいサービスを導入したテスト店舗で、レジは全台フルセルフレジを採用し、一部にスライド式什器を採用し人員を効率化した。アプリを活用し、店頭のロッカーで商品を受け取るネットスーパー的なサービスも導入した。

<コンフォートマーケット>
コンフォートマーケット

フォーキャストは2018年4月に、セブン&アイHDの100%子会社として設立した新会社。コンビニでも、スーパーでもない新しいフードショップを作るために、あえて新会社による運営とした。

代表取締役社長には、セブン-イレブン・ジャパン執行役員オペレーション本部長補佐などを歴任した有坂順一氏が就任。グループ内外のさまざまな業態や部署の人員を結集し、これまでにない商品、サービスの導入に取り組んだ。

日々を忙しく過ごしている働く女性がメインターゲットで、「べんりで、ゆたか」をコンセプトに、地域住民が来店しやすい地域密着の新感覚フードショップを目指す。

<都営浅草線中延駅構内のオープン告知>
都営浅草線中延駅構内のオープン告知

コンフォートマーケットは、さまざまなアイデア・テクノロジーを取り入れ、サービスレベルをしっかりと高めながら省人化と省力化を図る効率的なオペレーションを目指した。中食から生鮮まで品位・品質にこだわった商品をそろえた。限られた店舗面積の中で、お客が便利に使える店舗レイアウト、設備を導入した。

社名のフォーキャストは、英語の「FORECAST」(未来を予測する)と「For CAST」(働くみんなのために)に由来し、働く従業員(キャスト)が働きやすい会社もテーマにしている。求人募集では、「つくり手みんなが愛せるお店、を創ること。全国の生産者の方々やお店で働くキャストが自信をもって商品やサービスを提供できて、はじめてお客さまに選ばれるお店になれる」と記載している。

新しいコンセプトの中で、ゼロから店舗を作り上げる上で、フォーキャスト内に商品部を設置して、新たな取引先を開拓した。オープン時の取り扱いアイテム数は、食品5180SKU、日用品320SKU、合計5500SKUとした。あえて、セブンプレミアムはしなぞろえしないことで、セブン&アイHDが運営する店舗とは全く分からない店舗に仕上げた。

電子マネーnanacoが使えることとセブン銀行ATMがあること以外に、セブン&アイを感じさせるものはない店舗となっている。

<国道1号線から見た店舗>
国道1号線から見た店舗

幹線道路である国道1号線のガソリンスタンド跡地に出店したもので、駅前立地でありながら、店舗周辺には住宅街が広がっている。

東急「中延駅」前には、東急ストアが展開する小型食品スーパー「東急ストアフードステーション中延店」が出店している。国道1号線の北側約300m先には「オーケー戸越店」、中延駅から西約200m先には「文化堂荏原店」、店舗から東約300m先には「ビッグ・エー品川豊町店」、南約400m先には「まいばすけっと北馬込2丁目店」がある。

中延駅周辺は、イオングループが展開する都市型小型食品スーパー「まいばすけっと」のドミナントエリアで、店舗から約800m圏内に「北馬込2丁目店」のほか、「中延3丁目店」「東中延店」「西大井6丁目店」「西大井5丁目店」を合わせた合計5店が出店している。

延床面積は1428m2で、4フロアで構成した。1階・2階に売場を配置、売場面積は合計566m2、3階・4階に食品加工場、バックヤード、事務所を配置した。駐車場はないが、駐輪場40台を設置した。

1階に酒・飲料・パン・惣菜・寿司・乳製品・デザート、2階に果物・野菜・鮮魚・精肉・加工食品・菓子・日用品・冷凍食品・調味料を展開。1階は即食商品を集合しすぐに食べれるニースに対応、2階にはミールキットや冷凍食品を配置し、簡便・時短料理に対応するフロア構成とした。

<都営浅草線中延駅構内のオープン告知>
都営浅草線中延駅構内のオープン告知

店舗は、社員3人、パート・アルバイト31人(8時間換算)で運営する。店長のほか、2人が社員で、全員が店内の部門にとらわれず店舗全体を統括する。週休2日の運営を維持できる最低人数として、3人の社員を配置した。

省人化・省力化を進める上で、お客自身が商品登録・精算を行うフルセルフレジを導入した。1階に現金にも対応するセルフレジ6台、電子マネー・クレジットカードに対応するキャッシュレスのセルフレジ2台、合計8台のセルフレジを配置した。支払いは方法は、suica・PASMOなど交通系電子マネー、nanacoなどの小売系電子マネー、クレジットカード、現金に対応する。QRコード、バーコード決済には対応しない。

フルセルフレジは、商品登録から精算業務までをお客自身が行うため、機械の操作に慣れるまでは、お客が使いにくいといった課題がある。一方で、省力化を進めてサービスレベルを落とさない実験を進めており、当面は、セルフレジにスタッフを配置して、レジの使い方などでお客をサポートする。レジ袋は1枚5円で販売しており、エコバッグの利用を推奨している。

<セルフレジ>
セルフレジ
写真提供:セブン&アイ・ホールディングス

ITを活用した売場づくりをすすめており、2階には1階のセルフレジの使用状況を表示するデジタルサイネージを配置し、2階に居ながらすぐにセルフレジが使用できるのか、分かる工夫をした。2階に続くエスカレーターの壁面には、デジタルサイネージを3台配置し、旬の食材をメニューととも提案する。

<コンフォートマーケット専用アプリ>
コンフォートマーケット専用アプリ

新しいサービスとして、「コンフォートマーケット」専用アプリを活用した「ロッカー受け取りサービス」を、8月5日から開始する。ロッカー受け取りサービスは、アプリ内でネットスーパーのように商品を注文すると、店舗で商品をピッキングし、店舗内のロッカーに保管し、お客自身がロッカーから商品を受け取ることができるサービス。支払いは、クレジットカードのみで行い、商品の注文から受け取りまでをアプリで完結する。

ネットスーパーを利用する人でも、自宅で指定した時間に商品を受け取るのではなく、自分自身の都合の良い時間に店舗に商品を取りに行きたい人もいることに着目した。1階入口付近に28台の冷蔵対応ロッカーを配置した。

<ロッカー受け取りサービス対応ロッカー>
ロッカー受け取りサービス対応ロッカー
写真提供:セブン&アイ・ホールディングス

コンフォートマーケット専用アプリは、二段階認証に対応したアプリで、注文最低金額は1700円、注文最高金額は3万円となっている。冷凍食品、惣菜、パン、日用品以外の店舗で販売する商品を注文することができる。グループ共通IDである7iDとnanacoには対応していない。

アプリは、レシピ、ロッカー受け取りサービス、ポイント&クーポンの3つを大きな柱としている。2人分、4人分のいずれかの選択して、レシピを作るための食材を一括で注文することができる。材料は一括リストで提案され、リストの後半には、家庭でも常備されている調味料を配置することで、注文する必要のない商品を注文リストから外しやすい工夫をした。調味料については、一括リストから除外する設定も可能だ。また、レシピは自社で作成している。

注文最低金額は1700円のため、カート画面に進むと、100円から200円程度のお菓子や飲料などを提案し、リアル店舗のレジ前と同様についで買いを誘う工夫をしている。

店舗概要
所在地:東京都品川区中延4-6-8
交通:東急大井町線・都営地下鉄浅草線「中延駅」から徒歩2分
営業時間:10時~22時
駐車場:なし
駐輪場:40台
延床面積:1428m2
売場面積:566m2(2フロア合計)
従業員数:社員3人、パート・アルバイト31人(8時間換算)

■コンフォートマーケット
https://comfortmarket.jp/

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