キャンドゥ城戸社長/デベロッパーに選ばれる「ライフスタイル提案店」を推進
2023年10月20日 15:30 / 経営
100円ショップ「キャンドゥ」は2021年にイオングループ入り後、イオンモールなどへの出店を中心に店舗拡大を続けている。10月19日「丸の内オアゾ」(東京都千代田区)にライフスタイル提案型店舗をオープンした城戸一弥社長が、同店の出店経緯や今後の意気込みについて語った。
<城戸社長と「はっ犬ワンドゥ」>
――新店オープンの理由・経緯を教えてください
城戸 丸の内エリアに100円ショップが無かったからです。八重洲には以前出店しましたが、丸の内にはなかなか需要がなく、たまたま物件の空きが出たので出店しました。丸の内と八重洲の商圏は異なるため、新たなチャレンジとなります。
イオングループで使っているビーコン機器を当社でも初採用して、店舗前の人流を測定したところ、ビジネス利用者以外にも層が広いことが判明し、中でも子育て世代が多いことが分かりました。幅広いニーズに応えるマルチな店舗にしていく予定です。
――どのように売上を見込んでいますか
城戸 交通量が多く、採算は取れる想定です。100円ショップを目当てに訪れる立地ではなく、オフィス利用者がメイン。客単価は低く見積もっていますが、平日の朝で1分間に120名が店の前を通ります。東京駅と大手町駅をつなぐ場所のため、「丸の内オアゾ」の利用者だけではなく、土日には観光客の集客も見込んでいます。
当社の100円商品が全体の85%くらいで、それ以外の価格帯が残りの15%ほど。他価格の割合が年々増しており、去年の今頃(2022年10月)と対比したアイテム数は80%増。顧客ニーズに合わせて商品を増やし、これまで100円ショップでラインアップできなかった商品を追加しています。新店では、ファミリー・ビジネス需要を見込んでいます。
<2022年のイオンとの共同記者会見>
――今後の出店計画について教えてください
城戸 基本的にはイオングループへの出店がメインとなり、イオンモールが館として売上・集客あらゆる面で秀でていると思います。ですが、ほかのデベロッパーに出店しないわけではありません。
イオングループに入って策定した5カ年の出店計画で2026年までに2000店舗達成を目指しましたが、正直順調とは言えません。現在の店舗数は開示ベースで約1300店、非開示の小型店を含めると1400店舗以上。コロナ禍でさまざまな業界が縮小したことで出店の余地を見込んでいましたが、当初の計画からは遅れており、現在は、店舗数よりも売上を重視しています。
<キャンドゥのディズニー商品>
――イオングループ入りによる具体的なメリットは
城戸 イオングループに入ったことで実現したのがディズニーとのコラボです。当社オリジナルのディズニー商品ができたことは非常に大きい。グループ入りによってエコエネルギーの活用も意識しており、基本的に全店舗でLED照明を用いています。
<キャンドゥのクリスマス商品>
――イオングループとの協業について教えてください
城戸 イオングループの約700店舗に当社製品を卸しています。子会社のアクシスというメーカーが「イオン ブラックフライデー」専用商品を作ったり、イオンビッグやサンデー向けにPBを展開しています。
単品での供給はしておらず、100円の価格破壊力だけでなく品ぞろえが必要になります。ハロウィンやクリスマスの時などに、イオンとキャンドウのコラボという形で、価格の均一性よりもテーマを持たせた商品展開を行っています。
――今後どのように売上・利益を確保しますか
城戸 トップラインを引き続き確保していくのが絶対条件です。100円ショップの損益分岐点は結構厳しく、原価でコントロールするしかない。その手段の1つがディズニー商品を始めとする他価格商品ですが、これで利益を確保するわけではありません。
例えば美容家電ですが、約2000円の商品を陳列しています。商品の価格帯を広げることで客単価も上がり、100円商品だけで同じスペースを確保するよりも売場効率が良くなる。商品の選択肢を増やすことでコントロールしていきます。
現在、強化しているカテゴリはペット商品です。ペット専門店の生体販売店は増えていますが、用品の取り扱いは増えていない。そうしたニーズを100円ショップで獲得します。
<新コンセプト導入店舗「丸の内オアゾ店」>
――「デベロッパーに選ばれる専門店」として必要なことは
城戸 それこそ、まさにこのニューキャンドゥです。新たなブランドコンセプト「暮らしに身近なライフスタイルショップ」は、デベロッパーに選ばれる業態を目指すもので、イオングループ入りをきっかけにブランドを見直そうと考えました。この1年間、新モデルで約30店舗出店しています。
まずMD部分を変えたいと思い、店頭にマグネット商品を置くことで商業映えを意識しました。オリジナル商品の強化、情報発信型の売場づくりなどの取り組みを続けることで「選ばれる専門店」を目指します。
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