ヤオコー/長期目標1兆円を見据え、人材育成・省人化などに注力
2023年12月20日 14:40 / 経営
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ヤオコーは12月19日、長期目標である売上高1兆円を見据えた、人材育成に着手する方針を明らかにした。
同日、川越市内の本社で開催した年末社長記者会見で、川野澄人社長は、「第10次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)の中で、グループ売上高が6000億円に近い着地になる。次の3カ年、さらにその先を見据えると連結で1兆円が見えてきている。その中で、1兆円企業を支える人材、リーダーを育てないといけないのが大きな課題だ。5年後、10年後、15年後、20年後の幹部。具体的には、誰が部長をやるのかを意識しながら、次世代のリーダー育成に取り組みたい」と述べた。
1兆円達成の時期については、「1兆円の目標について、明確に発表できる期日を設けていないが、以前からの当社の目標として成長率5%の達成がある。これを掛け算すれば、目指す年が見えると思うと答えた」。
また、人材育成については、「専門領域の人材育成も大きな課題だ。物流領域、デジタル領域、SPAを担う製造開発の領域で、人材をどう育てていくのかも課題だ」と補足した。主な会見の内容は次の通り。
――2023年の業績
川野 2024年3月期で終了する第10次中期経営計画では、「2割強い店づくり」の実現を目標とした。3カ年の1店舗あたりの売上の伸びは2割伸びてはいないが、2023年は既存店の売上高の伸びが高かった。2割強いのか客観的な指標はないが、間違いなくこの3年間で力がついてきた。
――既存店好調の要因
川野 継続的にテーマとしてきたヤングファミリー層の獲得、価格対応をしながら、若いお客様の支持を上げていく施策が進展した。カテゴリーごとの価格政策として、例えば、ひき肉を手頃にしたり、アイスクリームカテゴリーを安くした。厳選100品という月々のプロモーションを強化したりすることで、一定程度、お客様から価格面についても評価いただけた。
前期後半から今期にかけては、商品値上げが続くなかで、ハイアンドローの施策も組み合わせながら、お客様に安さを感じていただく、そういう手立てが進んできた。
――自社商品開発
川野 SPA型の自社での商品開発では、生鮮デリカセンターで製造したプリン、杏仁豆腐を新規投入した。そのほか、精肉部門にプルコギとか半調理品、味付け済みの商品を供給し、デリカ部門以外の生鮮部門にも商品供給する取り組みがスタートとした。
一方で、PB商品については、値上局面ということもあり、なかなか思ったようなリニューアルができなかった。看板商品、集客につながるような商品開発は、まだまだ課題を残している。
――生産性向上
川野 生産性では、AI自動発注の導入があり、そのほかの投資も積極的に行った。スライド棚を投入し、店舗のハード面でも生産性を高められる対応をした。また、セミセルフレジを全店導入したほか、フルセルフレジの導入も開始し、レジの生産性に大きく寄与した。
――2023年の反省点
川野 一番の反省は、コロナの中で店舗が忙しかった。売上が大きく伸びたことに対して、省人化の投資努力はしたが、作業的に追いつかない状態が続いてしまった。働く皆さんにとって忙しい状態が続いてしまった。もう少しお休みの日数を増やす。そういうオペレーションを、今後、組む必要がある。
また、店舗のパートナーさんはほとんど女性となっている。もう少し職場での働きやすさを作らないと、より多くの女性の方が働き続けよう、ここで力を発揮したいという状態にならない。ここは次の3カ年の課題として残ったと思う。
――2023年の消費動向
川野 消費行動では、いわゆる二極化がさらに進んだ。現時点でも年金のみで生活をされているシニアの方は、やはり消費を抑える傾向が強くなってきている。一方で、賃上げの恩恵を受けていくヤングファミリー、特に大企業にお勤めの方、比較的都心に近いエリアにお住まいの方については、消費の金額はそれほど落ちていない。二極化対応もより一層、意識的に手を打っていかなきゃいけない。
――2024年の施策
川野 今期は一品単価の上昇が全体の売上を引っ張った。一品単価の上昇はある程度、来期も続く。そういう意味では、来期も攻めの商売をして、トップライン(売上)を上げていく。物流費、人件費、建設費などのコストは上がる要素はあっても、下がる要素は非常に少ない。トップラインを上げて最終的な利益につなげるのが、今期と同様に来期の大方針になる。
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