セブンイレブン/「7NOW」で焼きたてピザ配送、8月200店舗に拡大
2024年07月04日 17:42 / EC
セブン-イレブンは7月4日、メディア向けに開催した「7NOW」事業説明会で、焼きたてピザの販売に注力し、「7NOW」のデリバリー利用者を増やしていく考えを示した。
焼きたてピザは、2月に新コンセプト店「SIPストア」として刷新した「松戸常盤平駅前店」(千葉県松戸市)に登場。その後リニューアルして首都圏30店舗に拡大し、ネットコンビニ「7NOW」でも配送可能にした。「マルゲリータ」(税込770円)と「照り焼きチキン」(880円)の2種用意。8月からは北海道・九州含む全国約200店で提供し、将来的には300店以上で扱う予定だ。
焼きたてピザを「7NOW」に加える一番の強みは、実店舗とほぼ同じラインアップの約3000アイテムの商品群と一緒に運べるということ。セブンで販売しているアイスクリーム・酒・ドリンク・日用品などと一緒に店内オーブンで焼きたてのピザを購入できる。今後は、ピザのほかにもベーカリーなどの「焼きたて」品の販売に注力していく。
焼きたて品の展開について、赤松稔也 商品本部 次世代商品開発 シニアマーチャンダイザーは「焼きたてというキーワードで象徴的商品であるピザの市場にこれまで参入したくてもできなかったが、ようやく我々も顧客に美味しいものを届けるインフラが構築され始めた。マーケットに出るからには、強く勝算があると思ってる。
これまで揚げたてのスナックや淹れたてコーヒーを提供してきたが、やはり出来立てに勝る商品はなかなか無い。美味しいものへのニーズは非常にある。今後、(ピザを)導入したい店舗の意向を伺いながら店舗を選定して300店舗までは広げていく。その先は販売状況やマーケットを見ながら戦っていきたい。
ピザのサイズ感は、大手で扱うS~Mサイズの間くらいにした。1人客の購買シーンを想定したが、大きなサイズの需要もある。販売動向を見ながらサイズを検討したい。価格設定も販売エリアを見ながら探っていく。ピザ以外にも『焼く』という武器を広げたい。幅広い客層向けに、ベーカリー中心にお客様がよくご存じのメニューを増やしていく」と述べた。
「7NOW」のコンセプトは「お気軽デリバリー」。どこでも最短20分で、食品から日用品まで店舗で扱う約3000品目の幅広い商品を提供できることを価値としている。店舗のオペレーション面でも、オリジナルの店舗専用端末を活用して従業員の手間を省力化。バーコードをスキャンするだけ商品確認でき、ピッキングすればそのまま売上と連携できるため、加盟店への導入もスムーズだ。
現在、全国に向けてサービスを拡大しており、7月4日現在は国内1万2000店舗で展開中。8月には関西2府4県、山口・鳥取・島根・福島県を追加し、計26都道府県1万6000店舗に導入する。24年度中に全国展開を達成する予定だ。売上推移はコロナ禍でも伸び続け、2023年度の前年比売上は258.3%増を記録している。
加えて、客単価・買上点数が実店舗と比べて高い傾向にある。実店舗での客単価752円に対し、「7NOW」は約3倍の2234円。買上点数は実店舗の3.22点に対し、「7NOW」は約2.7倍の8.57点に上る。
また、実店舗の利用者数は男女半々で40~50代が多い一方、「7NOW」の利用者は女性が65%を占め、なかでも仕事や子育てで忙しい20~40代女性が多いという。
そして利用動向については、同社がアンケートを取った結果、利便性重視・時間を買う「タイパ志向」での利用者が38%、セブンの「買いなれた商品」だからこそ安心して購入する人が28%、「体調不良・怪我・買物困難」を理由に使う人が25%、子供への食品仕送りや両親の介護など「家族にまつわる要因」が10%という結果が出た。
「7NOW」について、由井大輔 企画本部 ラストワンマイル推進部 マネジャーは「我々は全国に2万1566店を展開しており、便利な店を顧客に一番近い『在庫拠点』だと考えている。全国どこにでもデリバリーサービスを展開できることが一番の強みだ。売れ筋は熱々の揚げ物が多く、熱いということに興味・関心・要望が高い。これをアイスクリームやドリンク、日用品などと一緒にお届けする。
配送業者はエリアごとに異なり、公表はしていない。地場で強い事業者とも協力していく。加盟店の方々からも『うちでも配送したい』という要望を多く受けている。お客様に直接、接客したい、地域の方々と触れ合いたいなど、人とのつながり大事にしたいオーナーが多い。加盟店による配送は、配送業者を待たずに、ピッキング直後に配達できるという時短面でのメリットもある」と説明する。
「7NOW」の配送時間は9時~23時。加盟店が直接配送する場合は、7時から配達している店舗もある。巷で人手不足が叫ばれる中、大手配送業者から地場の配送業者まで幅広く連携することで、現在「7NOW」の配送マッチング率はほぼ100%を維持しているという。
だが、当然課題もある。今後の展望について、由井マネジャーは「認知がまだまだ課題だ。利用者数は100万人を超えたが、一定人数に使って頂いても離脱者が多い点は他社サービスと一緒。ロイヤリティプログラムを設け、利用回数をかなり細かなレンジで設定するなど、日々検証している。7iDを通じてクーポン差し上げたり、購買パターン分析をしたことで、1人当たりの利用回数も伸びてきた。
また、商品価格も実店舗よりは少し上乗せさせて頂いている。マネタイズも含めて、ほかの収入を得たり商品の値段を下げることも課題だ。価格については構想段階で、社内でディスカッションしている。販促については、サイト・アプリ上で広告を打っている。実験的に北海道・九州ではTVCMを放映し、全国展開しながら認知度の拡大につなげたい」と述べた。
取材・執筆 古川勝平
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