2020年度賃上げ/「新型コロナ」影響で実施率57.5%と過去最低
2020年07月20日 15:00 / 経営
東京商工リサーチは7月20日、2020年度「賃上げに関するアンケート」調査結果を発表した。
2020年6月29日~7月8日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答1万3870社を集計、分析。賃上げ実体を把握するため「定期昇給」、「ベースアップ」、「賞与(一時金)」、「新卒者の初任給の増額」、「再雇用者の賃金の増額」を賃上げと定義。資本金1億円以上を「大企業」、1億円未満(個人企業等を含む)を「中小企業」と定義した。
調査結果によると、2020年度に賃上げを実施した企業(一部予定含む)は57.5%で、前年度を23.4ポイント下回り、2016年度以降、最大の下げ幅となった。
<「新型コロナ」で実施率57.5%で過去最低>
※出典:東京商工リサーチホームページ(以下同)
ここ数年、官製春闘の定着で「賃上げ実施率」は80%を超えていたが、新型コロナウイルスによる経済活動の停滞で大幅に落ち込んだ。実施率が80%を割り込むのは、2016年度以降で初めて。
産業別では、中小企業(資本金1億円未満、個人企業等)の金融・保険業、不動産業、サービス業他で実施率が5割を割り込んだ。賃上げ実施企業(規模問わず)の「賃上げ率」は3%未満が57.7%に達し、約6割を占めた。
賃上げの規模別では、大企業の「実施率」が65.9%(2290社中、1509社)に対し、中小企業は55.9%(1万1580社中、6477社)で、10ポイントの差がついた。
また、「実施した」の割合が最も高かったのは、製造業で62.8%(3949社中、2480社)だった。続いて、卸売業0.8%(2968社中、1807社)、建設業59.9%(1624社中、973社)となっている。
最低は、金融・保険業の29.4%(170社中、50社)だった。
規模では、大企業は農・林・漁・鉱業、建設業、製造業の「実施率」が70%を超えたが、中小企業では70%を超えた産業はなかった。
特に、製造業は大企業の73.4%(741社中、544社)に対し、中小企業は60.3%(3208社中、1936社)にとどまり、13.1ポイントの開きとなっている。
宿泊業、旅行業、飲食業などが含まれるサービス業他の「実施率」は、大企業が58.3%(365社中、213社)に対し、中小企業は48.1%(2164社中、1041社)で5割に届かなかった。
■「ベースアップ」は30.8%
2020年度「賃上げを実施した」企業に、賃上げ内容について聞いたところ、7589社から回答を得た。
最多は、「定期昇給」の84.8%(6436社)だった。続いて、「ベースアップ」の30.8%(2344社)、「賞与(一時金)の増額」の23.5%(1784社)、「新卒者の初任給の増額」の8.2%(623社)などとなっている。
「新卒者の初任給の増額」は、大企業の12.8%(1380社中、177社)に対し、中小企業は7.1%(6209社中、446社)で、5.7ポイントの開きがあった。
■賃上げ率「3%未満」が約6割
賃上げ率(%)を聞いたところ、7589社から回答を得た。
1%区切りでみると、最多は、「2%以上3%未満」の26.7%(2027社)だった。
次いで、「1%以上2%未満」の23.6%(1795社)。「1%未満」を含めた「賃上げ率3%未満」は57.7%(4382社)で6割近くに上る。
規模別では、大企業の「3%以上」は28.9%(1380社中、400社)に対し、中小企業は45.2%(6209社中、2807社)に達した。
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