東急不動産、ENEOS/商業施設・リゾート施設の廃食油活用
2024年02月07日 11:00 / 経営
東急不動産とENEOSは2月7日、廃食油を持続可能な航空燃料(以下、SFA)の原料として活用する取り組みに関する基本合意書を締結したと発表した。
SAFは、「持続可能な航空燃料」(Sustainable Aviation Fuel)の略称で、従来のジェット燃料が原油から精製されるのに対し、廃食油やサトウキビ、都市ごみ、廃プラスチックを用いて生産される。従来のジェット燃料と比較し、約60~80%のCO2削減効果があるとされている。
世界的な環境対応の意識が高まるなか、航空業界では航空機の燃料を従来の化石燃料から廃食油やサトウキビなどを原料とするSFAに切り替える取り組みが進んでいる。両社は廃食油を活用し、この取り組みへ貢献するという。
具体的には、2023年11月30日に開業した複合商業施設「COCONO SUSUKINO」(ココノススキノ、北海道札幌市)や、東急不動産グループの東急リゾーツ&ステイが全国に展開、運営するホテルやゴルフ場29カ所で排出される廃食油を回収し、ENEOS和歌山製造所(和歌山県 有田市)で事業化を進めるSFAの製造プラント(能力40万KL/年)で原料として使用する予定だ。COCONO SUSUKINOは、施設で発生する廃食油全量をSFAに活用することを目指しており、実現すれば全国で初の取り組みとなる。
東急不動産は全国で再生可能エネルギー発電所の開発を進めており、全国に開発中を含め100事業(2023年12月末時点)、発電能力を示す「定格容量」は1760MW(同)と日本有数の再生可能エネルギーの発電能力を有している。
この発電能力を生かし、2022年末にはオフィスや商業施設など全所有施設244カ所(共同所有など一部除く)で使用する電気の再生可能エネルギーへの切り替えを済ませており、「RE100」の基準も達成するなど「環境経営」への取り組みを積極化している。環境負荷の軽減という「社会課題の解決」に向け、今回の取り組みを通じSFA燃料の生産増に協力する方針だ。
ENEOSは、グループ長期ビジョンに掲げる通り、「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け挑戦している。その一環として、SFAの原料調達・自社製造・販売まで一貫体制の構築を進めており、SFAの製造に必要となる廃食油や植物油を持続可能な形で確保するため、国内および世界にて、未活用の廃食油回収に向けた取り組みを多くのパートナーと協力し推進している。
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