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専門家会議/感染拡大警戒地域など3区分の指標発表「イベント」地域対応を

2020年04月01日 20:50 / 行政

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議は4月1日、新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言を発表した。3月19日に、新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言を発表してから2週間経ったことを受け、最新の状況に基づいて、状況分析を更新し、提言を行うもの。

現在、オーバーシュートではないが、引き続き注意を要する状況との認識を示した上で、地域別対応の必要性を強調。「感染拡大警戒地域」「感染確認地域」「感染未確認地域」の3つの地域区分の指標を示し、それぞれの地域区分に応じて、学校再開やイベント自粛などの対応を考える方針を示した。

また、大きな声で歌うことや大声で話すことが感染リスクを高めるとし、バー、ナイトクラブなど接客を伴う飲食業、カラオケ、ライブハウス、ジムの利用を控えるように呼びかけた。さらに、携帯端末の位置情報を活用した感染防止策を検討する必要性を打ち出した。

■状況分析、オーバーシュートではないが医療崩壊の危機はある

現状分析として大事なのは、都市部を中心に感染者が急増している。こうした地域においては、クラスター感染が次々と報告され、感染源のリンクが分からない患者数が増加していることが特徴となっている。

実効再生産数(感染症の流行が進行中の集団のある時刻における、1人の感染者が生み出した二次感染者数の平均値)は、これまで1を中心に上がったり、下がったりしていた。今回、はじめて、東京都で3月21日から30日までの確定日データに基づく、推定値で実効再生産数1.7という数字を示した。今後もこの変動を注視していく必要がある。

海外からの移入感染者は、3月の上旬までは、全陽性者数に占める割合は数%だったが、3月11日前後から、かなり急激に増加し、3月22日、23日には、海外からの移入感染者の割合が4割近くを占めている。

以上の状況から、我が国では、いわゆる諸外国で見られているような爆発的患者増加、いわゆるオーバーシュートは見られていないが、都市部を中心にクラスター感染が次々と報告され、しかも感染者数が急増している。医療供給体制がひっ迫せざるを得ない地域が出てきており、医療供給体制の強化が喫緊の課題となっている。

一部には、医療崩壊とオーバーシュートが同義語と解させる向きが一部にあるが、実際には新規感染者数が急増し、クラスター感染が頻繫に報告されている現状においては、爆発的感染が起こる前に、つまりオーバーシュートが起こる前に、医療供給体制のひっ迫、限度を超える負担がかかり、医療現場の機能不全に陥ることが予想される。医療崩壊は、オーバーシュートが起こる前に起こることを強調させていただきたい。

・オーバーシュートの定義を発表

オーバーシュートとは、何かという議論があるため、オーバーシュートの定義を今回、提示する。オーバーシュートとは、欧米で見られるように、爆発的な患者数の増加のことを示していますが、2日、3日の間に、累積患者数が倍増する程度のスピードがあり、しかも継続して認めれる場合と我々は定義したい。

東京都の場合は、3月21日から30日までの10日間における東京都の確定日別患者数では、2.5日毎に倍増している。しかし、これには院内感染やリンクが追えている患者が含まれており、これが一過性のものなのかを含め、継続的に注意していく必要がある。

■これまでの対応の問題点と課題

これまでの問題点は、3つの区分で整理した。「地域ごとの対応に関する基本的な考え」では、3月19日の提言では、地域を3つに分ける提言をしたが、自治体の多くから自分たちの地域が、どの地域に属するのかを、しっかりと分かるように教えて欲しいという要望があった。従って、今回は、そのことを一つの大きな問題意識としている。

二つ目の問題点は、「市民の行動変容の必要性について」だ。三点あり、一点目は、専門家会議の方から、三つの密について、再三再四、申し上げたが、市民へのメッセージが十分に届かなかった。十分理解されなかったというのが一点目。それから二点目は、いわゆるコロナ疲れ、自粛疲れとも言える状況が見られ、一部の市民の間で警戒感が予想以上に緩んでしまった。三点目は、国民の行動変容や健康管理にあたって、アプリなどSNSを活用した、効率的かつ双方向な取り組みが一部、なされているが、もう少し、この取り組みがなされても良いという感想を持っている。

三つ目の問題点は、重症者を優先する医療供給体制。いろんな地域が頑張っているが、まだまだ不十分、まだまだやるべきことがあるというのが、我々の認識だ。

■提言では、地域区分の具体的な判断基準を提示

三つの課題をもとにいくつかの提言がある。一番目の提言は、地域区分で、それぞれの地域がどのレベルでの感染が拡大しているかということを都道府県が判断するための指標をある程度、まとめた。まず一点目は、新規の確定患者数、これは2週間前の状況を反映するということで、即効性はないが重要な指標。二番目に重要な指標は、リンクが不明な新規確定患者数。この二つに加えて、感染拡大の予兆を早期にピックアップできる指標として、帰国者・接触者外来の受診者数も参考にしたら良いと思う。さらに、帰国者・接触者相談センターの相談表の数も指標に含めたら良いと思う。さらに、都道府県別のPCRの検査数、何名検査したのか、そのうち何例がPCR陽性だったか、陽性率も加えたら良い。さらに、実効再生産数も参考にしてもらいたい。

それから、地域の全体の医療の供給体制がひっ迫しているか、余裕があるのか、というような医療供給体制がある。いくつか評価する指標を考え、まずは「重症者数」、「利用可能な病床数とその稼働率」や「空床の数」、それから「利用可能な人口呼吸器数、ECOM(エコム)の数、その稼働状況」、「医療従事者が十分に確保されているかどうか」などを定期的に地域医療の医療体制を評価するために使ってもらいたい。

二番目の提言は地域区分の考え方だ。三つの区分を一番感染が広がっているところから、「感染拡大警戒地域」、二番目が「感染確認地域」、三番目が「感染未確認地域」とした。

・学校再開は地域ごとに判断

学校については、現在の知見では、子どもは地域において、感染を拡大する役割をほとんど担っていないというエビデンスというか情報を得ている。従って、学校については地域や生活圏ごとの、県という大きなくくりではなくて、地域や生活圏ごとの蔓延の状況を踏まえて、判断していくことが重要だと思います。もちろん子供に関する新たな知見、エビデンスが出ていけば、適宜、修整していきたいと思う。

感染拡大警戒地域とは、直近一週間の新規感染者やリンクなしの感染者数がその一週間前と比較して、大幅な増加が認められる。しかし、オーバーシュートには至っていない地域となる。直近一週間の帰国者・接触者外来の受診者の数についても、一週間前と比較して一定以上の増加傾向が確認される地域となる。

それから、感染拡大警戒地域においては、医療供給体制のキャパシティーの観点から近い将来、切迫性の高い状況または、恐れが高まっている状況があれば、そのカテゴリーに属する。

そうした地域では、どんなことを自治体の長にやってもらいたいか、一つの例をあげると、市民を啓発してもらうことが当然、期待され、具体的に言えば、期間を明確にした外出の自粛要請、それから地域レベルであっても10名以上が集まる集会、イベントを避けていただきたい。それから家族以外の多人数の会食は行わないでいただきたい。

感染拡大警戒地域においては、地域内の学校の一斉臨時休校も選択肢として検討しても良いのではないかと我々は考えている。

感染確認地域は、直近一週間の新規感染者数やリンクなしの新規感染者数が、一週間前と比較して一定程度の増加幅に収まっている。また、帰国者・接触者外来の受診者数が、あまり増加していないという状況。この地域では、三つの密は徹底して、回避してもらい、具体的には、屋内では50名以上が集まる集会、イベントの参加は控えていただきたい。

感染確認見地域は、屋外でのスポーツやスポーツ観戦、そうしたイベントについては、適切な感染対策を講じた上で、それらのリスクの判断を行い、感染拡大のリスクの低い活動については、注意しながら、実施していただきたい。

・行動変容の必要性、バー・ナイトクラブ、カラオケ、ジムを控えて

次の提言は、行動変容の必要性についてだ。まずは、三つの密をできるだけ、さけていただきたいということ。自身の感染リスクを下げるだけでなく、多くの人々の重症化を食い止め命を救うことにつながるということは、再三、申し上げている。

前回は、あまり強調しなかったが、三密の中で、特に大きな声を出すことや大きな声で歌うことということが、一つのリスクであることが分かってきた。三つの密に加えて、大きな声
あるいは、大きな声で歌うことが、リスクが高いことが最近になって分かった。

さらに具体的により三つの密が、より濃厚な形で重なる夜の街について、具体的に申し上げると、夜間から早朝にかけて営業している、いわゆるバー、ナイトクラブ、接客を伴う飲食業への出入りをなるべく控えていただきたい。

カラオケ、ライブハウス、もこれは感染が起きてることが分かっているので、ここも控えて欲しい。それから、いわゆるジム、卓球などはすでに、こういうところで感染が起きていると報告されている。ジムや卓球は呼気、吐く息が激しくなるということで、こういうところも注意をしていただきたい。

・ICTを活用した対策も提言

今回、ICTを活用した対策も提言した。感染を終息に向かわせているアジア諸国の中には、携帯端末の位置情報を中心に、パーソナリデータを積極的に活用した取り組みが進んでいる。感染拡大が懸念される日本においてもプライバシーの保護や個人情報保護法制の観点を十分踏まえつつ、感染拡大が予測される地域でのクラスター、集団発生を早期に探知する用途などに限定した公衆衛生の感染防御の観点から、パーソナルデータの活用も、一つの選択肢になると考えた。

ただし、当該テーマについては、さまざまな意見・懸念が想定されるため、結論ありきという形ではなく、一般市民や専門家、いろんなステークホルダーを巻き込んだ議論を早急に開始すべきだ。

「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年4月1日)

■「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(2020年4月1日配布資料)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000617992.pdf

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