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ヨークマート/新業態「ヨークフーズ」店内加工商品で差別化

2020年05月18日 18:16 / 店舗レポート

ヨークマートは5月13日、千葉県市原市に暮らし提案型の新たな食品スーパーマーケット「ヨークフーズ」の1号店「ヨークフーズちはら台店」をオープンした。

<ヨークフーズちはら台店>
ヨークフーズちはら台店
写真提供:セブン&アイ・ホールディングス(以下同じ)

セブン&アイ・ホールディングスは、成長戦略の一つとして「首都圏食品戦略」を掲げ、6月1日付で、ヨークマートがイトーヨーカ堂が展開する「イトーヨーカドー食品館」「ザ・プライス」とフォーキャストが展開する「コンフォートマーケット」の3業態を統合し、称号をヨークすることを決定している。

新会社ヨーク発足に先駆け、郊外型の旗艦店でありモデル店となる「ちはら台」をオープンした。

<ちはら台店レイアウト>
ちはら台店レイアウト

セブン&アイ・ホールディングスは、これまでも食品スーパーを展開していたが、順調に店舗すを伸ばすことができていなかった。その原因として、首都圏のお客ニーズを満たす店舗フォーマットが見いだせず、各社が個々のストアブランドでの戦略・出店政策により、グループシナジーが発揮できていないと分析した。

また、食品スーパーマーケットとして、差別化商品の開発・供給をするための独自のサプライチェーン(インフラ構築)が弱いと見ていた。

<青果側の店舗入口>
青果側の店舗入口

ヨークマートは、2018年3月に東京都北区の「イトーヨーカドー食品館小豆沢店」跡地に、「ヨークマート小豆沢店」を出店。新規マーチャンダイジング(MD)の実験を開始していた。

<手作りサラダ売場>
手作りサラダ売場

小豆沢店では、新規MDとして、青果部門の仕入れた野菜と果物を使用した、手作りサラダとフルーツデザートを導入。鮮魚部門が製造する魚惣菜、インストアベーカリーも導入した結果、2018年4月~12月の売上実績は、イトーヨーカドー食品館比で41%増となった。

<手作りサラダは店頭で販売する野菜を使用>
手作りサラダは店頭で販売する野菜を使用

ちはら台店でも、小豆沢店での成功事例を踏襲した。手作りサラダは、店頭で販売している野菜を使用したのが特徴で、商品紹介POPで、青果売場で素材である野菜が買えることを紹介する。

トマトやタケノコなど、旬も踏まえながら、食材を紹介することで、お客自身も店頭商品と同様なサラダを作ることができる提案につなげている。

<手作りサラダに使用したトマトも販売>
手作りサラダに使用したトマトも販売

フルーツデザートも、ヨークマートが展開する看板商品の一つに成長した差別化商品となっている。

<フルーツデザート売場>
フルーツデザート売場

店内でカットしたフルーツを使用したフルーツタルトを中心に、モンブラン、レアチーズなどのデザートを展開する。友人の家に遊びに行くなど、ちょっとしたパーソナルギフト需要にも対応するため、お土産用の包装パッケージも用意した。

<フルーツタルト>
フルーツタルト

普段使いのスーパーマーケットでありながら、日常の生活のちょっとしたハレの日にも対応できる商品開発をしている。

<地場野菜コーナー>
地場野菜コーナー

ちはら台店では、野菜の産地でもある千葉県の立地特性を生かし「地場野菜」を強化した。通常店舗の約2倍となる、契約農家数40人から商品を仕入れている。

旬野菜のほか、チコリ、ビーツ、エンダイブ、西洋わさび等、地元で育てられた珍しいイタリアン野菜、また近郊の優良産地から仕入れたイチジク等の果実も取り揃えた。

<鮮魚売場>
鮮魚売場

鮮魚売場でも小豆沢店で成功したMDを踏襲し、鮮魚部門が仕入れた魚を鮮魚部門で調理する魚惣菜を導入した。

ちはら台店では、魚の旬に合わせ、季節感が伝わるようなベストな調理方法を意識した商品設計で、商品化した。

今回特に、「焼き物」と「季節魚」を掛け合わせた商品として、鮎の塩焼き、イサキ焼き物などを、ちはら台店から新規投入した。

<お魚屋さんのお惣菜>
お魚屋さんのお惣菜

鮮魚部門が当日仕入れた魚を使用した、焼魚・煮魚・フライを提供することで、競合のスーパーマーケットにはない鮮度感とおいしさのある惣菜を提供する。

<鮮魚部門の焼魚・煮魚コーナー>
鮮魚部門の焼魚・煮魚コーナー

大竹正人社長は、「朝入ってきた。アジを当日仕入れた魚を店内でさばいて調理することで、非常においしい商品ができあがっている。こういったことをやりながら、来店動機につなげたい」と語っている。

<鮮魚部門のフライコーナー>
鮮魚部門のフライコーナー

ヨークマートでは、鮮魚部門が展開する寿司は展開していない。鮮魚部門では、冷蔵ケースで寿司を展開するため、寿司のシャリに使用する酢飯が冷えて固くなる課題があった。

そのため、ちはら台店でも、惣菜部門が千葉県産の魚をつかった寿司を、惣菜売場の低温ケースで販売している。

<惣菜部門の寿司>
惣菜部門の寿司

鮮魚では、近郊の勝浦漁港、鴨川漁港から当日の朝に水揚げされた鮮度の良い近海魚(アジ・サバ・イワシなど)を手頃な価格で提供する。

<朝どれ地魚>
朝どれ地魚

春先から初夏にかけては、全国有数のカツオの水揚げを誇る勝浦漁港から、さっぱりとした味わいが特徴の「初カツオ」を仕入れる。三枚おろしなどの調理加工にも対応する。

<精肉部門のノントレー肉>
精肉部門のノントレー肉

精肉部門では、「包装フィルム(ノントレー)」加工による商品販売を開始した。

インストア加工の鶏肉商品をノントレーでパックできる機器を導入。鶏肉の年間販売計画数は7万パックで、これにより従来の食品トレーとの比較でプラスチック排出量を年間約265kg以上削減ができる。

お客は、トレー処理の手間を省き、家庭ごみを削減し、買い物バックや冷蔵庫内でも幅を取らず、スッキリ収納でき、包装フィルムをまな板代わりに使用でき清潔調理が可能といった利点もある。

<ミールキット売場>
ミールキット売場

精肉部門では、店内加工で製造するミールキットを強化した。精肉部門で販売する肉とメーカーが供給する野菜・調味液を組みわせたミールキットを展開する。

ミールキットは、働く女性が増加する中で、時短・簡便調理のニーズに対応する商品として注目を集めており、コンフォートマーケットでも強化カテゴリーとなっていた。

<鮮魚部門のミールキット>
鮮魚部門のミールキット

鮮魚部門でもミールキットを展開しており、鮮魚部門が仕入れた魚介類にメーカーが供給する野菜・調味液を組み合わせたパエリアなどを販売している。

精肉部門のミールキットも合わせて、平オープンケースで展開。ミールキットの量目・アイテム数も増やし、中核アイテムとなるように注力している。

青果・鮮魚・精肉・惣菜・ベーカリーの生鮮部門は、オープンキッチンで製造風景が見え、ライブ感のある売場にこだわっている。

ちはら台店の取り扱いアイテム数は、青果380、鮮魚270、精肉300、惣菜170、ベーカリー70、デイリー食品2000、加食雑貨6300、合計約9500。生鮮・デリカ合計約1200、グロサリー・雑貨約8300とした。

■ヨークフーズちはら台店
所在地:千葉県市原市ちはら台南2-32-2
売場面積:1987m2
TEL:0436-40-5033
駐車台数:461台(モール内共有)
営業時間:9時~21時30分(通常時)
従業員数計:95人(社員21人、パートタイマー74人)※8時間換算
商圏人口:約1万7000人(約6000世帯)※半径1.5kmの基礎商圏内

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