高島屋 決算/3~5月営業収益13.8%増、インバウンド増加・国内顧客売上も堅調

2024年06月28日 16:15 / 決算

高島屋が6月28日に発表した2025年2月期第1四半期決算によると、営業収益1201億2500万円(前年同期比13.8%増)、営業利益172億9500万円(56.7%増)、経常利益178億3500万円(53.5%増)、親会社に帰属する当期利益128億2100万円(50.1%増)となった。

国内百貨店業での営業収益は754億700万円(13.2%増)、営業利益は92億7500万円(108.9%増)で増収増益。

売上高は、円安を背景にインバウンド売上高が増大したことに加え、全体売上高の約8割を占める国内顧客売上高も堅調に推移した。消費動向・顧客ニーズの変化を捉え提案できる販売力と、ニーズに即応する話題性と品質を両立する品ぞろえの強化を両輪で推進した結果、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品のほか、婦人服、紳士服、化粧品などファッション関連商品も伸長している。

加えて、シーズンに合わせた関連イベントは多くの顧客が来場した。

ECでは、昨年来より化粧品の品ぞろえ拡充や、各店で行っていた出荷作業の共通倉庫一元化による配送リードタイムの短縮など、オンラインストアの魅力向上に着手している。実店舗を持つ強みを生かし、店頭とECの相互送客により顧客接点を創出。新たな顧客獲得、売上高増大につなげている。

一方、商品利益率は、高率のファッション関連商品以上に低率の高額商品が大きく売上を伸ばしたことで、売上プロポーションが変化し、前年を下回った。だが、商品利益額は、売上高増大による効果が大きく、前年を上回っている。今後も重点取引先と連携した正価品強化など商品利益率改善に向けた取組を同時に進め、さらなる利益額の拡大を図っていく。

さらに、販売管理費は、前年からの増加を最小限に抑制した。ベースアップなど人的資本投資や、新規ブランドの導入など営業力強化につなげる費用は適正に投下する一方、店舗運営体制のさらなる効率化などコスト削減に向けた取組も同時に進めたことで、総額営業収益に対する販売管理費比率は前年を下回る水準となっている。

海外百貨店業での営業収益は82億6000万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は20億6000万円(5.7%増)で増収増益。

シンガポール高島屋では、今後の成長に向けた主要ブランドの改装工事影響があったものの、国内顧客の堅調な推移やツーリストの回復、為替影響もあり、売上高、営業利益とも伸長。全体をけん引した。

ベトナムは景況感の悪化に伴い、特に内需の鈍化がみられたが、ホーチミン高島屋において、成長領域である子供用品、顧客からの支持の高い化粧品や食料品などの改装や品ぞろえ強化に向けた取組を推進したことで、増収増益となる。

タイ・サイアム高島屋でも、景気動向が不透明な中、顧客ニーズに基づいた日本ブランドの品ぞろえ拡充や物産イベント実施などの効果、為替影響もあり増収となった。

加えて、商品利益率の改善、コスト削減に向けた取組も同時推進したことで赤字幅も縮小している。

さらに、3月末にオープンした日本の家具・インテリア用品専門店は堅調に推移。今後も収益改善に向けた取組を推進し、黒字化を早期に実現していく。

一方、上海高島屋では、市場変化に対応した新たなテナントの誘致など収益基盤の強化に継続して取り組んでいるが、長引く中国経済の低迷の影響が大きく、減収減益となった。

国内商業開発業での営業収益は102億3000万円(9.0%増)、営業利益は25億1100万円(6.9%増)。

東神開発は、「玉川高島屋S・C」の改装工事影響があったものの、2023年10月に開業した「京都高島屋S.C.」、11月にリニューアルオープンした「立川高島屋S.C.」のテナント賃料収入増加や、その他施設のコスト削減効果もあり、増収増益となった。

さらに、「柏高島屋ステーションモール」が、ニーズの高いテナントやコミュニティ機能を取り入れて段階的にリニューアルを実施している。

海外商業開発業での営業収益は38億4500万円(20.6%増)、営業利益は15億9800万円(38.2%増)で増収増益。

トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.では、賃料収入が増加したことに加え、費用減もあり、増収増益。成長ドライバーと位置づけるベトナム事業についても増収増益となり、着実に成長している。

シンガポールでの実績やベトナム・ホーチミンでの成功を足掛かりに、ハノイでの開発を段階的に進めており、住宅・オフィス・商業の複合開発事業など、将来的に大きなリターンを見込む。今後もベトナム開発には集中的に投資を行い、シンガポールに次ぐ第2の収益の柱として、持続的な成長につなげていく。

また、国内では「物流の2024年問題」への対応として、2023年より深夜の検品を見直し、開店前であった納品時間を開店後に切り替えることで、ドライバーの負担軽減につなげる取組を進めてきた。

さらに、従来百貨店配送品に対応できていなかった「事前に登録いただいたお客様へのお届け予定メール」の送付対応を、5月より業界内で先行して対応開始している。受取日時や場所などを指定することで、再配達の削減と顧客の利便性向上につなげていく。

通期は、営業収益5114億円(9.7%増)、営業利益550億円(19.7%増)、経常利益580億円(17.9%増)、親会社に帰属する当期利益380億円(20.2%増)を見込んでいる。

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