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イオン、セブン、ウエルシア/価値観・感性に訴える独自商品の開発を強化

2023年06月23日 13:35 / 商品

セブン&アイグループ、イオングループは、生活者の価値観・感性に訴える独自商品の開発を強化している。健康、価格といった機能的な面だけではなく、生活者の声を生かし、ライフスタイルや生活シーンを想定した商品を展開。若年層や女性に好まれる商品開発で、客層の拡大を目指すセブン‐イレブン・ジャパン、イオントップバリュ、ウエルシアホールディングスの動きを追った。

<ウェルビーイングな独自商品を展開>
ウェルビーイングな独自商品を展開
※「サイクルミー」セブン-イレブン限定オリジナルシリーズ

■セブン-イレブンは「ウェルビーイング」に注目

セブン‐イレブン・ジャパンは、ドットミーの朝・昼・夜それぞれの時間帯に合った食品を提案するウェルビーイングブランド「Cycle.me(以下:サイクルミー)」とコラボレーションし、「セブン-イレブン限定オリジナルシリーズ」12商品を6月20日から発売した。

サイクルミーは、「時間栄養学」に着目したウェルビーイングの考え方に基づき、プロテインドリンク、スイーツ、ムーンミルク(ホットミルク用スパイスミックス)といった食品を開発している。時間栄養学は、何をどれだけとるべきかという今までの栄養学に「いつ」という新しい視点を取り入れたもの。

自社EC以外に、2022年2月より都内のセブン-イレブン店舗でも販売を開始し、現在は1000超の店舗で取り扱っている。

6月15日行われた「サイクルミー」の新商品発表会で、セブン‐イレブン・ジャパンの山口圭介 執行役員 企画本部 ラボストア企画部 部長は「これまでセブン‐イレブンは、コンビニエンスと中食の2つの価値で一定の評価を得てきたが、時代の変化により顧客が求めている価値が変わってきた。近年では、女性の利用客が増えてはいるが、未だに男性客の方が多く、若年層のシェアが低下傾向にある」と分析している。

2022年2月から導入している「サイクルミー」商品が、女性や若年層に販売好調だったことから、ダイドードリンコ、春日井製菓などメーカーとのオープンイノベーションによる新商品を全国で発売し、若年層や女性客のシェア拡大を目指す。

税別138円~298円と手に取りやすい価格帯に設定した。感性に訴えるシンプルなグレーのパッケージが特徴で、食べるのにおすすめの時間帯が時計の模様としてデザインされている。また、訴求文言を必要最低限にして、「健康食品を買っているのを人に見られたくない」というニーズにも対応している。

<プロテインバー>
プロテインバー

プロテインチョコバーでは、朝はブラック、昼はホワイトを提案。たんぱく質が10gとれる(各税別198円)。

<プロテインクランチチョコ>
プロテインクランチチョコ

昼の間食にたんぱく質・L-テアニンが入った「プロテインクランチチョコ(ミルク/ビター)」(各198円)、夜のおつまみにはL‐テアニンがとれる「おつまみスナック チーズ風味 アーモンド」などを用意している。

<おつまみスナック>
おつまみスナック

セブン&アイグループは、「食」を軸とした国内外CVS事業の成長戦略を掲げており、食品PB数は約1330(2022年6月現在)。

■イオンは価値観を持って買い物する生活者を意識

イオンは、プライベートブランド(PB)「トップバリュ」において、2023年3月ブランドビジョンの再定義を行った。2023年度は、全アイテムの50%に相当する約2500品目を新発売またはリニューアルする計画となっている。

メインブランドである「トップバリュ」は、「さあ、わくわくするほうへ!」をタグラインにし、こだわりを感じながら自分の価値観を持って買い物をする生活者を意識し、Z世代など20~30代に向けた商品開発を進めている。

3月16日に行われた「トップバリュ」リニューアルの会見で、イオントップバリュの森常之副社長は、「今までのトップバリュは、世代や性別といったセグメントで商品開発していたが、いまは価値観のセグメントで商品開発をしている」と説明した。

<じっくり煮込んだ濃厚な味わい クラムチャウダー>
クラムチャウダー

象徴となる新たな商品として、「トップバリュ もぐもぐ味わうスープ」シリーズを開発。クラムチャウダー、ミネストローネ、スープカレー、ボルシチなど全11種類を展開する。1袋200~210gで、税別298円~498円で販売している。

もぐもぐ味わうスープは朝食にも夕食にもなりシーンを問わず、本格的な味わい、1つで1食となる満足感が好評を得ている。MZ世代(20~30代)を意識した商品開発を進めてから、20~30代の来店が増えているという(森真紀取締役)。

「もぐもぐ味わうスープ」に続き、6月21日には、「進化系おやつ」としてスナック・スイーツ系の新商品を投入した。

<ナッツやドライフルーツの新感覚おやつ>
新感覚おやつ

海外で人気のトレイルミックス(登山やアウトドアで食べる栄養食。一般的にはナッツ、ドライフルーツ、チョコレートなどを混ぜたもの)をヒントにしたナッツのスナック、ドライフルーツの中でも人気があるマンゴーを使った「マンゴーボール」、ギルトフリーなデザートヨーグルトを発売した。

「Joynuts(ジョイナッツ) キャラメルマキアート」(税別798円、200g)、「Fruits Bite マンゴーボール」(398円、50g)、「ガトー・ソワイユ バスクチーズケーキ風ヨーグルト」(110kcal、148円、90g)、「ガトー・ソワイユ アップルパイケーキ風ヨーグルト」(115kcal、148円、90g)がそろう。

友人と集まり、シェアする楽しさを提供する「ジョイナッツ」「マンゴーボール」、甘くておいしいデザートを気兼ねなく食べたいがケーキやアイスクリームでは、健康が気になる人に向け、110kcal~115kcalとカロリーを抑えたデザートヨーグルトを提案する。

<カロリーを抑えたデザートヨーグルト>
デザートヨーグルト

今後、料理のトッピングとしても使用できるナッツ商品の販売も予定している。

イオングループは、2023年度PB全体で1兆5000億円(うちトップバリュ1兆円)の売り上げを目標に設定した。

■ウエルシアは健康・環境にこだわった商品を提案

ウエルシアホールディングスは、2021年6月にスタートしたこだわりPB「からだWelcia・くらしWelcia」を中心に、NBのマネではなく、健康・環境などにこだわった価値ある商品を提案し、他社との差別化を図っている。

<こだわりPB「からだWelcia・くらしWelcia」>
からだWelcia

ウエルシアグループでは、従来からある自社PB「Welcia」、イオングループのPB「トップバリュ」「ハピコム」に加え、食品・化粧品・ヘルスケアの「からだWelcia」、日用品の「くらしWelcia」の5つのPBを展開している。「からだWelcia・くらしWelcia」は、NBにない、こだわりの商品、コストメリットのある商品などを取り扱っている。自社にないものはトップバリュを採用し、すみ分けを行う。

「からだWelcia・くらしWelcia」は、「機能」「品質」「エコ」「値段」を重視。食品は、糖質オフや栄養成分を付与した商品など健康に配慮しつつ、罪悪感なくごほうび感覚を味わえること(ギルティー・フリー)と、ドラッグストアの知見を生かして体への優しさとおいしさ(ヘルシー&テイスティー)の実現の両輪で推進している。

また、商品開発のため、積極的にホームページなどで生活者の声を集めており、開発に反映させている。

<糖質を抑えたパン>
糖質を抑えたパン

糖質を抑えたパンは、2月1日第1弾「ミニクロワッサン」(糖質1個当たり6.9g、4個入り、税込み213円)、「ミニチョコクロワッサン」(糖質1個当たり7.7g、4個入り、税込み213円)、第2弾として6月1日「糖質を抑えた平焼きデニッシュあんぱん」(糖質24.9g、税込み181円)が登場している。「毎日食べるパンの糖質カットの種類を増やしてほしい」「からだウエルシアで低糖質の飲料、パン、スナック菓子、デザートなど作ってほしい」といったニーズに対応したもの。

<7種のナッツを一度に楽しめる>
7種のナッツを一度に楽しめる

さらに、「いろいろな多岐にわたるナッツの入った、食感のあるおいしい商品を提供してほしい」という声に応え、「食塩無添加がやさしい7種のこだわり神ナッツ」(861円、245g。ロカボマーク取得商品。1食30gあたり糖質3.3g)を6月13日発売。7月には、塩味タイプの「塩味があとをひく7種のこだわり神ナッツ」も販売する。

「からだWelcia」、「くらしWelcia」はクリエーティブディレクター戸田宏一郎氏が手掛ける視認性の高いパッケージ、コピーライター岡本欣也氏による、商品を説明する文言をそのまま商品名にした目を引くネーミングも特長だ。

パッケージは方眼紙のような見やすい背景に、視認性の高いフォント、ユニバーサルデザイン推奨カラーを使っている。長いネーミングは、SNSで話題になるような遊び心とともに、商品が店員のように、売り場で生活者を引き付けるイメージで採用しているという。

<ギルトフリーなおやつ>

「からだWelcia」、「くらしWelcia」は2023年3月末で200SKU販売しており、2026年2月期には400SKUまで増やす計画。PB商品全体では、2026年2月期売り上げ1100億円、物販売り上げ構成比10%を目指している。

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