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消費税増税/小売業の78.4%が企業活動に「マイナスの影響ある」

経営/2019年07月11日

帝国データバンクは7月11日、消費税率引き上げに対する企業の意識調査(2019年)を発表した。調査によると、企業活動に「マイナスの影響がある」と見込む業種別企業数は、小売が78.4%となり、突出して高かった。

<消費税率引き上げにより「マイナスの影響がある」割合>
消費税率引き上げにより「マイナスの影響がある」割合
出典:帝国データバンクプレスリリース(以下同じ)

企業からも「消費税率の引き上げにより、消費者の購買意欲減退につながる」(家庭用電気機械器具小売、福岡県)という意見があげられた。以下、農・林・水産(59.3%)、不動産(54.2%)、卸売(53.5%)、金融(50.9%)が5割超となった。

従業員数別にみると、50人以下の企業において「マイナスの影響」を見込む割合が半数を超え、従業員規模が大きくなるほど同割合は低くなる結果となった。

<消費税率引き上げによる企業活動への影響>
消費税率引き上げによる企業活動への影響

全体では、消費税率が10%に引き上げられた場合、自社の企業活動にどのような影響があると見込んでいるか尋ねたところ、「マイナスの影響がある」と回答した企業が50.8%となった。「プラスの影響がある」企業は1.2%にとどまり、「影響はない」は、30.3%となった。

「プラスの影響がある」と回答した企業からは「当社の商材自体が税制や外部環境の変化によって需要が発生することが多い」(文房具・事務用品卸売、千葉県)や「税率引き上げにともなう機械の料金変更により売り上げが増加する」(事務用機械器具卸売、東京都)などといった声が聞かれ、事業内容によっては、恩恵を受ける企業も少なからず存在している。

<消費税率引き上げに対する駆け込み需要の状況>
消費税率引き上げに対する駆け込み需要の状況

駆け込み需要については、企業の48.2%が「駆け込み需要はない」と回答した。自社の事業において、現時点での駆け込み需要の状況を尋ねたところ、「駆け込み需要はなく、節約モードになっていると思う」(溶融メッキ、広島県)という意見にあるように、「(現在も今後も)駆け込み需要はない」とする企業は約半数にのぼった。

一方で、「既に駆け込み需要がある」企業は7.4%となった。駆け込み需要を「(現在はないが)今後出てくる」(23.1%)と見込む企業と合わせても30.5%となり、駆け込み需要を実感もしくは見込む企業は3割程度となった。

<消費税率引き上げに対する駆け込み需要の状況>
消費税率引き上げに対する駆け込み需要の状況

「既に駆け込み需要がある」企業を業界別にみると、建設が19.6%でトップとなった。次いで、不動産が8.1%、金融が7.1%と続いた。建設以外は1割未満となり、現時点で駆け込み需要を実感している企業は少数にとどまった。

他方、「(現在も今後も)駆け込み需要はない」と回答した企業を業界別にみると、サービス60.2%が、6割超となり、以下、農・林・水産57.4%と不動産55.8%が5割台で続いた。

企業からも、「景気の低迷、年金問題などで駆け込み需要は前回(2014年4月)のようにはないと思う」(印刷、茨城県)や「増税前の駆け込み需要もなく、増税後を考えると怖い」(土木工事、山口県)などの声が聞かれ、総じて、駆け込み需要に対する期待は小さい様子がうかがえた。

■軽減税率に対応する企業は約4割にとどまる

<軽減税率への対応状況>
軽減税率への対応状況

10月の消費税率引き上げでは、「酒類・外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)」を対象に、消費税の軽減税率制度が導入される予定だ。

軽減税率制度は、軽減税率の対象品目を取扱う事業者だけでなく、物品購入にともなう経費処理など、すべての事業者に関係する制度となっている。

そこで、軽減税率制度の導入に対して、現時点での対応状況について尋ねたところ、軽減税率への対応を「実施」(「既に対応済み」「現在対応中」「これから対応する予定」の合計)する企業は40.4%となり、約4割の企業にとどまった。一方で、「特に対応していない」(49.3%)が半数近くに達しており、対応への遅れが浮き彫りになった。

<軽減税率への対応状況~規模別~>
軽減税率への対応状況~規模別~

規模別にみると、大企業(51.3%)では5割超の企業で軽減税率への対応を「実施」するのに対して、小規模企業(28.1%)では3割に満たない。他方、小規模企業で「特に対応していない」59.5%が約6割となっており、規模が小さくなるほど軽減税率への対応を行っていない実情が明らかになった。

「特に対応していない」企業からは、「軽減税率やポイント制導入等、コストが掛かり混乱を招く優遇措置はとるべきでない」(建築工事、東京都)や「軽減税率を導入するのであればできる限りシンプルにすべきで、もっと精査が必要である」(フィットネスクラブ、長野県)など軽減税率制度に対する否定的な意見が多く聞かれた。

同様に、軽減税率への対応を「実施」する企業からも、「軽減税率は税の仕組みを難しくしている。システム変更では余分な費用が発生している」(食料品製造、宮城県)や「現場に混乱を招く可能性が高い。複雑なシステム改修や運用変更を考慮すると税率は10%固定でもよかったと思う」(百貨店、栃木県)などの声もあり、軽減税率の対応に前向きな企業であっても、混乱を招くことへの懸念を指摘する声もあがった。

<消費税率引き上げに対する見解>
消費税率引き上げに対する見解

消費税率を2019年10月に10%へと引き上げることに対する企業の見解について尋ねたところ、「予定どおり(2019年10月に)実施すべき」が44.1%(2018年10月比0.8ポイント増)となり、4割を超える企業が消費税率を予定どおり引き上げるべきと考えていることが明らかとなった。

10月の引き上げに「否定的」(「時期を延期して実施するべき」「実施するべきでない(現行の8%を維持)」「消費税率を引き下げるべき」の合計)な企業の割合は44.3%となり、予定どおり実施すべきと考える企業と拮抗する結果となった。

<消費税率引き上げに対する見解~規模別~>
消費税率引き上げに対する見解~規模別~

規模別にみると、「予定どおり実施すべき」と考えている企業は、規模が小さくなるほど割合は低くなり、小規模企業(40.0%)は、大企業(47.8%)を7.8ポイント下回った。

一方、「否定的」な企業の割合は、小規模企業(48.8%)で、約半数となっており、消費税率引き上げに対して消極的な見方を示した。

「予定どおり実施すべき」と回答した企業からは、「既に経理システム等の改修準備が整っており、ここにきての延期は混乱を招きかねない」(港湾運送、東京都)や「社会保障費の増加に対処するためにはやむを得ない」(電子応用装置製造、神奈川県)といった声が聞かれた。

一方で、年10月の引き上げに「否定的」な企業からは、「消費の回復がみえないなかで、税率引き上げは先行きの不透明感と消費減退へとつながる可能性がある」(各種商品小売、愛知県)や「軽減措置(10%と8%の混在)が混乱を招くうえ、その対応に多額の費用が充てられるのは、本来の増税の趣旨からズレている」(木製品製造、北海道)などの意見があげられた。

「年度の途中で消費税率を変更することは、事務手続きの上で非常に煩雑」(鉄鋼シャースリット、千葉県)といった意見もみられた。

■消費税率引き上げに対する企業の意識調査(2019年)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p190703.html

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