三浦屋・倉持社長/原点回帰で高品質PB・店内調理の総菜を強化
2023年10月19日 15:22 / 経営
都内で7店舗を運営する三浦屋は、2024年創業100周年を迎える。現在、こだわりの食を強化し、原点回帰を目指している。10月19日開催された体験会で倉持幸夫社長は報道陣に対し、商品へのこだわりや今後の出店計画など、次の100年への意気込みを語った。
――事業内容を教えてください
倉持 中央線・西武新宿線沿線を中心に、高品質スーパーマーケット7店舗、外販事業(学校給食向け材料卸)を展開しています。
2021年にいなげやグループを離れ、丸の内キャピタルの支援を得ています。現在、店内調理の総菜、高品質プライベートブランド(PB)、各地のこだわり商品などを強化しています。1924年に煮豆屋として誕生し、こだわりの食を提供してきたスーパーとして、原点回帰を目指しています。
――いなげやグループから離れた影響はありますか
倉持 当初、経営が厳しくなることを予想していました。また、コロナ禍があり、売り上げは厳しいところもあります。まだ、コロナ前の水準までは戻っていません。
しかし、大手チェーンストアにない三浦屋ならではの良さを強化する施策を進めています。100年近く届けてきたビジネスを見直し、高品質な食を提供できるのは強みだとあらためて感じています。
給食事業で提供している大容量商品を小売り向けに容量を変更して販売、その逆もあり、両事業の連携も小回りがきく規模だからこそ、進んでいます。
――三浦屋といえばこだわりの商品ですね
倉持 これまでに、生産者との信頼関係、バイヤーの目利きで約5万種類の商品を紹介していきました。店舗には常時5000~1万種類の商品を用意しています。その中でPBは、総菜含め約200種類そろいます。
さらに、毎年合計50回ほど現地にバイヤーが足を運び、毎シーズン約500種類の商品を厳選して提供しています。
――総菜は店内調理が中心ですか
倉持 煮豆屋として始まった当社は、店内調理の総菜がメインです。国産こめ油を使ったり、肉の三浦屋として上質な精肉を使用したり、好評を得ています。
いなげやに製造事業は譲渡したのですが、現在でも連携しており、一部商品はセンター加工となります。
60~80代のお客様が多いのですが、若い人にも来ていただきたいので、ファミリー向け商品開発を強化します。
――PBも充実していますね
倉持 年間5000本を売り上げる「何度でもかけたくなるビストロ秘伝のドレッシング」など、バイヤーがこだわりを持って開発した商品がそろっています。
神話の郷・島根県で作られる「仁多米こしひかり」は、出雲風土記で「オオクニヌシノミコト」が良質な米がとれるといったとされる地域で生産されています。そのような物語のある商品を三浦屋ブランドとして販売させていただいています。
――バイヤーが厳選したグルメが人気ですね
倉持 ほかのスーパー・百貨店にない商品が買えると好評です。
11月2日~11日、毎年人気の「山陰フェア」を開催します。バイヤーが20年かけて山陰エリアで出会ってきた一押しのグルメを用意しています。
――今後の出店計画を教えてください
倉持 3~5年で、中央線・西武新宿線沿線に3店舗くらいオープンできればと考えています。
――どのような販促を行っていますか
倉持 月2回、新聞の折り込みチラシを活用しています。販促も原点回帰で、店内の手書きPOP、手書きのチラシを配布するなど、温かみのある施策を大事にしています。DXも検討していますが、販促も手書きのような温かみのある部分を重視したいですね。
――次の100年への抱負をお願いします
倉持 昔から三浦屋は「和風」に強く、現在でも和菓子、だし・のりといった乾物、地方グルメに強みを持っています。
こだわりPB、厳選されたグルメが販売できるのも、地方の生産地・メーカーなどと長年信頼関係を築いてきたからこそです。地方のこだわり商品は量産できないので、当社のような小規模スーパーだからこそ、調達して、ご紹介できるメリットがあります。
大手チェーンストアとの違いを出し、生き残っていくには、今がチャンスだと考えています。オーナー時代の昔ながらのやり方に回帰し、さらに成長していきたいと思います。
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