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セブン&アイ 決算/2月期米国ガソリン価格高騰の反動で減収も過去最高益達成

2024年04月11日 10:30 / 決算

セブン&アイホールディングスが4月10日に発表した2024年2月期決算によると、営業収益11兆4717億5300万円(前年同期比2.9%減)、営業利益5342億4800万円(5.5%増)、経常利益5070億8600万円(6.6%増)、親会社に帰属する当期利益2246億2300万円(20.1%減)となった。

<井阪社長>

同日開催した決算説明会で、井阪隆一社長は、「2023年度通期業績は、 営業利益は過去最高益を達成した。2023年度後半から日米における消費環境が非常に厳しい状況になったが、2024年度はこれまで実施してきた変化対応をより一層加速して、 営業利益、当期純利益とも過去最高益を更新する計画だ」と述べた。

丸山好通常務は、「営業収益は、2022年度に歴史的投資水準で推移した、米国ガソリン小売価格が落ち着いたことにより、海外コンビニエンス事業が減収となり、連結ベースでも減収となった。営業利益は、海外コンビニエンス事業において、2022年度のガソリン小売価格が高騰した影響を大きく受けたが、 商品事業の上昇とコストリーダーシップの取り組みによる販管費の削減、さらには為替の影響もあり、増益を確保することができた」と業績概要を説明した。

また、円安進行による影響額は、営業利益でプラス192億円だった。

<丸山取締役>

国内コンビニエンスストア事業の営業収益は9217億600万円(3.5%増)、営業利益は2505億4400万円(8.0%増)となった。セブン‐イレブン・ジャパンは、高齢化や単身世帯・働く女性の増加に加え、コロナ禍を通じて顕在化した顧客の変化への対応に引き続き注力すべく、「ファスト・フード等のオリジナル商品やセブンプレミアムの開発強化」「取り扱いアイテム数増加を図るための売場レイアウトの変更」「イベント感を演出する販売促進」を実施している。

デリバリーサービス「7NOW」は、全国展開に向けた取扱店舗拡大、体制構築に加え、2023年9月5日から「7NOWアプリ」を開始した。

さらに、急速な環境変化の中で大きく変化する顧客の消費行動や生活に対する価値観、幅広いニーズに対応するべく、新コンセプト店舗「SIPストア」を2024年2月29日にオープンしている。

今期は、各地でのイベント等の再開による人流回復や好天に恵まれたことに加え、地域やメニューといったテーマを設定しさまざま商品を取りそろえるフェアの積極展開やアプリを活用した販促などの各種施策が奏功。既存店売上は前年を上回り、営業利益は2510億2900万円(7.8%増)。自営店と加盟店の売上を合計したチェーン全店売上は5兆3452億4300万円(3.8%増)となった。

海外コンビニエンスストア事業の営業収益は8兆5169億3900万円(3.7%減)、営業利益は3016億2800万円(4.1%増)となった。北米の7-Eleven, Inc.は、引き続きインフレの進行と金融引締めに伴う景気減速の懸念に加え、COVID期間中の景気刺激策の終了により個人消費環境が厳しい状況にはあるものの、バリューを求めるニーズに対応している。

品質と収益性の高いオリジナル商品(フレッシュフード、専用飲料、プライベートブランド商品)の開発と販売の強化、デリバリーサービス「7NOW」の取り組み強化、デジタル技術の活用による顧客ロイヤリティの向上に努めた。また、北米におけるバリューチェーン構築による高品質なフレッシュフードの開発強化の一環として、2023年9月11日にヴァージニア工場が稼働した。

スーパーストア事業の営業収益は1兆4773億8400万円(1.9%増)、営業利益は135億8800万円(9.6%増)となった。イトーヨーカ堂は、収益性改善に向けた抜本的変革と成長施策の実行を進めた。その一環として、2023年9月1日付でイトーヨーカ堂を存続会社としヨークを消滅会社とする吸収合併を完了した。

両社のシナジー、運営効率を最大化することで、販売力の強化とともに販管費削減や生産性改善に取り組んだ。加えて、プロセスセンターやセントラルキッチン、ネットスーパーなどの戦略投資インフラが稼働した。また、店舗網の首都圏へのフォーカス加速の一環として、2024年2月に北海道・東北・信越エリアの一部店舗について、ヨークベニマル、ダイイチ、OICグループと事業承継等に関する契約を締結した。

今期は、ヨークとの合併に伴い売上高は前年を上回ったが、戦略投資インフラ整備に伴うコスト増加等により、12億500万円の営業損失(前期は4億800万円の営業利益)となった。

ヨークベニマルは、「地域のお客様の日常の食卓をより楽しく豊かに便利にする」というコンセプトの実現に向けて、既存店の活性化、デリカテッセン等の開発及び販売強化の取り組みを進めた。今期は人流回復に加え、原材料価格高騰への適切な値上げ対応及び販売促進施策が奏功し、既存店売上は前年を上回った。この結果、新店関連費用や人件費等の販管費は増加したものの、営業利益は187億100万円(3.8%増)だった。

金融関連事業の営業収益は2074億7900万円(6.8%増)、営業利益は381億7200万円(2.8%増)だった。セブン銀行の期末時点での国内ATM設置台数は2万7370台(前期差481台増)となっている。

人流回復に伴う預貯金金融機関の取引件数の回復、資金需要増による消費者金融等のノンバンク取引の増加に加え、各種キャッシュレス決済に伴うATMでの現金チャージ取引が高い水準を維持したことなどにより、1日1台当たりのATM平均利用件数は104.6件(前年同期差3.5件増)となり、ATM総利用件数は前年を上回った。

また、同行における現金及び預け金は、ATM装填用現金を含めて8771億円となった。また、バンキング事業・ノンバンク事業の一体運営によるシナジーを追求するため、2023年7月1日付で連結子会社であるセブン・フィナンシャルサービスが保有するセブン・カードサービスの全株式をセブン銀行に譲渡した。

2025年2月期は、営業収益11兆2460億円(2.0%減)、営業利益5450億円(2.0%増)、経常利益5020億円(1.0%減)、親会社に帰属する当期利益2930億円(30.4%増)を見込んでいる。

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